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2024年04月30日14:11

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純粋芸術の正体

純粋芸術の正体
 東西冷戦時代、文化でも東西の戦いが展開されていた。主に、アメリカとソ連。ソ連崩壊とともに、東西冷戦は終結。この冷戦時代に絵画の分野では、とんでもないことが起こっていた。東側では、社会主義リアリズム絵画が正当な絵画として高く評価され、前衛的な絵画は弾圧されていた。一方、西側では、前衛的な抽象絵画のほかに伝統的な具象絵画も広く普及しており、リアリズム絵画も人気だった。文化的にも覇権を握り、ソ連と対抗していくために、アメリカ政府は、ある作戦を実行する。それが、純粋芸術だった。アメリカの具象絵画は、ヨーロッパと比べると、やはり見劣りする。これは、歴史の違いであり、具象絵画においては、ヨーロッパがやはり抜きん出ていた。東側の社会主義リアリズムもヨーロッパの古典絵画の流れを汲むものだった。具象絵画は、誰が見ても、良し悪しがはっきりと分かってしまう特徴があって、誤魔化しが効かない。社会主義リアリズムと対抗する意味もあって、アメリカが目を付けたのが、抽象絵画だった。そして、アメリカ人アーティストのポロックだったのだ。アメリカ政府は、アメリカの抽象絵画を全面的にバックアップしていく。子飼いの評論家を使って、抽象絵画を高く評価させる一方で、具象絵画をクソミソに腐す評論もさせていた。これは、社会主義リアリズムを批判する狙いだ。政府が実際に手を下した訳ではなく、御用評論家にプロパガンダを展開させていた。日本でも、この手の学者や、評論家は多い。権力に擦り寄って甘い蜜を吸おうとする輩は、どこにでも、どの時代にでもいる。評論家や政府の息のかかったマスコミを利用して、抽象絵画を、純粋芸術であり、芸術の最高峰だと持ち上げていた。この時に犠牲になっていたのが、アメリカの具象絵画の画家達で、彼らは、画家として扱われずイラストレーターとされた。アメリカを代表する具象画家の1人であるワイエスが、そのターゲットにされていた。日本で、石膏デッサン不要論を展開していたのも、このアメリカの純粋芸術一派だった。この時期の絵画評論は、純粋芸術一色で、猫も杓子も抽象画を描いていた時代だ。これで人生を狂わされた画家は多い。具象絵画を描いていれば、トップクラスの画家になれたのに、不得手な抽象画を無理に描いていた画家を知っている。そんな画家が多かったのだ。特に、公的機関から抽象画が高く評価されていて、具象画家が東京藝大の教授から外されることも起こっていた。日本政府が、アメリカの言いなりなのは、今に始まったことではない。この時期の絵画評論も、純粋芸術一辺倒で、かなり偏った評論ばかりになっていた。具象絵画の冬の時代だ。また、抽象画家と具象画家が、対立することもしばしばで、非常に仲が悪くなっていた。こんな歪な絵画環境が終わりを告げたのは、ソ連の崩壊、冷戦の終結だった。政府のプロパガンダが暴露され、一気に流れが変わる。アメリカ政府も、冷戦がなくなれば、具象絵画を叩く理由もない。政府が手を引いたことで、具象絵画を叩いていた評論家連中は、梯子を外された。今更、政府の指示でプロパガンダを展開していましたとも言えず、ダンマリを決め込むしかなかった。この当時のプロパガンダ評論に影響を受けている人が、いまだに存在する。前後の流れを知っていれば、直ぐに修正できるが、中途半端な知識しかないため、時代が、変化したことに気づいていないのだ。ワイエスは、アメリカを代表する具象画家として再評価された。現代アートが、生まれ、その中で、フォトリアリズムが登場。写真をモチーフとした具象絵画が一斉を風靡する。画家も、絵画を描く時に写真を利用するようになり、今では、写真利用は、普通になっている。古典絵画の研究にも光が当たるようになり。具象絵画が息を吹き返した。抽象絵画は、抽象絵画として存続しており、今でも、作品は展開されている。絵画には、いろんなジャンルがあり、ジャンルに優劣がある訳ではない。意図的な歪な評価は、絵画を狂わしてしまう要因になる。
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