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2023年10月19日22:53

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10/17 特別展 やまと絵ー受け継がれる王朝の美【1期】その1@東京国立博物館平成館

激混みかも?と恐れをなして行ったが、昨年の「国宝展」ほどではなかった。「国宝展」は完全予約制だったから受付に予約時間の長い列を作っていたが、今回は平日は予約不要、エスカレーターに数人ばらばら乗る程度。「やまと絵って何?」より「国宝全部見せます!」の方が一般ウケするのも当たり前か。
ただし、ロッカーは平成館、本館共にほぼ満杯。東洋館に預けてよかった。

たしかに「やまと絵って何?」と聞かれると、即答できない。東博のHPには「やまと絵とは:やまと絵は、中国に由来する唐絵や漢画といった外来美術の理念や技法との交渉を繰り返しながら、独自の発展を遂げてきました。四季の移ろい、月ごとの行事、花鳥・山水やさまざまな物語など、あらゆるテーマが描かれてきました。」と書いてある。微妙に答えになっていないような…。ま、見ればわかります。

展示は、4期に分かれていて、通期の展示は少なく、多くが入れ替えもしくは場面替えになっている。
1期(10月11日〜22日)には国宝四大絵巻が揃う。正直に言おう、私は「鳥獣戯画」以外どれを見てどれを見ていないか、よく思い出せない。画像でも模本でも見たことがあるかもで、それだけ有名すぎる絵巻だ。それに加えて、見たい草紙も多く出ているし、マイミクさんからもポイント指南をいただいたし、で期待値高。

https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2580
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平安時代前期に成立したやまと絵は、以後さまざまな変化を遂げながら連綿と描き継がれてきました。優美、繊細といったイメージで語られることの多いやまと絵ですが、それぞれの時代の最先端のモードを貪欲に取り込み、人びとを驚かせ続けてきた、極めて開明的で野心的な主題でもありました。伝統の継承、そして革新。常に新たな創造を志向する美的な営みこそが、やまと絵の本質と言うことができるでしょう。 本展は千年を超す歳月のなか、王朝美の精華を受け継ぎながらも、常に革新的であり続けてきたやまと絵を、特に平安時代から室町時代の優品を精選し、ご紹介するものです。これら「日本美術の教科書」と呼ぶに相応しい豪華な作品の数々により、やまと絵の壮大、かつ華麗な歴史を総覧し、振り返ります。

序章 伝統と革新ーやまと絵の変遷ー
まず唐絵とやまと絵を見比べてみる。

現存最古のやまと絵屏風《山水屏風》鎌倉時代・神護寺蔵
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現存最古の唐絵屏風《山水屏風》平安時代・京都国立博物館蔵
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漢画代表は、私の好きな伝周文《四季山水図屏風》室町時代 東京国立博物館
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違いは歴然だ。もともと明治時代に西洋画が入ってきて「日本画」という言葉が生まれたように、中国から伝わった絵画技法に倣って描いた絵画「唐絵」「漢画」に対して、日本もともとの絵画が「やまと絵」というわけだ。もちろん題材は日本の景物、日本人。


第1章 やまと絵の成立ー平安時代ー
「やまと絵の成立と発展には、貴族たちの文化的な営みが大きな基盤となりました。これら王朝貴族の美意識が込められた調度手本や装飾経、工芸品などとともに、四大絵巻をはじめとする院政期絵巻の数々から、平安時代やまと絵の実態に迫ります。」

《蒔絵箏(本宮御料古神宝類のうち)》春日大社
両端の螺鈿はだいぶ剥落してしまったが、甲面が美しくてうっとり。水の流れと千鳥が蒔絵で表現されている。このゆったり感はやまと絵ならでは。
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ここでは、和歌集や経典が見られるのだが、最初の方なので黒山の人だかり。最前列を諦めて人の頭越しに見る。文字は読めないが、流麗な文字の下に金銀散りばめて絵が描いてあって豪華絢爛。中には国宝展で見たものもあり。三大装飾経のうち厳島神社の《平家納経》だけはこの期間にも見られる。

目に留まったのが、《一時蓮台法華経》大和文華館
一文字一文字に金輪と蓮台がついていて、美しい。
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《阿字義》藤田美術館
貴族が、月輪の蓮台に乗る「阿字」を抱く。「阿」は密教ではこの字に宇宙の一切の現象の根源があるという意味の梵語。「阿字観」という瞑想法が平安末期の貴族の間で流行したという。
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こちらは、十二単を着た尼僧?
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さて、ここからは四大絵巻。係員は「順序はありません!」と叫ぶが、最前列で見るためにはちょっとだけ我慢して並ぶ。あとは、そのままスルスルとベルトコンベア方式に最後まで行き着けるので、それほどストレスはない(係員がうるさい)。
《源氏物語絵巻 関谷・絵合》徳川美術館

《信貴山縁起絵巻 飛倉巻》朝護孫子寺
やっぱり面白い。鉢が倉を担ぎ、空を飛び、米俵が舞い上がる様子が、絵巻を広げていくにつれ、時系列に現れる。今回改めて上手いなと思ったのは、空に浮かびながら移動していく米俵が、時々画面上部を越えて絵が切れているところ。米俵が高く舞い上がっている、臨場感溢れる描き方だ。途中森の上を飛ぶ時には、鹿たちも驚いて見上げているのには笑いを誘う。
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《伴大納言絵巻 巻上》出光美術館
放火で炎上する応天門に、右往左往する群衆の様子がイキイキと描かれている。群衆とは言え、人一人それぞれにその人の物語があり、それを描き分けるのが画家の手腕というが、まさにその手本のような。立ち止まって見たいものだ。
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《鳥獣戯画 甲巻》高山寺

この後は、楽しい?《地獄草紙》《餓鬼草紙》《辟邪絵、神虫、毘沙門天像》。東博、奈良博のものは以前に見たことがある。
《病草紙》は、サントリー美の〈不眠の女〉は見たが、それ以外は時初めてかな。

《病草紙 眼病治療》京都国立博物館
目を小刀で突いているが、血がドバドバ出て、なんとも荒療治。どう見たって治るとは思えない。周りの人が笑っているのも怖い。
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《病草紙 撹乱の女》京都国立博物館
一体どんな病気か、嘔吐と下痢が同時?苦しむ女と、部屋の中でさりげなく擂鉢を擂る女との対比がおかしい。
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《病草紙 痣のある女》九州国立博物館
高貴な女性なのに顔に大きな青あざ、嘆いている…
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《病草紙 屎を吐く男》九州国立博物館
尻に穴がないため口から排泄する男、これは確かに奇病だ。
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《病草紙》は1巻の巻物として伝来したのは15図だという。

長くなったので、次の日記へ続く。

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