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2021年03月12日22:02

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福島モノローグ

3/12(金) NHKラジオ第1 高橋源一郎 飛ぶ教室 
https://www4.nhk.or.jp/gentobu/

このラジオ番組、うちの母も毎週聞いてると言っていた。実家でその話が出た。高橋源一郎と室井佑月が夫婦だった(ひとり息子がいる)話とか。高橋源一郎が4度も結婚しているという話とか。で母や妹と盛り上がった。

本日の放送 メモ
■ひみつの本棚 いとうせいこう「福島モノローグ」

忘れたいことがある。忘れられないことがある――福島から語られる「いま」の声は、死者の声を響かせながら、未来へと向かう。『想像ラジオ』の著者による、21世紀の『苦海浄土』(水俣病など1950〜1960年代の日本の公害問題について書かれた石牟礼道子の聞き書きの形をとった小説)

■今日のセンセイ いとうせいこう

いとうせいこう「想像ラジオ」(2013)という小説も、311震災後の福島のことを書いている(野間文芸新人賞受賞)。実際に存在しないラジオ局のDJ リスナー対象者は死者。非当事者が当事者の人の話を書いていいのかという葛藤があった。
今度は聴く番。福島の人々にヒアリングし、「福島モノローグ」を書いた。聞き手(自分)は姿を消し、語り手のモノローグ(ひとり語り)の形式。自分の言葉(編集や創作も)はいっさい排除した。
帰還困難区域に放置された牛を世話をする女性の語り。 地元に小さなFMラジオ局(福祉ラジオ)を作った人の語り。仮設住宅を6回転々とし災害公営住宅が終の棲家という短歌が得意な96歳のおばあちゃんの語り・・を抜粋して高橋源一郎が朗読。

そもそもは、これらを本にして発表する気もなく重ねたインタビューだった。96歳のおばあちゃんには縁あってつながり去年リモートでインタビューした。
いとうせいこうのライフワーク「遠くまで人の話を聞きに行く」稼業。ジャーナリストの仕事ではなく意識的に作家としての視点。ジャーナリストなら政治的なステートメントを確認してレポートを書くが、作家の視点ではその人の熱量で書く。

聞き書き=もともと言葉を持っている(文章で表現することができる、権力を持っている)人には必要ないことである。自らの言葉を持たない弱い立場のひとに聞き書きする。すごく意味のあること。以前紹介した藤本和子著『ブルースだってただの唄 黒人女性の仕事と生活』も差別を受けてきた弱い立場の女性の聞き書き。当時はLGBTとかジェンダーとかいう言葉もなかった。

いとうせいこうの近著は「国境なき医師団を見に行く」。その前もガザ地区の難民キャンプを取材して本を出している。
戦争等で難民となった人々と、大規模自然災害の被災者は同じじゃないか。
「被災学」をうちたてたほうがいいと思う。日本の被災者支援は世界標準とかなり違う。避難所の体育館に詰め込まれプライバシーもない状態。メンタルケアをしない。「がんばれ」「耐え忍んでよみがえるんだ」の精神論。
10年たっても傷は癒えない。復興は幻想なのか。災害関連死。
聞き取りのとき、「今も大変でしょうね」の一言で心をひらいてくれる。

いとうせいこうは、プライベートでは子供ができたばかりらしい。コロナ禍なので病院の妻にも子供にも会えないのだとか。出産子育ての日常にも特異な状況がつづいている今、作家としては書くべきことがまだまだたくさんあるようだ。

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