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2023年12月02日17:24

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11/30 北宋書画精華@根津美術館

(伝)徽宗の《猫図》を見たくて、その展示期がやってくるのを待っていたら、日美でも取り上げるし、「伝説になる展覧会」とまで言われて、どんどん注目され、混雑が気になってソワソワしてしまった。28日のチケットを買ってスタンバイしていたら、その日にどうしても外せない急用ができてしまい、青くなる。チケットはオンラインでクレジットカード決済、キャンセル不可となっている。二人分のチケット代が水泡に?…涙。電話して聞いてみたら、会期中でしかも空席があれば別の日時でも入場できるとのこと。30日に急遽有休を取り、行ってきた。

約40点の中国北宋時代の書画だが、見応えがあった。以下画像を添付して紹介するが、正直その素晴らしさは実物を見ないと伝わらないと思う。細い墨線の一筋一筋が実に繊細で美しいのだ。古今の日本の画家たちが憧れたのも頷ける。

会場は思った通り人が入っていて、ロッカーは常に満杯。外国人も多かった。なかでも中国人は皆熱心に見ていた。旅行でついでに来た風ではない。これだけまとまった北宋書画の優品は本国でも見られないのだ。度重なる戦乱の中で焼失したのもあろう。日本人がボストン美術館で浮世絵を見るより熱心かもしれない。展示の多くが国宝や重文である。2時間たっぷり時間をかけて見た。

https://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
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宋時代(960〜1279)は中国書画史におけるひとつの頂点であり、その作品は後世、「古典」とされました。日本でも、南宋時代(1127〜1279)の作品が中世以来の唐物愛好の中で賞翫されたことはよく知られますが、その前の北宋時代(960〜1127)の文物も同時代にあたる平安後期に早くも将来されています。さらに近代の実業家が、清朝崩壊にともない流出した作品をアジアにとどめるべく蒐集に努めたため、より多くの重要作が伝わることになりました。
そのひとつ、北宋を代表する画家・李公麟(1049?〜1106)の幻の真作「五馬図巻」(現・東京国立博物館蔵)が2018年、約80年ぶりに姿を現しました。これを好機として、日本に伝存する北宋時代の書画の優品を一堂に集める展覧会を開催します。アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館から、李公麟の白描画の基準作といえる「孝経図巻」も特別出品されます。
北宋の書画芸術の真髄に迫る日本で初めての展覧会です。



燕文貴《江山楼観図》北宋時代 10〜11世紀 大阪市立美術館
巻物なので右から左へと目を移動していくと、流れる雲霧に覆われながら見せる海山の景色に、高みから絶景をぐるりと見渡しているような雄大な気分になれる。しかしながらよく見ると、集落の中、突然の風雨に傘を傾け走る人がいたりと、精緻な素晴らしい作品だ。
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(伝)薫源《林重汀図》原本・五代 10世紀 黒川古文化研究所
江南山水画の祖とされる画家・薫源。身近な水郷風景を描く江南山水画は、後世の文人画(南宗画)の基礎となったという。日本人にも馴染み深い。縦長のこの作品、大きい。すこし下がってみると、あら不思議、遠近感が出て立体的に見える。なるほど名画だ。
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国宝 李唐《山水図》北宋〜南宋時代 12世紀 高桐院
左右の上下を少しずらすと2幅がつながる離合山水画。素晴らしい筆さばき。
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(伝)趙令穣《秋塘図》北宋時代 11〜12世紀 大和文華館
こちらは小さなお軸。秋の夕暮れ、手前には水鳥、空には鳥の群れが描かれていて、山水に花鳥を足したものを「小景図」というそうだ。よく見ると空が茜色に。ふわっとした木々や水辺の描き方がリリカルだ。
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胡舜臣、蔡京《送郝玄明使秦書画》北宋時代 1122年 大阪市立美術館
現存最古の「送別図」。供を連れ馬に乗って去っていく人が小さく描かれていた。
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(伝)徽宗《猫図》 北宋時代 12世紀
11月28日〜30日、3日間だけの展示、個人蔵である。これに合わせて日程調整して見に行った。
徽宗(きそう)は北宋の第8代皇帝、書画の才に優れ、北宋最高の芸術家の一人と言われる。
額にぶち、尾だけが黒い、それだけでもインパクトのある模様の白猫である。画像ではわかりづらいが、細い筆線で立体感を出している。白く塗られたようなところは極細の毛描き、輪郭線も一本の線ではない。それと対照的に目鼻口の輪郭線は迷いのない筆で、くっきり。口の端がわずかに開いている。目は金色に光り鋭く。リアルさ(再現性)と装飾性の融合。
何かを見ているようなポーズと余白の少なさから、ひとまわり大きな画面を切り詰めたのではないかと言われている。
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徽宗皇帝の猫を理想としたのが、近代日本画家の菱田春草と竹内栖鳳だ。菱田春草は、この猫と同じ模様の《白き猫》を描き、その後代表作の《黒き猫》を描いている。
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竹内栖鳳は、旅行先の八百屋で「徽宗皇帝の猫」を見つけ、貰い受けて《班猫》を描いている。《班猫》のモデルはこの《猫図》の猫とは違うが、彼が「徽宗皇帝の猫だ!」とインスピレーションを得たのは確からしい(普通のキジ白猫なんだけれどねww)
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ちなみに、(伝)徽宗《狗子図》(嵯峨美術大学・嵯峨美術短期大学附属博物館蔵)は見たことがあり、これで犬猫両方見たことになる。
しかしながら、実を言うと12月1日〜3日までの展示となった《桃鳩図》も見たかった。こちらは、(伝)ではなく、正真正銘の徽宗筆で国宝だ(しかも個人蔵)。それぞれ3日間ずつ別の日の展示、、、両方行きたかったが流石にそれは無理だった〜。
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《千手千眼観音菩薩像》 五代 10世紀 白鶴美術館
敦煌莫高窟で発見された。千手千眼なので、それぞれの手に目がついている。周りの菩薩、明王、天部の表情が面白い。同じく莫高窟で発見された《薬師如来像》はもう少し素朴なタッチで対象が市民階級、こちらは身分の高い人向け。
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国宝《霊山変相図》 北宋時代 10世紀 京都・清凉寺 
一部焼け焦げがあって痛々しいが、細かくぎっしり密に描かれて素晴らしい白描。一人一人の表情も豊か。もう1点の《弥勒菩薩像》(画像なし)は宮廷画院最高位の高文進の現存唯一の作品で、下方に登場する天女がどえらい美人だった!
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国宝《十六羅漢像第十五尊者阿氏多》北宋・11∼12世紀 清凉寺
筋骨隆々でリアルな羅漢様。展示は2幅、十六図あるなら見てみたい。
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国宝《孔雀明王像》 北宋時代 11世紀 京都・仁和寺
北宋仏画の最高傑作と言われている。背景のムラムラは画像ではよくわからないが彩雲。孔雀の羽が美しい。金を多用している。明王様の顔に気品があり、うっとり。
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李公麟《五馬図巻》(部分) 北宋時代 11世紀 東京国立博物館 
李公麟は北宋の文人、画家、古物蒐集家。馬の絵に秀で、《五馬図巻》は清の皇室から日本に流出した後、約80年間所在不明であったが、2015年に再発見されたという。それまではコロタイプが残されていたので、モノクローム、つまり白描と思われたいたのだが、実物が発見されて鮮やかな彩色が施されていることがわかったという。
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タイトル通り、5頭の名馬と引き手を描いている。人は民族が異なるのか、顔だちも衣装もさまざまだ。
とにかく線が素晴らしい。馬の胴体の絶妙なふくらみ、筋肉、4本の足の運びをみると、線描なのに立体感がある。そして、馬の顔はおだやかで優しく気品がある。馬は人と信頼関係で結ばれた時このような良い表情をするのだろう。感動。いくらみていても飽きない作品だった。
(大きなリュックを背負った女が、馬の絵の正面に陣取りスケッチをしていた、5頭を1枚1枚。動かない、邪魔!しかも鉛筆でなくインクのペンで!上手くない!真後ろに監視員がいるのに注意しない…)

李公麟《孝経図巻》(部分)北宋時代 メトロポリタン美術館
《五馬図巻》と並んで紹介されていたのが、こちら。儒教の教えらしいが、図の解説が全くなく残念。意味がわからない上、画像より濃く茶色に変色していて見えづらいので集中力がもたない。
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国宝《巻子本 古今和歌集序》(部分) 平安時代 12世紀 東京・大倉集古館
こちらは「舶載唐紙」の章で紹介、確か「やまと絵」展1期にも展示があったが、 ここでは16色の料紙を広げてたくさん展示。あまりの鮮やかさにクラクラ。しかもゆったりみられた。角度を変えて雲母摺、黄雲母摺、蝋箋の技法を堪能。
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館蔵品展では、北宋工芸を特集。陶磁器は、越窯、定窯、耀州窯、磁州窯、景徳鎮窯など。

12月3日まで

お庭は下まで歩けないので、途中までで、紅葉狩り。
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