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2019年12月29日19:43
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“特別展 流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美”＠京都国立博物館
晩秋、中高の同期と当時の恩師と｢飛鳥｣に旅に出た。
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往路途上、京都でちょっと時間が取れる。
ただブラブラするのももったいないので京博の展覧会をチェックしたら
この特別展開催中！
この｢佐竹本三十六歌仙絵｣は、
元々、鎌倉時代に作られた､
柿本人麻呂や小野小町など｢36歌仙｣を描いた1巻の絵巻物が、
京都の下鴨神社所蔵→旧秋田藩主・佐竹侯爵家(佐竹本はここから)
と渡り、佐竹侯爵家の没落で売却され、
｢船成金｣｢虎大尽｣の異名を取った実業家･山本唯三郎が高額で購入。
しかし彼もすぐに財産を失い､手放すことに。
だがあまりに高額で買い手がつかず…
そこで、財界人や古美術商たちが一歌仙ずつ購入､ということで
日本美術史上の衝撃的大事件＜絵巻切断＞が決行されたもの。
その事件からちょうど100年となる2019年。
全37点のうち、過去最大の31点が揃っての公開で、
“奇跡の再会”！であり､２度とこれだけ揃うことは無いだろう！
とのこと。
これは、凄いチャンス！と小躍りして、
往路同行の恩師と出掛けて行った。
11/22(金)
最近すっかりハマっている､
競技かるたに青春を賭ける若者たちの漫画｢ちはやふる｣の
主人公２人がナレーションを担当とのことで、
日頃は借りることのない音声ガイドを借り、
会場入場。３階に上がって第１章。
第１章 国宝(三十六人歌集)と平安の名筆
第２章 “歌聖”柿本人麻呂
歌仙絵が生まれるまでの前史や文化的背景を提示。
巻物や冊子をバラバラにして鑑賞の対象とする伝統が
古くから存在した事実と、
茶の湯とともに古筆や絵巻の断簡を表装して茶席に飾る趣向の誕生が、
｢佐竹本｣分割購入後、益田鈍翁ら近代数寄者にも受け継がれた
という流れを見せてくれる。
第３章 “大歌仙”佐竹本三十六歌仙絵
目玉はこの31件！と思ったら、展示替えがあって、
実際観られるのは25点…
女流歌人は２人｢小野小町｣と｢小大君｣のみ展示というが、
会期中前後期に分け１人ずつ。
この日は｢小大君｣のみで…
ちょっとずるいなぁ〜
２人揃ったところを観たかったなぁ〜
＜観られなかった小野小町＞
大正､昭和､平成と幾度も幾人も所有者を経た、
流転のエピソードもまた興味深い。
＜数少ない､１カ所で大切にされ続けた幸せな１点＞
分割されたからこそ、持ち主の趣向がそれぞれの絵に表れ…
坂上是則：
みよしのの 山の白雪 つもるらし ふるさとさむく なりまさりゆく
表装の布に雪が降りしきる図案を使った趣向。
分割に際しては、
実業家･茶人の｢益田孝(号･鈍翁)｣らが発起人となり､
財界人､古美術商などが個別購入することを申し合わせ、
1919年(大正8年)12月､東京･御殿山の益田邸｢応挙館｣(現在､東博に移築保存)
で行われたクジ引きによって決定。
その日までに歌仙絵の糊付けをはがして分割され、
｢切売｣｢切断｣などのショッキングな表現で報じられたとか。
当時の読売新聞が｢この名品の散逸の前提ともいふべき分割の擧
は惜しみても餘りある事と云はなければなるまい｣(1919､12/12)
と憂え、やがて文化財保護のための法律整備につながっていったそうだ。
さて、
３人の姫君がどうしても人気を集める(不人気は僧侶 )中での
クジ引き時、主宰の鈍翁に僧侶が当たってしまい…
妙な雰囲気になった場の空気を読んで、
姫を当てた者が交換を申し出、事なきを得たそうだ。
なんだか大人げないな〜とは思うも、
マニアの心理！ 非常にワカル！
そんなエピソードのあった｢応挙館｣の写真は
第３章､最初の展示室に､
応挙館の由来の円山応挙筆の襖絵や、
佐竹侯爵家が絵巻物を納めていた蒔絵の箱、
クジ引きに使われた道具などと共に展示されていた。
第４章 さまざまな歌仙絵
｢佐竹本｣と並ぶ歌仙絵の名品。
鎌倉〜室町時代の代表的な歌仙絵の類例を紹介。
第５章 鎌倉時代の和歌と美術
武士が台頭した時代にもなお、
絢爛たる文学･美術作品を生み出した王朝文化を紹介。
第6章 江戸時代の歌仙絵
土佐光起、鈴木其一などの筆による三十六歌仙の屏風3点。
江戸時代に至っても画題として好まれ続けていたことを伝える。
同行の恩師は古典の先生。
書かれた文字も読め、背景も良くご存知で、
平安絵巻の世界を堪能されていた。
百人一首を知識の全てとして本展に臨んだ私は…(笑)
歌の中の数文字は読めるものの､全体を読み切るには､
解説の力を借りねばならないのがなんとももどかしく。
むしろ、絵そのものの美しさや、
分割後､己の美意識を賭け表装をほどこし､いつくしんだ
入手した人物それぞれに想いを馳せ、
くじ引き時の子供のような鈍翁の反応など、
それぞれのエピソードを愉しませてもらった。
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