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2019年06月30日22:51
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読了２冊／創作者 物
「女性作家」／柴田よしき
白い部屋／青い部屋／紫苑の栞
銀色の砂粒／夢の続き／終わりの味
ベストセラー作家｢豪徳寺ふじ子｣を
主に､彼女をその傍らで支え続けた秘書で作家志望の｢佐古珠美｣の
視点で描いた作品。
ふじ子は､本当はどんな女性？
奔放？ 利己主義？ エキセントリック？
彼女が本当に求め続けていたものは何だったのか？
なんだか哀しい…
で、結末も哀しい〜
ただ、これ、伏線が敷かれてたのよね。
初めての作家さんだったけれど、
読み易く呑みこみ易く、イッキに楽しく読了できた。
「肖像彫刻家」／篠田節子
装画：井筒啓之
息子に
「親父はその分野ではそこそこ才能のある作家だったし、
いくつか賞を取ってもてはやされた時期もあったらしいのですが
ちょっと人間的にだらしないところがありまして…」
と、評される高山正道は､今､稼ぎのない彫刻家。
両親の死も知らずイタリアで時を過ごしていたがいよいよ見切りをつけ、
凄腕生保レディの姉｢薫｣の口利きで､山梨県南麓町に移り住み、
50歳を過ぎて肖像彫刻家として新たな道を踏み出すことに。
細々と仕事を続けていくのだが、妙な事が起き始め…
第一話 レオニダスとニケ
正道が肖像彫刻家となるに至る前説とその最初の仕事。
自身の広告塔にすべく樹脂で創り上げたのは
ギリシア､スパルタの英雄｢レオニダス｣と女神｢ニケ｣｡
しばらく県道沿いに飾って置いたら､
大家の｢菱川｣が､息子のイタリア料理店の飾りにと購入していき…
しばらくして、2体の像はなぜか、田んぼの真ん中に立っていた｡(表紙)
第二話 雪姫坐像
近所のお寺｢回向院｣から､
開山の祖｢雪姫｣の像が､通常は非公開だが寺の訪問者に見て頂きたく､
レプリカ？いやいや､｢ご分身｣を造って頂きたい､という注文が入った。
秘像ということで､これで製作をと見せられた写真は、
丸坊主の50過ぎにしか見えない老尼の像だった。
とにかく造って納めると､もう一体注文される。
その意図は？！
第三話 高砂
姉から､100万で両親の等身大の胸像を造れと厳命が下った。
が、渾身の出来！の粘土型は､それを見た姉から､
最晩年の母への恨みをイッキに流出させた。
続けて創った父の像もいい出来で…
姉に納めて2カ月、
胸像の両親が喧嘩すると､姉から聞かされた。
そして後日、夫婦に距離を置いたら(胸像を引き離したら)
喧嘩はしなくなったそうだ。
（写真は肖像彫刻のイメージ↓）
第四話 雪姫立像
雪姫像が夜中に動き回る、と回向院から連絡が入る。
そんな噂が心霊サイトに流れて話題になっていると言う。
住職の娘はそれを活かして商売を拡張した。
そんなある日､正道は回向院に一泊することに…
そして！ たしかに何かを見た！！
自分の創る像には本当に魂が宿るのかもしれない…
そう思い始めた矢先、亡妻の像を依頼された。
第五話 最高峰
｢魂が宿る｣像の作者として､ボチボチ依頼がくるようになったある日、
知の最高峰と謳われた学者､後藤田宗一郎の像を､
その内に小さな骨壺を納めて造ってくれと､娘に依頼された。
記念館になる軽井沢の別荘に置くと言う。
その2階の居室部分に住む後妻に､父殺害を白状させるため、
魂の入った父の像を置きたいと言うのだ。
そして魂の入った像の真実は？！
第六話 アスリート
正道がイタリアで学んだﾛｰﾏﾝﾛｽﾄﾜｯｸｽ法の真骨頂に挑戦できる依頼が
舞い込んだ。
新体操の演技中の停止ポーズを裸体で造ってほしいと言う。
が、会心の作を納品後2カ月、引き取って欲しいと言う。
新たな恋人が出来たから。
そして現れた｢彼女｣は…
第七話 寿老人
別れた妻が､
最近､ずっと昼間は1人になってしまった母親に
孫2人の幼少期の肖像彫刻を造ってやって欲しいと言う。
そして出来上がった作品はなかなかの物で、
当初､母は喜んだが､今は前よりもっとふさぎこむようになったとの事。
ひょんなことで､正道は老人の本音を知る。
老人は幼子たちを可愛いと思ってもその像に力づけられることはない。
人には､親子孫の縦糸の繋がり以上に強い同世代の繋がりがあるのだ。
早速､渡されていたスナップから故人となった親類友人の像を造り上げた。
その後母は亡くなったが､像が届いてからはどんどんアッチ側に居ることが
多くなっていったらしい。
そんなこんなで、正道は、
魂を持つ像を創る肖像彫刻家として少しずつ知られるようになり､
これからもなんとかやっていけそうである。
篠田さん。
私の中では｢イヤミス｣(イヤな読後感のミステリー)の大家である。
その彼女が書いた､らしくない作品。
それでも面白い！ さすがに巧い！
人の魂が像に宿ったら､恨みつらみで人を呪うなんてぇことはなく
本当はこんな感じかな？という､いかにも居そうな霊たち。
そんなちょっぴりの“不思議”に人の心の闇を散りばめ
素敵な物語を書き上げてくれた。
本当に、間口の広い作家である。
白い部屋／青い部屋／紫苑の栞
銀色の砂粒／夢の続き／終わりの味
ベストセラー作家｢豪徳寺ふじ子｣を
主に､彼女をその傍らで支え続けた秘書で作家志望の｢佐古珠美｣の
視点で描いた作品。
ふじ子は､本当はどんな女性？
奔放？ 利己主義？ エキセントリック？
彼女が本当に求め続けていたものは何だったのか？
なんだか哀しい…
で、結末も哀しい〜
ただ、これ、伏線が敷かれてたのよね。
初めての作家さんだったけれど、
読み易く呑みこみ易く、イッキに楽しく読了できた。
「肖像彫刻家」／篠田節子
装画：井筒啓之
息子に
「親父はその分野ではそこそこ才能のある作家だったし、
いくつか賞を取ってもてはやされた時期もあったらしいのですが
ちょっと人間的にだらしないところがありまして…」
と、評される高山正道は､今､稼ぎのない彫刻家。
両親の死も知らずイタリアで時を過ごしていたがいよいよ見切りをつけ、
凄腕生保レディの姉｢薫｣の口利きで､山梨県南麓町に移り住み、
50歳を過ぎて肖像彫刻家として新たな道を踏み出すことに。
細々と仕事を続けていくのだが、妙な事が起き始め…
第一話 レオニダスとニケ
正道が肖像彫刻家となるに至る前説とその最初の仕事。
自身の広告塔にすべく樹脂で創り上げたのは
ギリシア､スパルタの英雄｢レオニダス｣と女神｢ニケ｣｡
しばらく県道沿いに飾って置いたら､
大家の｢菱川｣が､息子のイタリア料理店の飾りにと購入していき…
しばらくして、2体の像はなぜか、田んぼの真ん中に立っていた｡(表紙)
第二話 雪姫坐像
近所のお寺｢回向院｣から､
開山の祖｢雪姫｣の像が､通常は非公開だが寺の訪問者に見て頂きたく､
レプリカ？いやいや､｢ご分身｣を造って頂きたい､という注文が入った。
秘像ということで､これで製作をと見せられた写真は、
丸坊主の50過ぎにしか見えない老尼の像だった。
とにかく造って納めると､もう一体注文される。
その意図は？！
第三話 高砂
姉から､100万で両親の等身大の胸像を造れと厳命が下った。
が、渾身の出来！の粘土型は､それを見た姉から､
最晩年の母への恨みをイッキに流出させた。
続けて創った父の像もいい出来で…
姉に納めて2カ月、
胸像の両親が喧嘩すると､姉から聞かされた。
そして後日、夫婦に距離を置いたら(胸像を引き離したら)
喧嘩はしなくなったそうだ。
（写真は肖像彫刻のイメージ↓）
第四話 雪姫立像
雪姫像が夜中に動き回る、と回向院から連絡が入る。
そんな噂が心霊サイトに流れて話題になっていると言う。
住職の娘はそれを活かして商売を拡張した。
そんなある日､正道は回向院に一泊することに…
そして！ たしかに何かを見た！！
自分の創る像には本当に魂が宿るのかもしれない…
そう思い始めた矢先、亡妻の像を依頼された。
第五話 最高峰
｢魂が宿る｣像の作者として､ボチボチ依頼がくるようになったある日、
知の最高峰と謳われた学者､後藤田宗一郎の像を､
その内に小さな骨壺を納めて造ってくれと､娘に依頼された。
記念館になる軽井沢の別荘に置くと言う。
その2階の居室部分に住む後妻に､父殺害を白状させるため、
魂の入った父の像を置きたいと言うのだ。
そして魂の入った像の真実は？！
第六話 アスリート
正道がイタリアで学んだﾛｰﾏﾝﾛｽﾄﾜｯｸｽ法の真骨頂に挑戦できる依頼が
舞い込んだ。
新体操の演技中の停止ポーズを裸体で造ってほしいと言う。
が、会心の作を納品後2カ月、引き取って欲しいと言う。
新たな恋人が出来たから。
そして現れた｢彼女｣は…
第七話 寿老人
別れた妻が､
最近､ずっと昼間は1人になってしまった母親に
孫2人の幼少期の肖像彫刻を造ってやって欲しいと言う。
そして出来上がった作品はなかなかの物で、
当初､母は喜んだが､今は前よりもっとふさぎこむようになったとの事。
ひょんなことで､正道は老人の本音を知る。
老人は幼子たちを可愛いと思ってもその像に力づけられることはない。
人には､親子孫の縦糸の繋がり以上に強い同世代の繋がりがあるのだ。
早速､渡されていたスナップから故人となった親類友人の像を造り上げた。
その後母は亡くなったが､像が届いてからはどんどんアッチ側に居ることが
多くなっていったらしい。
そんなこんなで、正道は、
魂を持つ像を創る肖像彫刻家として少しずつ知られるようになり､
これからもなんとかやっていけそうである。
篠田さん。
私の中では｢イヤミス｣(イヤな読後感のミステリー)の大家である。
その彼女が書いた､らしくない作品。
それでも面白い！ さすがに巧い！
人の魂が像に宿ったら､恨みつらみで人を呪うなんてぇことはなく
本当はこんな感じかな？という､いかにも居そうな霊たち。
そんなちょっぴりの“不思議”に人の心の闇を散りばめ
素敵な物語を書き上げてくれた。
本当に、間口の広い作家である。
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