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2017年03月16日19:29

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今井翼主演『マリウス』のフラメンコ!

日生劇場で上演されている、今井翼さん主演、山田洋次脚本・演出による音楽劇『マリウス』に、アルテ・イ・ソレラの工藤朋子さんがフラメンコで出演されているので、観てきました(3/27まで。全32公演)。

原作はフランスで愛され続けて来たマルセル・パニョルの『マリウス』。寅さんシリーズの原典ともいえる作品であり、山田洋次監督自ら「ぼくの故郷のような作品」と述べている人情劇。
2時間50分の人間ドラマ全編に渡って、何度もフラメンコが踊られます。さらりと短くとも、明らかにその空間の重量が増すように感じられる。それはマリウス(今井翼)の心象風景が写し出された必然であるように感じました。普遍的テーマともいえる、愛に留まることと夢を追うこととの間で葛藤するマリウスにとって、フラメンコは、自由への渇望の象徴だったのではないか?

アンダルシアの「ジプシーの女」役の工藤朋子さんは、マリウスにとっての“見果てぬ夢”だったのかも知れません。ヒロイン「ファニー」に寄せる愛情とはまったく別の次元において、彼が恋焦がれて止まないもうひとりのヒロインとして、エキゾチシズムに満ちた濃厚な存在感で光っていました。パルマの佐藤浩希さん、ギターの斎藤誠さん、そして弾き語りを披露した石塚隆充さんもフラメンコミュージシャンとして登場。生身の熱を放っていて、視線を奪われます。
カーテンコールで踊られた、今井翼さんと工藤朋子さんとのパレハによる閃光のようなファルーカが胸に焼き付いています。

振付も担当した佐藤浩希さんは、甘い味付けやケレンさえも排除した「本物のフラメンコ」を、数多くのアートファンが集う松竹の老舗舞台上に堂々と構築。その湧き上がるような生命力で、観客の心を掴んだ意義は、ほんとうに素晴らしいと感じています。

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