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2015年07月04日18:48

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ガッカリのギンレイの2本

今回のギンレイは、かなりガッカリの2作品だった。

まず「薄氷の殺人」。
ベルリン国際映画祭で金熊賞と銀熊賞を獲得したと言うのでかなり期待していた。
だが大外れだった。

1999年夏、刑事のジャンはバラバラ殺人事件を捜査していた。
遠く離れた15カ所の石炭工場で体のパーツが発見され、どの工場にも出入りしていたトラック運転手のリウ兄弟が容疑者として浮上した。
ジャンが仲間と一緒にリウ兄弟を確保しようとした際、リウ兄弟がいきなり発砲、仲間二人が犠牲となりジャンも大怪我を追った。
2004年冬、リウ兄弟に追わされた怪我が原因で刑事から工場の警備員となったジャンは、妻にも逃げられ酒びたりの日々を送っていた。
ある日昔の仲間から、5年前と同じバラバラ殺人事件が起こったことを知らされる。
しかも今回の犠牲者二人は、5年前の犠牲者の元妻と関係があると言うのだ。
ジャンは事件に興味を持ち、女が勤めるクリーニング店に通い、調査を始める。

内容的にはミステリーの要素がたっぷりあるが、映画としては恋愛映画だ。
疑惑の女を調査するうちにジャンがどんどん彼女に惹かれて行くのだが、ミステリーよりもそちらの描き方の方が力が入っている。
事件の大筋はストーリーを追うごとに自然と明らかになってしまい、中盤以降は二人の距離感の方がメインになってしまうのだ。
だったら最初からロマンステイストの雰囲気で作り上げた方が、観る者に余計な期待を与えずに済んだだろう。
ミステリーとして観ると、やたら間延びしたシーンが続き、効果音も盛り上がりに欠ける。
非常に中途半端な作品で、よくこれで金熊賞を受賞できたものだと思う。


続いて「カフェ・ド・フロール」。
「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・バレ監督と言う事で期待したが、こちらもガッカリだった。
1969年パリ、ジャクリーヌは美容師をしながらダウン症の息子ローランを育てていた。
父親は息子がダウン症だとわかり逃げ出したのだ。
しかしジャクリーヌは、ローランを特別学級ではなく普通の学校に通わせ、育てていた。
一方、モントリオールで暮らすキャロルは、離婚問題で悩んでいた。
彼の元夫は人気DJのアントワーヌで、キャロルはまだアントワーヌの事を愛していた。
アントワーヌの両親と、二人の娘のうち長女は新しい母となるローズの事を気に行っておらず、再婚に反対している。
アントワーヌの心がもう自分には無い事は理解していたが、彼への思いを払拭することができず、さらにローズの事を憎む事もできず、精神不安定な状態にあった。
そんな彼女は、不思議な夢を見始める。

パリ、モントリオールと、二つのエピソードがリンクするという映画なのだが、このリンクがとてもわかりづらい。
なぜなら、リンクするキーマンがキャロルなのに、モントリオールのエピソードが終始アントワーヌ視線で描かれているからだ。
観客は二つのエピソードがどうつながるのか期待しながら映画を観るのだが、どうにもアントワーヌが1969年のパリとつながってこない。
ちょっとイライラし始めた頃に、実はキャロルの夢とリンクしているという展開になる。
しかも霊媒師が出てくるなど、なんだかホラーテイストなつながり方である。
映画が進むほど、パリとモントリオールの誰の気持ちを主題に描きたいのかがぼやけてしまい、最後は結局そういうオチですか、とガッカリする。
ラストも無理やりこじつけたようなオチで、監督が描きたかったラストシーンが本当にこれなのかと疑問に思ってしまった。

かなり忙しい中時間をやりくりして観に行っただけに、2本ともガッカリで落胆は大きかった。


62.薄氷の殺人
63.フェ・ド・フロール
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