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2019年11月12日19:22

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バイクのブレーキの前後の配分

バイクのブレーキの配分について、
7:3だ、8:2だ、9:1だ、6:4だ、フロントだけでいい、リアメインでかけるべき、とか色々な説がありますが、
いったい何が正しいのでしょうか?

これ結論を書くと、シンプルな配分で決められるほど単純なものではありません。
状況により、バイクにより、その時に適正な配分は多様にあります。

まずバイクの種類による違いですが、ハーレーとスーパースポーツだとまったく違います。
ハーレーは、重量配分がリアのほうが重く、リアにぶっといタイヤを履いています。
その為、ハーレーは、通常のブレーキだと、フロントブレーキをまったく使わなくても普通に止まれてしまいます。(止まれますが、前後のブレーキとも使う事を基本としたほうが良いです)

一方、600cc以上のスーパースポーツは、これもぶっといリアタイヤを履いていますが、それを太くしている目的はブレーキの為ではありません。
スーパースポーツは、国際サーキットで早く走れるように設計されています。
200キロ超〜300キロの最高速から、フルブレーキで50キロとかまで落とす場面も想定して設計されています。
そのようなハードブレーキでは、スリックタイヤやハイグリップタイヤを履いたスーパースポーツは、リアタイヤが浮いてしまうほどの強力なブレーキングをします。
通常の走行では、ぶっといリアタイヤのハイグリップタイヤを履いているので、リアブレーキだけでも十分な制動力がありますが、超ハードフルブレーキングで、リアタイヤがロックしにくいように、あえてリアブレーキの制動力を落としています。つまり、設計でリアブレーキの配分を落としています。
フロントはダブルディスクで、リアはシングルディスクの事が普通です。リアブレーキパットがリアディスクに当たる面積もフロントに比べると、だいぶ少なくなっています。
SSのぶっといリアタイヤは、強烈なパワーを路面に伝える事と、ドリフトアングルを少なくする事が目的です。(強力なブレーキングによるフロント荷重により、リアタイヤの荷重が少なくなりリアタイヤが滑り出すのを少なくする目的。)

スクーターやカブも、フロントよりリア荷重が大きい事が普通なので、ネイキットやスポーツバイクに比べると、リアブレーキを使う配分が大きくなります。
タンデム時(二人乗り時)や重い荷物を載せている時も、リアの荷重配分が大きくなるので、リアブレーキの配分を増やします。
私はやった事ないですが、オフロードでは、リアブレーキがメインで、フロントブレーキは、補助的に使うそうです。


では、状況による違いは、どうなるでしょうか。
これは、通常のブレーキと、急ブレーキと、峠やサーキットを速く走る為のブレーキとを分けて考えるべきです。

まず通常のブレーキですが、普通に街中を走行している時は、運転が上手な人は、急ブレーキをかける事はまずありません。
私は、普通に運転していて急ブレーキをかける事は、おそらく1万キロに1回くらいしかありません。1万キロに1回くらいは、自分が優先道路を走っている時に、自転車や自動車が、横から飛び出してくる事があります。
自動車でも運転が下手なドライバーは、無駄なブレーキや急ブレーキが多いです。
そうすると、荷重が前後に急に動くので、搭乗者は不快に感じます。
普通の運転では、前後の荷重移動が小さい事が理想です。つまり、なるべく急ブレーキをかけないのが理想です。
そうすると、フロントブレーキの役目は急ブレーキ時に比べて少なくて良いわけですから、フロントブレーキの配分は少なくて良いのです。
普通に止まるだけなら、フロントブレーキをまったく使わなくても止まれます。
ただし、フロントブレーキを使ったほうが、リアブレーキの余力が大きくなりますから、安全のためフロントブレーキも使ったほうが良いです。
片方のブレーキだけで止まるクセが出来てると、突発的なブレーキでロックさせて転倒するリスクが高くなるので、両方のブレーキを使うのを基本としたほうが良いです。

では、どう配分を使えば良いかの本題ですが、
まず、かけ初めの約0.1秒はリアブレーキだけかけます。
フロントブレーキは一瞬(約0.1秒)遅く掛け始めます。
これをする理由は、フロントブレーキが先にかかると、バイクはリアよりフロントが大きくダイブを始めますが、一瞬リアブレーキを先にかけると、リアが先に沈むような動きになります。(フロントも沈みますが、リアが一瞬先で、その後同時に沈むような動きになります)
それから先は同じ位、つまり5:5ぐらいの感覚でブレーキをかけます。
サスペションの動きは、前も後ろも同じくらい沈む感じ、つまり、なるべくフロントダイブしないようなブレーキのかけ方です。
この時私は、ブリッピングを使ったシフトダウンにより(ヒール&トゥ的なシフトダウンにより)エンジンブレーキも使います。

バイクによっては、通常に止まるだけなら、止まる最後のほうまで、エンジンブレーキだけで減速できるほど、エンジンブレーキがよく効くバイクもあります。エンジンブレーキをメインに使った走り方の場合、エンジンブレーキで足りない部分をリアブレーキとフロントブレーキで補います。フロントブレーキの仕事は微調整と急ブレーキ時がメインになります。(リアブレーキだけや、リアとフロントの両方での微調整でも良いのですが、足より手のほうが微調整しやすいです。超低速の場合はリアブレーキのみで微調整します。)

最後止まる瞬間は、フロントサスペションが、ゆっくり戻るように、フロントブレーキの割合を徐々に少なくしていきます。
止まる最後の一瞬はリアブレーキだけでも良いですが、微妙にフロントブレーキも使ったほうがピッチングの動きをコントロールしやすいです。
4輪車の止まる瞬間と同じように、ゆっくりブレーキを抜いて止まるようにします。
こうするとバイクであっても、大変スムーズなブレーキ操作になります。
特にタンデム時は、前後の荷重が高く大きくなるので、フロントダイブが大きくなりがちですが、このブレーキのかけ方ならば、一人乗りと同等のスムーズな停止が出来ます。
タンデム時にブレーキの制動力より、後ろに乗ってる人の快適さを優先するなら、リアブレーキメインの使い方がフロントダイブを少なく出来ます。エンジンブレーキとリアブレーキだけでは制動力が足りない場合には、フロントブレーキを補うように使います。

普通に止まる時の前後の配分の基本の割合は下記の流れになります。
0:10→5:5→5:5→5:5→5:5→5:5→4:6→3:7→2:8→1:9→0:10
(イメージです)

5:5でかけて、減速する力が弱いと感じたら、フロントを補うようにかけ増すといいです。(そのまま急ブレーキへの移行も、このかけ方で対応できます。初心者は、まずこの掛け方を覚えると良いと思います。)
徐行以下の速度で走る場合は、リアブレーキをメインにしたほうが扱いやすいと思います。


次に急ブレーキ時の前後の配分です。
急ブレーキをかけるだけで、ジャックナイフやストッピーしてしまうほどの、ハイグリップタイヤを履いていない場合と仮定します。(普通のバイクは、リアブレーキも適切に使っていれば、急ブレーキだけでジャックナイフやストッピーしないように設計されています。レーサーのスリックタイヤは、限界ブレーキをかけると、リアが浮いてくるので、ストッピーにならないところでコントロールしています。)

急ブレーキ時は、前荷重が強くなりますから、リアは荷重が弱くなりロックしやすくなります。
フロントは、荷重が大きくなるので、よりブレーキが効くようになります。
つまり、フロントメインのブレーキになります。
まず最初の約0.1秒は普通のブレーキと同じで、一瞬早くリアブレーキをかけます。
そして次の約0.5秒は、前後同じくらいの配分でブレーキをかけます。
この0.5秒というのはサスペションとタイヤが沈んでいく時間です。
サスの固さやタイヤの固さで差がありますが、感覚的には0.5秒くらいが平均です。
あくまでサスの沈み込みに合せてかけ増していきます。ガツンと一気にかけてはいけません。
ガツンと一気にかけると、タイヤのグリップの限界の遥か手前にロックしてスリップしてしまいます。ABSが付いていたとしても限界が遥かに低くなります。
そして約0.5秒のかけ増しがすぎて、リアタイヤのグリップの限界まできたら、フロントの配分を大きくしていきます。
リアブレーキは、そこから徐々に弱くしていきます。熟練すると、リアブレーキがロックしそうになる感覚がわかるので、そうなった段階で弱めてもいいです。
フロントは、そのままかけ増していきます。フロントフォークの沈み込みに合わせて、フロントブレーキを強くしていくようなイメージです。
フロントタイヤのロック寸前か、軽くロックしたところがブレーキの限界で、最もブレーキが効いている時なので、止まるまでその状態を維持します。フロントサスペンションが、かなりダイブした状態です。体も一緒にダイブしないように注意してください。体は後ろに踏ん張るように、なるべくリアに荷重をかけるようにします。
教習所で習うようなポンピングブレーキではなく、ブレーキは掛けたままで、力の入れ具合を、若干弱くしたり強くしたりでコントロールします。
急ブレーキなので、最後の止まる瞬間まで、その状態を維持します。
ロックした場合は、かけたまま一瞬ブレーキを弱めて、またすぐに掛け増します。
途中で、衝突の危険等なく止まれる事がわかったら、通常のブレーキと同じように、リアの配分を増やしてフロントの配分を少なくしていって、スムーズに止まれば良いでしょう。
ブレーキをかけながら何かを避けないといけない時は、急ブレーキをかけたままだと横滑りして転倒するので、ブレーキを緩めながら避けます。

急ブレーキの前後の配分は、下記のイメージです。
0:10→5:5→6:4→7:3→8:2→8:2→8:2

ウエット時の急ブレーキの配分は、下記のイメージです。
0:10→5:5→5:5→6:4→6:4→7:3→7:3

タンデム時やハーレーの急ブレーキの配分は、下記のイメージです。
0:10→5:5→5:5→5:5→6:4→6:4→6:4

急ブレーキ時もブリッピングによるシフトダウンを使ったほうが良いですが(エコ運転のギアに入っている時は、たくさんシフトダウンしている時間がないので使えません)、エンジンブレーキとリアのフットブレーキの併用で、4ストの場合リアブレーキが強すぎてロックしやすい状態になりますので、強烈なエンジンブレーキがかかった瞬間は、リアフットブレーキを若干抜いたほうが良いです。この時、フロントブレーキも一緒に抜かないように注意しましょう。
この作業は、最初は難しく感じると思いますが、慣れれば普通に出来るようになります。
リアタイヤが浮かない限りは、最後までリアブレーキを使ったほうが良いです。リアタイヤが浮いた場合は、車速よりホイールの回転数を急激に落とさないように、リアブレーキをかなり弱くします。エンジンブレーキもリアブレーキです。


最後に、峠やサーキットを速く走るためのブレーキ配分。
ここは最も奥が深く、細かく書くと話がすごく長くなってしまうので、なるべくシンプルに書きます。

コーナーの入り口のストレート部分は、当然急ブレーキになるので、前述の急ブレーキの場合と途中まで同じになります。
サーキットでは、まったくリアブレーキを使わないというレーサー、ライダーもたくさんいますが、リアタイヤが接地している限りは、リアブレーキも使ったほうが良いと思います。
リアが浮いた時に、リアタイヤの回転が車速より速くならないように抑えるという使い方も出来ます(落とし過ぎないように注意)。
エンジンブレーキもリアブレーキなので、それだけでも意味ありますが、特にエンジンブレーキが強くかかってない瞬間は、リアフットブレーキを使ったほうが良いです。
最もハードなブレーキングは、長いストレートから1コーナーに進入する時や、シケインやヘアピンに進入する時ですが、この状況では4スト車の場合、リアブレーキはブリッピングによるシフトダウンを使ったエンジンブレーキがメインで良いでしょう。リアフットブレーキは、補助的な使い方で良いです。
リアブレーキや強力なエンジンブレーキを使うと、フロントブレーキへの集中力が散漫になってしまい、結果的にブレーキが弱くなってしまうという事であればフロントだけでもしょうがないかもしれませんが、運転は同時に複合的な作業をする事に楽しさがあると、個人的には思っています。

峠やサーキットで人より速く走る為には、ストレートでブレーキを終わらせているようだと駄目です。
速い人は、コーナーの奥深くまで、ブレーキを使っています。
アンダーステアの車両の場合は、クリッピングまでブレーキを使うべきです。
ブレーキをかけながらバンクさせていきます。
ただし、フルブレーキでバンクはできません。
タイヤのグリップはブレーキに100%使っていると、横方向にグリップしません。
フルブレーキから抜いた分だけ、横方向にグリップが使えます。
ただし、ブレーキを抜き過ぎると、フロント荷重が足りなくて、これもまたグリップしません。
コーナーの前半は、ブレーキによるフロント荷重と内側への荷重とハンドルの切れ角とバンク角のバランスで曲がるものです。
速度に応じたこのバランスが最もよくなる配分があり、それが最も速いコーナリングになります。
バンク角が少ない人のほうが、コーナーリング速度が高いという事はめずらしくありません。
特にコーナーの前半では、バンク角より荷重が、低中速コーナーではそれにプラスしてハンドルの切れ角が重要です。

ストレートの終わりから、コーナーのクリッピングまで、適切なフロント荷重をかけながら、内側への荷重とハンドルの切れ角とバンク角を増やしていきます。(進入からのドリフト走行ではリアステアになるので、ハンドルの切れ角はバランスを取る事と進路方向を決める役目になります)
ブレーキを一気にリリースするような乗り方は駄目です。
そうすると荷重が一気に抜けて、転倒の原因になるし、遅くなります。
一方、フロント荷重が強すぎても(フロントブレーキが強すぎても)、フロントからの転倒の原因になるし曲がらないです。
最もコーナー速度が速くなるリリースの塩梅があります。(ここは私も、長年日々感覚を鍛錬しています。齢のせいか余り上達はしないので、現状維持を頑張っています。この塩梅は研ぎ澄まされた感覚が重要なので、劣化しないように走り込んで感覚を磨き続ける事が大事です。ブレーキの塩梅と同時に荷重移動とステアリング操作とバンク角のバランスも取らないといけません。速く走る為のライディングで最も差が出るのはここです。)

フロントブレーキをゆっくりリリースして、その瞬間は、まだリアブレーキは引きづるようにかけておきます。少なくともエンジンブレーキはかかるようにしておくべきです。
そうする事により、フロント荷重を維持して、曲がる力が急激に弱まらないようにします。
フロントブレーキを完全にリリースした瞬間は、フロント荷重が若干弱まり、曲がる力が若干弱まる事がありますから、上半身をより前にふせたり、より内側に荷重をかけたり、バンク角を増やしたり、ステアリング操作により曲がる力を補います。
フロントブレーキのリリースによりフロント荷重が若干弱まると、よりバンクさせやすくなる事が多いです。(ここはセルフステアを使っても良いですが、適切にステアリングが使えてる人はセルフステアを使わない方が速いです。)
フロント荷重が急に弱まった状態でよりバンクさせたり、急にアクセルを入れると、フロントから転倒します。
コーナーでフロントから転倒する人の多くは、このパターンか、オーバースピードによる荷重のかけすぎか、逆操舵による速すぎる倒しこみです。
コーナーリングで最も安定感が低くなりがちなのが、このフロントブレーキのリリースからクリッピングまでです。上手い人は、ここで安定感を出しながら速く走る方法を知っています。

このクリッピング付近は、リアからの転倒も多いです。
リアからの転倒は、急激な荷重の変化が原因になっている事が多いです。
そこに絶妙なタイミングでパワーがかかった時に転倒しやすいです。
私は、これらの理屈をわかっていたので、普通にスリップダウンする転倒は33年していないです。(33年前は、タイヤが暖まってなくて、リアタイヤの滑りが止まらなくて転倒しました)
クリッピング付近では、残したリアブレーキでリアタイヤとフロントタイヤの荷重のコントロールをするのがポイントです。転倒しにくくなります。
究極に上手い人は、フロントブレーキメインからリアブレーキのみへの移行が大変スムーズなので、どこでフロントブレーキを離したか見ていてもわからないくらいです。
リアブレーキだけでも、フロントタイヤの荷重もコントロールできます。ダートラやカートはリアブレーキだけしか付いていない事が普通です。余談ですが、ダートラにフロントブレーキがないのはフロントロックによるフロントからの転倒を減らす為だと思います。カートにフロントブレーキがないのは、追突とスピンを減らす為だと思います。
クリッピングから立ち上がりは、より内側への荷重やステップ荷重も状況により使います。

峠で、人より速く走りたい人のブレーキ配分は下記のイメージになります。
0:10→5:5→6:4→7:3→8:2→8:2→8:2→6:4→4:6→2:8→0:10→0:0

サーキットでのブレーキ配分は下記のイメージになります。
0:10→5:5→6:4→7:3→8:2→9:1→9:1→7:3→5:5→3:7→1:9→0:10→0:0

峠やサーキットと書きましたが、このような急ブレ―キの使い方は、安全マージンを考慮してないので、ここぞという時だけ使って、峠では1〜2割ほどの安全マージンを残して流して走るくらいのほうが良いと思います。峠では、知り尽くしている道以外では、安全マージンのないブレーキは、絶対にやめましょう。
サーキットでは、自分が楽しいと思えるマージンをとればいいです。マージン0のブレーキだとミスが多くなるでしょう。最近のモトGPライダーは安全マージン0のブレーキングをしています。結果、フロントからの転倒が多いです。
安全マージン0のブレーキングは、リスクはありますが、腕は確実に良くなります。
私はブレーキの練習は、後ろから何も来ていない時に黄赤信号になった時に、停止線に急ブレーキでぴったり止まるようにしています。

マルケスが速い理由
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