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2018年01月07日13:00

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「2001年宇宙の旅」

NHK−BSで「2001年宇宙の旅」の映画があった。
途中休憩がある長い映画だった。
ずっと昔の映画で大変有名だったが今まで見たことが無かった。
しかし原作がアーサー・C・クラークで、映画は監督がスタンリー・キューブリックの作品であることは知っていた。

一言でいうと大変すばらしい映画だった。
1968年製作となっているのでいまから50年前のSF映画だ。
もちろん50年前のSF映画だから突っ込みどころはいろいろあるが、それを越えてすばらしい。

物語は400万年前の地球の夜明けから始まる。この夜明けのシーンがすばらしい。息をのむほどに美しい。
夜明けの後、人類の祖先(猿人)たちの生活風景から始まる。(ほとんどチンパンジーだ。)
その猿人たちが奇妙な物体を見つける。明らかに人工的なモニュメントのようなもので細長い石碑のようなものだ。
猿人たちは動物の骨を道具として使うように進化していく。猿人たちがその骨を放り投げると、場面は現代へと変わっていく。

次の場面は宇宙ステーションの中で旅行者が歓談している。その中の一人が宇宙評議会のフロイド博士で、彼は月のクレーターの中で見つかった謎の物体の調査に行くところだ。
月の基地に行き、見つかった謎の物体を見ると400万年前に猿人が見つけたものと同じものだ。しかもその物体から木星に向かって強力な電波を発信している。
通称「モノリス」と説明される。

次のシーンは初の有人木星探査機の中へと変わる。
乗組員が5人となっているが3人は人工冬眠中でケースの中に入っており画面には出てこない。
ここでの登場人物は船長のボーマンと副船長のプールとHALというコンピュータだ。HALには人格がありこの宇宙船を制御している。
ボーマンとプールはHALがおかしいことに気づく。二人はHALの電源を切ろうと相談するが、それをHALに知られる。
HALは乗組員を殺害しようとする。HALはコンピュータが故障したので2人に宇宙船の外に出て修理するよう依頼する。2人が外に出て調べると故障はなく、プールは宇宙服を破壊され、人工冬眠中の3人が生命維持装置を停止されてしまう。
ボーマンはHALに宇宙船の扉を開けるよう命令するがHALは開けない。ボーマンは非常口から強引に入り、宇宙船の中心部に行きHALのスイッチを切っていく。このときHALは電源を切らないように哀願する。”もう病気は治った””指示に従う”など非常に人間的だ。
ボーマンは構わずすべてのスイッチを切る。

この後宇宙評議会からこの宇宙船の真の目的が明かされる。
それによると月で見つかった「モノリス」は人類以外の知的生命体がはるか昔に設置したもので、この宇宙船の真の目的はその知的生命体との出会いである。
このことは乗組員には知らされず、HALのみ知らされている。
このためHALは乗組員に嘘の説明をせざるを得ず、そのため精神に異常をきたす。

ひとり生き残ったボーマンは木星へたどり着くが、そこには巨大なモノリスがあり、宇宙船はその中の光の渦のなかへ吸い込まれていく。
ここから画面はファンタジーのような画面になり、ボーマンは薄れゆく意識の中で様々なものを見る。ロココ調の高級ホテルの一室のような部屋が出てきて、そのベットの上で年老いて死にかけている自分がいたり、生まれる前の羊水に包まれている赤ん坊が見えたりする。
映画はここで終わる。

50年前の映画だからCGではなくロケとスタジオと模型による撮影だが非常にうまくできている。
月以外の惑星や宇宙から見た地球の姿などがぼんやりとしか出てこないのは仕方がない。まだアポロ計画の前だし、ボイジャーが深宇宙に行くのはさらに10年後なので宇宙の情報が少ない。

しかし1968年当時はそれから33年後の2001年に宇宙旅行が出来るだろうと予測があったと思われる。
映画にはさまざまな近未来の技術が出てくるが、テレビ電話やカメラなどの装置や道具は予想を超えて進化してきているが、宇宙旅行だけは当時の予想よりはるかに遅れている。いまだに人類は地球以外では月にしか行ったことが無い。
ジュールベルヌは150年前に「月世界旅行」を書いたが、人類が月へ行ったのはそれから100年後だし、それからさらに50年経った今年(2018年)初めて民間人が月周回旅行することが計画されている。(実現するのか?)
そのことを書いた日記 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1959016673&owner_id=39904538

面白いのはHALというコンピュータだ。このコンピュータは非常に人間臭く、人間より人間性がある。精神異常になったり人間と敵対し人間を殺そうとする。
これはなぜだろうか?
以前日記に書いたことがあるが、コンピュータはいずれ人間の脳を超えるだろう。すると肉体はサイボーグ化し、人間とはコンピュータにコピーされた精神だけになってしまうのか。
非常にに人間臭いHALはそのことを暗示しているようにも思える。
未来においてはコンピュータは人間の敵か味方か?

アーサー・クラークはスリランカに移住し、そこから自分が出演している番組を発信していたのをよく見ていたが、SF作家というよりは冒険家、自然研究家のような感じだった。
スタンリー・キューブリックはずっと昔見た「博士の異常な愛情・・・」を2年前にテレビで見てそのことを日記に書いたが、「2001年宇宙の旅」は見てなかった。
「博士の異常な愛情」についての日記 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946219420&owner_id=39904538

この2本を見て、以前は気が付かなかったがキューブリックは人類の未来について悲観的に考えていたたのではないかと思えた。
「博士の異常な愛情」は人間が開発した「水爆」で全世界が破壊されてしまうことが予感されるし、「2001年宇宙の旅」では地球外文明と遭遇し地球はそれに支配されていることが予感される。
その超文明の世界ではもはや肉体は無く精神だけが全世界を支配する。「モノリス」とはそれを象徴しているように思う。

「2001年宇宙の旅」はデファクトスタンダードとなり、その後のSF映画のお手本となっている。現在のSF映画もどこかに必ずこの映画を意識したものとなっている。
しかしこの映画は非常に長いが1回見ただけではよくわからない。見直すとなにかが見えてくるかもしれない。
アーサー・クラークの原作も出ているようなので原作を読んでみるとよりわかるようになるかもしれない。
原作を読んでみたくなった。


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