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2017年03月11日21:42
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読了３冊／お江戸物
「お師匠さま、整いました！」／泉ゆたか
＜算術の才ある少女が…＞.なるキャッチコピーに惹かれ、
つい、「天地明察」(冲方丁)の少女版のようなイメージをもって手に取ったが…
まず、表紙の絵でイヤな予感…
桃の寺子屋／天賦の才／大岡越前守の量地塾
清道の手紙／酒匂川へ／算額の誉
物語の舞台は、相模国高座郡（現在の茅ヶ崎）にある
浄見寺にある寺子屋。
元々は算術家「上野清道」が教えていたのだが、
40以上も若い嫁「桃」を娶って以来、彼は研究に没頭。
桃が見よう見まねで師匠となり、
清道亡き後も、近所の子供たちに読み書き算盤を教えていた。
そんなある日、小田原のひどい鉄砲水で家族を亡くした少女「春」が
ボロボロになって、桃の寺子屋にたどり着いた。
一人ぼっちになった今！ すでに15になっていたが
「学びたい！」と言う。
そんな春には、算術の才があった！
春の出現は、元からいる金持ち商人の娘「鈴」の才に火をつけた。
そして、２人の利発な弟子に追われるように、
桃も、遅まきながら、夫の残した書物を改め、
算術の深い世界に踏み込んでいく。
そんな設定は、とても興味深いのだけれど、いかんせん筆力不足。
素材はイイんだけどね〜〜 ザンネン！
後述の２作の前に読んで良かった。
後だったら、筆力の差があまりあって、途中で読み止めたかも…
「花を呑む」／あさのあつこ
あさのさんの「弥勒シリーズ」7冊目！
待ちに待って！ やっと手元に！！
待望の最新刊！
先に読んで返さねばならない本があるにもかかわらず、
届いてすぐページをめくってしまった。
そして…
読み始めの５行でもうグッと心を掴まれる。
何度も書くけれど、
あさのあつこさん。
決してストーリーが秀逸な作家さんでは無いと思う。
まず、登場人物が本当にイイ！
これに惹かれて、このシリーズにどっぷりハマッている。
そして、その魅力的な人物を書く言葉がイイ！
そんな煌めく“言葉”をつなげたからこそ、
文章がナンとも妙なる美しさを放つのだ。
今回の物語は…
老舗の大店「東海屋」の主が呪い殺された！
ある朝､深紅の牡丹を５つ…
口から花を散らせて息絶えてたという。
その同時刻､妾｢お宮｣は､
妾宅の庭の牡丹の花の傍らで、
自害して果てていたらしい。
鬼の撹乱で風邪をこじらして現場を見られなかった
同心｢木暮信次郎｣は、
後日､｢伊佐治｣の報告を聴きながら、真相を求める。
ところで、伊佐治の家族に暗雲が…
息子｢太助｣の嫁｢おけい｣が二度目の子も流し､
鬱々とした日々を送っていたのだ。
一方､森下町の｢遠野屋清之介｣も､
縁を切ったはずの兄の呪縛から逃れられず､
問題をしょい込むことに。
この辺りで、物語の先は読めてしまうのだけれど、
木暮と清之介の厭らしいまでの裏だらけの会話、
ちょっとした､しかし､深く心をえぐるエピソードのいくつかに、
読み進む面白さはぐんぐん増していく。
そんなひとつ…
信次郎がワケアリの女性｢お仙｣の簪を買おうと､
遠野屋の扱う品から清之介に見繕ってもらう事に。
そこで並んだ３本。
いずれも美しく見事な品で、
伊佐治などはとっても１本なんて選べませんねぇと驚嘆したが、
信次郎はあっさり１本選んだ。
その選択に清之介は自分の敗北を認めた。
実はこの時、清之介はなぜか信次郎に挑んでみたくなったのだ。
全く日頃縁のない簪…
さすがの信次郎も価値の差はわからないだろうと､
高級品２本と超高級品１本､眼前に並べたのだ。
そして信次郎は､即､最も良い物を選んだのだ｡
きっと清之介の思惑を全て理解したうえで、何も言わず…
さまざまなシーンで魅せる２人の丁々発止
魂のせめぎ合い…
なんとも面白い！
こんな男２人、傍らで眺めて居たいものである。
私､信次郎さま宅の老女｢おしば｣さんが隠居したら
すぐ後釜に立候補いたします！
そんなこんな…
｢花を呑む｣をイッキに吞むように読み干した。
本作より､稀代の悪女｢お常｣登場！
それが面白そうなので､
本作の結末の軽さは､ま､目をつぶっておくことにしよう。
「最悪の将軍」／朝井まかて
こちらはまた…
あさのさんと筆致が違う…
文体も全く違って…
それでも、読み始めたら読み止められない作家さんである。
本来は将軍になどなる予定は無く、
自ら望んだことも無く…
それなのに五代将軍になってしまった徳川綱吉を、
優しい目線で描いた佳作｡
周囲の人々との会話が多く書かれ､
また､本人の言葉も多く､
真意が下に伝わらず政治に反映しないもどかしさや苦悩が
読者に良く伝わり､綱吉が哀れに思えてくる。
身分制度のトップにありながら､何一つ思うようにできず､
時代と民衆の力の流れに流され…
これは､同じく朝井さんの「落陽」の
若き明治天皇に重なる哀れさだった。
＜算術の才ある少女が…＞.なるキャッチコピーに惹かれ、
つい、「天地明察」(冲方丁)の少女版のようなイメージをもって手に取ったが…
まず、表紙の絵でイヤな予感…
桃の寺子屋／天賦の才／大岡越前守の量地塾
清道の手紙／酒匂川へ／算額の誉
物語の舞台は、相模国高座郡（現在の茅ヶ崎）にある
浄見寺にある寺子屋。
元々は算術家「上野清道」が教えていたのだが、
40以上も若い嫁「桃」を娶って以来、彼は研究に没頭。
桃が見よう見まねで師匠となり、
清道亡き後も、近所の子供たちに読み書き算盤を教えていた。
そんなある日、小田原のひどい鉄砲水で家族を亡くした少女「春」が
ボロボロになって、桃の寺子屋にたどり着いた。
一人ぼっちになった今！ すでに15になっていたが
「学びたい！」と言う。
そんな春には、算術の才があった！
春の出現は、元からいる金持ち商人の娘「鈴」の才に火をつけた。
そして、２人の利発な弟子に追われるように、
桃も、遅まきながら、夫の残した書物を改め、
算術の深い世界に踏み込んでいく。
そんな設定は、とても興味深いのだけれど、いかんせん筆力不足。
素材はイイんだけどね〜〜 ザンネン！
後述の２作の前に読んで良かった。
後だったら、筆力の差があまりあって、途中で読み止めたかも…
「花を呑む」／あさのあつこ
あさのさんの「弥勒シリーズ」7冊目！
待ちに待って！ やっと手元に！！
待望の最新刊！
先に読んで返さねばならない本があるにもかかわらず、
届いてすぐページをめくってしまった。
そして…
読み始めの５行でもうグッと心を掴まれる。
何度も書くけれど、
あさのあつこさん。
決してストーリーが秀逸な作家さんでは無いと思う。
まず、登場人物が本当にイイ！
これに惹かれて、このシリーズにどっぷりハマッている。
そして、その魅力的な人物を書く言葉がイイ！
そんな煌めく“言葉”をつなげたからこそ、
文章がナンとも妙なる美しさを放つのだ。
今回の物語は…
老舗の大店「東海屋」の主が呪い殺された！
ある朝､深紅の牡丹を５つ…
口から花を散らせて息絶えてたという。
その同時刻､妾｢お宮｣は､
妾宅の庭の牡丹の花の傍らで、
自害して果てていたらしい。
鬼の撹乱で風邪をこじらして現場を見られなかった
同心｢木暮信次郎｣は、
後日､｢伊佐治｣の報告を聴きながら、真相を求める。
ところで、伊佐治の家族に暗雲が…
息子｢太助｣の嫁｢おけい｣が二度目の子も流し､
鬱々とした日々を送っていたのだ。
一方､森下町の｢遠野屋清之介｣も､
縁を切ったはずの兄の呪縛から逃れられず､
問題をしょい込むことに。
この辺りで、物語の先は読めてしまうのだけれど、
木暮と清之介の厭らしいまでの裏だらけの会話、
ちょっとした､しかし､深く心をえぐるエピソードのいくつかに、
読み進む面白さはぐんぐん増していく。
そんなひとつ…
信次郎がワケアリの女性｢お仙｣の簪を買おうと､
遠野屋の扱う品から清之介に見繕ってもらう事に。
そこで並んだ３本。
いずれも美しく見事な品で、
伊佐治などはとっても１本なんて選べませんねぇと驚嘆したが、
信次郎はあっさり１本選んだ。
その選択に清之介は自分の敗北を認めた。
実はこの時、清之介はなぜか信次郎に挑んでみたくなったのだ。
全く日頃縁のない簪…
さすがの信次郎も価値の差はわからないだろうと､
高級品２本と超高級品１本､眼前に並べたのだ。
そして信次郎は､即､最も良い物を選んだのだ｡
きっと清之介の思惑を全て理解したうえで、何も言わず…
さまざまなシーンで魅せる２人の丁々発止
魂のせめぎ合い…
なんとも面白い！
こんな男２人、傍らで眺めて居たいものである。
私､信次郎さま宅の老女｢おしば｣さんが隠居したら
すぐ後釜に立候補いたします！
そんなこんな…
｢花を呑む｣をイッキに吞むように読み干した。
本作より､稀代の悪女｢お常｣登場！
それが面白そうなので､
本作の結末の軽さは､ま､目をつぶっておくことにしよう。
「最悪の将軍」／朝井まかて
こちらはまた…
あさのさんと筆致が違う…
文体も全く違って…
それでも、読み始めたら読み止められない作家さんである。
本来は将軍になどなる予定は無く、
自ら望んだことも無く…
それなのに五代将軍になってしまった徳川綱吉を、
優しい目線で描いた佳作｡
周囲の人々との会話が多く書かれ､
また､本人の言葉も多く､
真意が下に伝わらず政治に反映しないもどかしさや苦悩が
読者に良く伝わり､綱吉が哀れに思えてくる。
身分制度のトップにありながら､何一つ思うようにできず､
時代と民衆の力の流れに流され…
これは､同じく朝井さんの「落陽」の
若き明治天皇に重なる哀れさだった。
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