アメリカの民主党大統領候補指名争いで、バイデン前副大統領と最後まで戦っていた左派のバーニー・サンダースが8日、ついに選挙戦からの撤退を表明した(写真=自らのネットで撤退を表明したサンダース)。
◎緒選優位も
前日7日に、武漢肺炎流行の最中に実施された中西部ウィスコンシン州予備選でも劣勢が伝えられ、開票結果を待たずに撤退表明となった。
サンダースは、国民皆保険、学生ローンの棒引き、企業増税・富豪への資産課税など、社会主義色の極めて濃い過激な主張を展開し、2月初旬に始まった指名争いの序盤では若者たちの熱狂的な支援を受けて優位に戦いを進め、一時は首位に立っていた。しかし144州・1地域で予備選が集中的に実施された3月3日の「スーパー・チューズデー」を機に失速し、中道派を結集したバイデン氏に獲得代議員数で逆転を許し、その後は終始、苦戦を強いられていた。
◎サンダースの「遺産」相続が重荷に
これで民主党大統領候補指名争いは、バイデン氏だけが残り、氏が11月のトランプ大統領との本選で戦うことが決まった(写真)。
ただサンダース撤退に追い込むために、バイデン氏の切った譲歩政策は、氏の立場を苦しくさせている。サンダースの主張の、国民皆保険制度を選挙公約に取り入れることを表明しており、それでなくとも武漢肺炎での危機的にまでになったアメリカ財政にはそんな余裕は無い。
本選では、現職の立場を利用してメディアに出ずっぱりとなっているトランプ大統領に必ずここをつつかれるだろう。
◎武漢肺炎大不況の克服に増税できるか
アメリカは、もう少し武漢肺炎の惨禍に耐えなければならないだろうが、おそらく夏までには峠を越えて収束に向かう、と見る。
すると、悪化した財政の下で、20〜30%マイナスにまで落ち込み、おそらく10%にまで急上昇している失業率を下げるための経済再生が、大統領選の最大の争点となる。
バイデン氏が国民皆保険制度を導入するつもりなら、自身が早くから表明している企業増税と富裕層増税をさらに強化しなければならない。
それは可能なのか――。いや、絶対に不可能だ。今、アメリカに必要なのは、GDPの7割を占める個人消費を活性化させるための雇用の確保と減税だろう。また急激に落ち込んでいる雇用を回復させるうえでも、企業を奮起させることが絶対に重要だ。
この時の増税提案など、狂気の沙汰、と言うべきだ。
それは老練な政治家であるバイデン氏も、分かっているだろう。
サンダースの残したお荷物に、バイデン氏はこれからずっと苦しまねばならない。
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