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2021年07月15日15:54

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読書「正欲」「喰うか喰われるか 私の山口組体験」「石を放つとき」『シャムのサムライ 山田長政』『鳥獣戯画 決定版』

「正欲」朝井リョウ著
小児性愛者のパーティで逮捕された3人。話は遡り本人達や周辺の人々の関わりから事件の真相を描く。検事の息子は不登校でYoutubeを始めるが奇妙なリクエストがくる。水フェチの女性は同じ性癖の男性と結婚する。男嫌いの女子大生は性癖を隠す美男子大学生に執着する。価値観の違う同士の対話の応酬や、女性陣が積極的なのも著者らしいところ。いびつでしんどい関係の描写が殆どなのにイヤミス的に面白く読ませる。諦観からの拒絶に相手からの攻撃。同好の士との繋がりへの渇望と罠。人の数だけフェチもある。いずれ多数派は少数派になるかもしれず

「喰うか喰われるか 私の山口組体験」溝口 敦著
著者は長らくノンフィクションライターとして信頼を得て山口組を取材して記事を執筆。著作を巡って脅され自分や息子が襲撃されるも沈黙せず関わりを続ける。伊丹十三監督との対話で語られる矜持。黙るのは加害者の思うつぼなのだと。山口組50年の歴史の他、昔のBSE問題や細木数子裁判などの裏側も描かれる。

「石を放つとき」ローレンス・ブロック著
探偵マット・スカダーシリーズの短編&ショートショート集かと思いきや後半は長編だった。主人公探偵はこつこつと証言を集めて真相に迫ってゆくタイプなので会話が多い、というより会話主体で話が進んでゆく。薄暗いバーの雰囲気が思い浮かんでくる。

『シャムのサムライ 山田長政』幡大介著
江戸時代、主人を守り抜刀した罪で追われ、シャム(タイ)に渡った山田仁左衛門(長政)はソンタム王の傭兵となる。ビルマやスペインと戦い、王位継承の内乱に巻き込まれる。無私に戦う彼に主人公にシャムの友は言う。武士の忠義とは主君を自分だと思い違いをすることではと。異国でも侍であり続けるしかなかった男の一代記。

『鳥獣戯画 決定版』増記隆介 監修著
鳥獣戯画を事細かに解きほぐした解説書。絵巻の有名な絵からあまり知られていない絵まで甲乙丙丁の絵巻を全網羅。大きな絵図だからこそわかる筆遣いの上手さ、線の美しさ、対象の生き生きとした筆致は現在でも通用する名人の腕。

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