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2023年10月15日10:19

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10/12 畠中光享コレクション 恋し、こがれたインドの染織ー世界にはばたいた布たちー@大倉集古館

府中市美術館で開催の「インドの細密画」展(日記はこちら)で、日本画家でインド美術研究者である畠中光享氏の存在を知る。もう一つの彼のコレクション展が大倉集古館で開催されていると言うので行ってみた。

染織のことはよく知らない。知っているのは、更紗が江戸時代大名や茶人の間で熱狂的に収集されたことくらいかな。

https://www.shukokan.org/exhibition/
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インドは古くから綿の国でした。植物繊維である木綿に美しい色を染めることは難しく、17世紀以前に赤や黄色を鮮やかに発色させ、しかも洗っても色落ちしない布を作る技法をもつ国はインドをおいて他にはありませんでした。
本展覧会では、交易により世界に輸出され、変化を遂げていったインド布の伝播に着目し、ヨーロッパをはじめ、インドネシア、タイ、ペルシャ、日本などへもたらされ、それぞれの地で変化を遂げた布たちを紹介します。
展示では、「更紗」の名で知られる捺染布をはじめ、ヨーロッパに渡った豊かな色彩のエキゾチックな柄のパランポールと呼ばれる捺染布、1枚作るのに最低3年はかかるといわれる緻密な綴織のカシミールショールなどを展観します。そして、何よりインド国内の宮廷や寺院で使われた金銀糸織や、今では技法さえわからないほどの複雑な絞り染めのターバンや上質の木綿モスリンなど、インド染織の幅広さや奥深さをお楽しみください。



第1章 ヨーロッパに渡ったインド布とその展開

《掛布 インド コロマンデール・コースト 18世紀》
メインビジュアルの掛布。長谷川潔の版画のように、繊細で硬質な柄に惹かれる。柄は「生命の樹」、ヨーロッパではベッドカバーやカーテン、衣服などに利用され、大変人気があったと言う。
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16世紀の大航海時代、ヨーロッパの列強の国々はこぞってインドを目指す。目的は、宝石や香辛料、綿。インドの綿布は手描き染めと捺染、美しい色彩でエキゾチック、しかも洗っても色落ちもしない布として大人気。

《掛布断片 インド コロマンデール・コースト 18世紀》
確かにイギリス人が好きそうな可愛い柄。
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《ショール インド カシミール 19世紀中期》
同じく、インドの木綿モスリン(「風の布」と呼ばれる極細糸で織られた白い木綿ワンピースにチカン刺繍がみごと!)を着てカシミヤ織物を羽織るのがヨーロッパで大流行。綾地綴織のカシミアは、一枚織るのに3年かかると言うくらい手の込んだものだったので、これを持っているのはステータスでもあった。
ペイズリー柄は、インドでは、勾玉=胎児の形=生命の源の意味があるそうだ。
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一方、ヨーロッパでは、産業革命によって、18世紀終わり頃からカシミールショールを模造した機械織(ジャカード織)が量産されるようになった。そして、手間がかかるカシミールショールは競合できず、19世紀末には消滅。
展示には、イギリスやフランス製の倣カシミールショールも展示されていたが、比べると一目瞭然。優れた伝統は、こうやって無くなってしまうのね。

《掛布 ヨーロッパ 19世紀》
こちらは銅版捺染。美しいが、やはり木版とは温かみが違う。
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第2章 東南アジア、ペルシャ、日本へ渡ったインド布とその展開

東南アジアとインドは昔から貿易関係があったが、イギリスがオランダの東インド会社を追放したため、オランダが香辛料貿易の拠点をインドネシアに移したことをきっかけに、インドの捺染布がインドネシアの部族の長たちにも広まった。また、絣布(イカット)も輸入され、東南アジア全域で模倣された。
日本にもオランダを通じてインド布がもたらされた。日本では鮮やかな色が出せなくて、和更紗は渋め。

《儀礼用布 インド グジャラート州 19世紀後半》
両端に銀歯文(ノコギリ文)があり、幾何学模様が特徴。
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《礼拝用敷布 インド アンドラ・ブラデッシュ州、マスリバタム 19世紀末)
モスクの形が素敵
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第3章 インド国内で使用された布

《布地 インド ラジャスタン州、サンガネール 19世紀後期》
木版捺染の小花模様が可愛らしい。そういえば、この黄色とピンク、「インド細密画」にもよく使われていたね。
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国内で使用されていた布は、消耗品なので、残っていることが少ないという。

細密画もすごかったが、こちらもよく集めたなぁ、と感心。

入り口正面にある大きな如来立像の左右には色とりどりのターバンがかけられ、地階の怖畏金剛像、韋駄天立像、天后聖母像の後ろにも布地がかけられていた。中国の仏像とインドの布、マッチしていた。写真撮影不可なのが残念。


10月22日まで

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