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2021年08月22日08:11

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人生の諸問題五十路越え[読書日記844]

題名:人生の諸問題五十路越え
著者:小田嶋 隆(おだじま・たかし)、岡 康道(おか・やすみち)、清野 由美(きよの・ゆみ)
出版:日経B
価格:1600円+税(2019年7月 第1版第1刷発行)
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マイミクさんお薦めの小田島隆さんと岡康道の対談を読みました。
もう一人の著者:清野由美さんは進行役というか、脱線気味の二人をコントロールする役割でした。

目次は次の通りです。

 はじめに
 第1章 「令和」に置き去り? 「平成」に生きた「昭和」な僕ら
 第2章 五十路に振り返る、僕らを作ったテレビと音楽
 第3章 ユーミンの歌から聞こえる、僕らの嫉妬と羨望と本音
 第4章 通った高校で考える、同窓会に来なくなったヤツの人生
 第5章 大学は"人生リセット"を賭けた僕らの"理想郷"だった
 第6章 「そうだよ、ここ、ここ、ここ!」故郷までの50年に笑いながら泣く
 第7章 昼酒上等の街、赤羽で、オダジマの母に会いに行く
 第8章 突然の入院は、自らのターニングポイントだ
 第9章 「50を過ぎたら、人間、半分うつなんです」
 第10章 でも「なれた自分」もいいじゃない?
 第11章 何不自由ない資産家の夢が「少年野球のコーチ」だったりする
 第12章 「五十路のサラリーマンがつらい理由」人生到るところに猿山あり
 おわりに
 あとがき

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印象に残った文章を引用します。

【第1章 「令和」に置き去り? 「平成」に生きた「昭和」な僕ら】から、昔はテレビを祀っていたという話。
小田嶋 いや、これは技術の発達だけでなく、コミュニケーションの核心を突く
    問題ですよ。昔、それこそテレビに "神" が宿っていた時代は、テレビ
    に緞帳が付いていましたからね。
岡   緞帳、付いていた。
小田嶋 あれは機械じゃなくて、一つの「別世界の入り口」である、というちょっ
    と大げさな設定があって、それをみんなで共有することで、茶の間が劇
    場であり得た。(16p)

【第2章 五十路に振り返る、僕らを作ったテレビと音楽】から、70年代のドラマのセリフが遅い話。
日本中が(ほぼ)同じ家具を使っていたあのころ
岡   今と昔(70年代)ではセリフのテンポが違う。田宮二郎の「白い巨塔」
    (放送開始は78年)なんてさ、今見るともうだるくてだるくてありえな
    いよね。
小田嶋 そうそう、とにかく遅い。特に倉本聰のドラマにおいてはそれが顕著で
    田中邦衛のセリフの間とかも、「これは放送事故だろうか?」みたいな
    感じで。(54p)

【第3章 ユーミンの歌から聞こえる、僕らの嫉妬と羨望と本音】から、ユーミンの話。
    ――学生当時にユーミンは聴かなかったんですか。
小田嶋 そう。女の子はみーんな好きだった。けど、俺は聴かなかったですね。
岡   聴かなかったというより、聴けなかったですよね。だって(親が破産
    して)貧乏すぎて聴けないよ。(略)
小田嶋 「SURF&SNOW」というばかなアルバムがあったでしょう。それで、僕ら
    のクリスマスを台無しにしたでしょう。僕ら、何、サンタクロースを
    やらないといけないんですか? というふうになったのは、あの人の
    せいだよ。(90〜91p)

【第6章 「そうだよ、ここ、ここ、ここ!」故郷までの50年に笑いながら泣く】から、読書感想文の罪について。
小田嶋 俺が文章何とか講座の講師をする時に必ず言う話なんだけどさ、読書
    感想文というのは、確実に日本人の文章嫌いのもとになっているよね。
岡   絶対になっているよ。
小田嶋 ほかの国ではライティングみたいなところって、要約から入るんだよ、
    『罪と罰』の要約を400字で書きなさい、とかいうのが本来なら最初の
    トレーニング課題なんだよ。(168p)

【第12章 「五十路のサラリーマンがつらい理由」人生到るところに猿山あり】から、小田嶋氏がメディア業界を観察してきた結果の定理。
小田嶋 俺もメディア業界のちょっと外側から、同世代の似たようなやつの動向
    を眺めてきた。そういう観察を長年にわたって行なってきた結果、出し
    た結論は、「一言多いヤツは出世しない」というもので(笑)。
    ――珠玉の箴言by小田嶋隆。
岡   もう間違いないよ、それは。(340p)

想い出話が大半ですが、なぜか後ろ向きな印象はありません。
【はじめに】で小田嶋さんが
“本書は、誰が読んでも、必ずや心に響く部分を持った書籍だと思っている”(6p)
と書いていらっしゃいますが、そのとおりでした。

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小田嶋 隆(おだじま・たかし)
コラムニスト。1980年早稲田大学卒業。
食品メーカー勤務などを経て、文筆業を開始。
「日経ビジネスオンライン(現日経ビジネス電子版)」の連載コラム「ア・ピース・オブ警句」を執筆。
著書に『その「正義」があぶない』(日経BP)など

岡 康道(おか・やすみち)
クリエイティブディレクター。1980年早稲田大学卒業後、電通に入社。
CMプランナーとしてサントリー「BOSS」などを手がける。99年、クリエイティブエージェンシー「TUGBOAT」を設立。
著書に『アイデアの直前』(河出書房新社)など

清野 由美(きよの・ゆみ)
ジャーナリスト。城西国際大学大学院非常勤講師。
東京女子大学卒、慶応義塾大学大学院修了。ケンブリッジ大学客員研究員。
著書に『新・都市論TOKYO』(集英社新書、隈研吾と共著)、『観光亡国論』(中公新書ラクレ、アレックス・カーと共著)など

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