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2020年01月05日07:55
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『サイゴン・クチュール』＠ K's Cinema(新宿南東口)
昨年10月のサイゴン(現ホーチミン)旅の後、
つい懐かしくなってベトナム映画を観た。
『第三夫人と髪飾り』＠ Bunkamuraル・シネマ
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とても美しい映画だった…
そこで、他のベトナム映画の予告映像を見せられ
チラシも入手。
面白そうだね､公開したら来ようか？
そんな話をしても､映画って気付くと終わっていたりするのだけれど、
同行のSは忘れなかった！
年明け早々、お誘いのメールが入り、
フットワーク軽く、出掛けて行った。
1/4(土) 12：30〜(100分)
会場は新宿南東口の K's Cinema
初めての映画館。
新宿駅南東口至近。
置いてあるチラシを見ると、
マイナーながらなかなかの佳作を上映しているようだ。
また、観に来ることになりそう…
さて、上映スタート。
物語の舞台は1969年のサイゴン。
(ベトナム戦争のただ中､
フェミニズム運動や人類の月面着陸､ｳｯﾄﾞｽﾄｯｸ･ﾌｪｽﾃｨﾊﾞﾙなど、
若者たちは海外に目を向け希望に満ちていた時代：監督談)
9代続く旧家のアオザイ仕立て屋の娘｢ニュイ｣は、
ミス・サイゴンに選ばれるほど美しくファッション・センスも抜群。
しかし60年代の新しいファッションに夢中で、
家業のアオザイには全く興味を示さず仕立も出来ない。
ある日、そんなニュイを叱る母と大げんか！
その直後！
家伝の翡翠の魔力(？)で
現代､2017年にタイムスリップしてしまう。
(ベトナム史上最もエネルギッシュな時代：監督談)
生きていた“今”から48年後のサイゴン。
戦争は終わり､1975年には街の名もホーチミン市と変わり、
60代のニュイは
店を没落させ､荒れ果てた生家に引き籠り酒浸りの日々…
当然、姿も気概も変わり果てて居た。
どうしてこんなことに？！
母が急逝し､ニュイは伝統のアオザイを捨て
ニューファッションの店を開店させるも失敗、倒産。
その後､何もしようとせず無為に過ごし､
母の愛弟子で､アオザイの仕立ての第一人者となっている｢タン･ロアン｣の
お情けでただ生きてきた結果だった。
20代のニュイはそんな自分の未来を変えるべく、
タン･ロアンに頼み込み､
現代ファッション業界の最先端で活躍する彼女の娘｢ヘレン｣の元に潜り込み、
悪戦苦闘する中､60年代ファッションの復活という機に乗じ､
上客の目に留まる。
しかし、そんなニュイがアオザイは仕立てられないと知ったヘレンは、
あえて上客に、現代のアオザイの可能性を進言、
ニュイはそんなアオザイを創ってショーを開かねばならなくなる。
アオザイについては何もわからないと落胆するニュイ…
そんな彼女を見て、60代のニュイはタン･ロアンの元に行き､
家に代々伝わるアオザイの仕立て方を教えて欲しいと懇願する。
タン･ロアンはニュイがそう言ってくるのを待っていたと、
伝家の製法を伝え…
ニュイの、現代のアオザイのショーは大成功！
60代のニュイも生気を取り戻し、
見る影もなかった生家も昔の輝きを取り戻し…
…無くなっていたあの翡翠が見つかり、その力が発動！
ニュイは、1969年､タイムスリップした“あの時”に戻っていた。
そしてすぐに､生きている母を見つけ、
それまでの自分の態度を謝罪し、まず家業を大切にすると伝える。
すっかり変わった(アオザイも仕立てられると言う)娘に
母は驚きながらも喜び、ハッピーエンド。
エンドロール後、
ニュイの子孫､店の20代目が､
アオザイもドレスも飾られた賑わう店を切り回す映像が映り、
ハッピーエンドの再確認。 しゃれた THE END だった。
SFコメディとジャンル分けされる本作。
筋立ては､｢バック・トゥ・ザ・フューチャー｣×｢プラダを着た悪魔｣
と一言で言ってしまえる他愛もないものだが､それを承知で、
ベトナム､サイゴンの街と美しいアオザイを観に行ったので大満足。
ベトナムを代表する新世代の女性クリエイター達がつくりあげた
POPでキュートな極上のエンタテインメント！
なるものを堪能できた。
もっとも、POPもキュートもあまり興味のない私…
色々な年代の登場人物たちが身に着けるベトナムの伝統衣装アオザイに
心惹かれた。
アオザイ(áo dài)は､丈の長い上衣と長ズボンがセット。
現代でも､結婚式や誕生日､祭りなど普段の生活の重要なイベントで着られ、
また､女子生徒の制服として純白のアオザイを採用している学校もあるとか。
映画のコスチューム・デザイナー｢トゥイ・グエン｣さんは
ベトナムを拠点に世界で活躍中で
アオザイをテーマに､現代的でPOPなﾌｧｯｼｮﾝ･ｴﾝﾀﾃｲﾒﾝﾄとして
国内で大ヒットした本作に出てくる新しいアオザイは若者に大流行！
(ジーンズに合わせるアオザイも考案！)
アオザイのブランドも立ち上げ、
ベトナムのファッション界に影響を与えているそうだ。
日本の着物も私は大好きな民族衣装で、
生活の重要なイベントで着られるのはアオザイと同様だが、
女子生徒の制服にはとても使えない。
着付けが難しい？ 帯結びが大変？
そんな所が、現代に廃れつつある要因なのかな〜？
わりと気軽に着られ(そう見えるのだが)
丈の調整もできるアオザイは、現代のファッションに生まれ変われるの
だろうが、着物は難しいかなぁ〜
懐かしいサイゴンの街の映像と
美しいアオザイを堪能し、
大好きな着物をそこに投影させてみた素敵な映画だった。
ファッション、特に60年代に造詣が深いおしゃれな人は、
私の何倍も愉しめそうな映画である。
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