昔、庭の家庭菜園でトウモロコシ栽培を試みた。ただ水をやるだけでほとんど除虫もしなかった。すると、ある程度トウモロコシの背が伸びると、びっしりとアブラムシがたかった。
◎アブラムシを運んで樹液を吸わせて「蜜」を採取する家畜家アリ
哀れ、わがトウモロコシは、アブラムシに樹液を吸い取られてトウモロコシの穂が育つ前に枯れてしまった。
アブラムシは丸っとして、脚が短く、移動性は弱い。だからトウモロコシまでアブラムシを運んできたのは、アリだろう。
アリは、そうやってトウモロコシでアブラムシを「飼育」し、アブラムシが分泌する蜜を食べているのだ。そう、まるで家畜のウシのように、アブラムシを飼って蜜を得ている――。
園芸家には、厄介な虫だ。
◎蜜(甘露)はただでは与えない
ではアリに飼われたアブラムシは、それで何か利益を受けているのだろうか。共生関係にあると考えられたアリとアブラムシで、アブラムシの利益はアリによって生息域を拡大してもらうメリットがあると考えられた。
ところがそれだけではなかった。
北海道大学大学院の工藤達実院生と同大学院の長谷川英祐准教授(写真)は、アブラムシはアリに蜜(甘露)を提供して行動性を確保するだけではなく、もっと大きな利益を受けていることをこのほど確認し、このほど「Scientific Reports」誌にオンライン発表した。
◎アリの攻撃性を高める化学物質を甘露に入れる安全保障策
研究グループは、ヨモギに取り付くアリ随伴型のヨモギヒゲナガアブラムシが排泄する糖を含む甘露には、脳内アミンの1種であるドーパミンが含まれていて、甘露を吸い取った摂取した随伴アリの攻撃性が上がることをした(写真)。
なんとアブラムシは、アリに化学物質が入った甘露を与えて行動を操作し、アリを攻撃的にさせて、外敵から守ってもらってもらっているのだ。
アブラムシがドーパミンを甘露に混ぜるようにしたのは、長い進化の歴史で、共生関係をさらに深め、自らのサバイバルをさらに固めるように自然淘汰が働いた。
これで、アリとアブラムシの双方に、「win-win」の強い双利共生関係が成り立ったのである。
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昨年の今日の日記:「タスマニアデビル、オーストラリア大陸に8000年ぶりに復活、絶滅危機を乗り越えて」
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