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2019年04月09日18:34
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｢フォルトゥナの瞳｣／百田尚樹
“フォルトゥナ”とはローマ神話の運命の女神。
主人公の青年｢木山慎一郎｣は、幼少時､火事で両親と妹を亡くし､
施設で育った。
生来まじめだが､孤児であることで多くの人々の悪意に接し､
他人と打ち解けず､また､自分に自信が無く内向的な人間になっていた。
しかし､勤務先の自動車のコーティング工場の社長は、
そんな慎一郎を認め､何かと目を掛けてくれる。
そんなある日､通勤途上の列車内で､慎一郎は手が透き通っている人を見る。
それから､そんな人間に時折遭遇するうち、
死を目前にした人間がそう見えるのだと気付く。
その瞳は、他人の運命を見通す｢フォルトゥナの瞳｣なのか？
他人の死が近いことがわかって、自分に何ができるのか？
慎一郎は煩悶する。
自分は他人の運命を変えられるのか？
それは正しい事なのか？
それでも目前の死から他人を救おうとするが、
救われた方はそれがわからず、かつ、
そうすることは慎一郎の肉体に重篤なダメージを与えるらしい。
命を救った女性｢桐生葵｣と恋におち、
明るい未来がみえてきた慎一郎だが、
多数の､同じ列車を利用する人々に死の気配が現れていると気付き、
近々列車事故が起こりそうだと察知する。
そんな多数の人々を救ったら
自分はどうなる？
彼らの運命を変えようとなどせず、
自分は葵との幸せな未来にだけ思いを馳せればいい！
慎一郎の心は大きく揺れ動く…
｢永遠の０｣､｢海賊とよばれた男｣の百田尚樹さん、
｢風の中のマリア｣は私の人生のベスト20には入りそう！
だが､
あぁダメだ､もう読めない、と放り出した作品もある。
そんな百田さんが､
こんなに普通の物語も書くんだ！とちょっとびっくり。
自身の持つ超能力で他人を助けられるが、
それと引き換えに自分の命を削り…
そんな物語､どこかにあったような？ありがちな？作品だが、
(キャラメルボックスの｢リトル･ドラマー･ボーイ｣もそうだった)
そこはさすが！
ストーリーはそうでも、文章力でぐいぐい読まされ、
気付いたら400ページ､イッキ！
ラスト、エピローグも、
想定内だったが､それだけにストンと在るべき形に落ち着いて、
読後感がスッキリ！ とてもイイ！
本作、
アノ！映画｢３月のライオン｣のコンビ、神木隆之介､有村架純で
今年､2月に映画化されていた。
慎一郎は､神木くんでは素敵過ぎるな､
私のイメージだと､柄本佑､時生兄弟のどちらか…(失礼？ 笑)
でも､葵は有村さん、いいな！
映画｢3月のライオン｣をチェックした時､本作を知ったはずだけど、
あらすじをチラリと読んで、ま、映画で観なくてもいいか…
とスルーしてしまったらしい。
原作が百田さんだったなんて思いもしなかった。
映画がTVに下りてきたら､絶対観るわ！
でも、百田さんの文章“らしさ”って映像化できるのかな？
ただストーリーを映像化しただけだと、
軽い、超能力物のラブストーリーになっちゃうのよね。
ま、それでも、他のキャストもいいので、
（時任三郎/斉藤由貴/志尊淳/北村有起哉…etc）
そこそこ楽しめるかな？
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