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2019年09月14日04:49

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工場や家庭で「松阪牛」やフォアグラを食べられる日:培養肉への挑戦

 いつの日か、僕らはレストランや家庭で「培養肉」を食べることになるのだろうか。

◎肉食の起源は330〜339万年前?
 人類の肉食の起源は、相当に古く、おそらく330万年前に遡る。ケニア、トゥルカナ湖西岸のロメクウィ3遺跡で、この頃の石器が見つかっているからだ(下の写真の上)。またほぼ同じ頃の339万年前、エチオピアのディキカ遺跡で、石器によるカットマークと思しき痕のついた動物骨も見つかっている(下の写真の下)。
 肉を食べるには(正確には骨髄と言うべきだろう)、骨を割る石器が不可欠だ。ハイエナのような強力な顎のない初期人類では、肉食獣が食べ残した死肉(骨)を食べるには、骨を砕き割る石器無しには肉食は不可能だった。
 それから330万年――20数万年前に誕生したホモ・サピエンスに至っても、また1.2万年前に初期農耕を始めて食料生産を開始しても、肉は変わらず食の王様だった。

◎非効率極まりない肉の生産
 ただ肉は、最初は死肉漁りで、次いで狩猟で、そして最後は畜産業、家畜飼育で入手するようになったが、生きた動物からの授かり物だ。
 ところが今、学界の一部や食品会社の中には、工場で生産するための研究開発が進んでいる。
 というのは畜産業は、とても非能率な食料生産方法だからだ。1キロの肉を得るには、最も効率の良いブロイラーでも3キロ弱の、ブタでは約7キロの、ウシでは11キロもの穀物を与えている。その穀物は、貧しい途上国なら人間が食べるのだ。肉への転換効率の低さの他に、途上国人口の爆発的増加から、いずれ畜産業も、今の捕鯨のようにやり玉にあげられるかもしれない。

◎ウシなどの反芻動物のゲップが地球温暖化をもたらす
 さらに地球温暖化への警戒もある。反芻動物であるウシは(ヒツジも)、1番目の胃袋内の微生物による消化の過程で生成されるメタンガスを耐えずゲップとして排出している(写真)。
 1頭のウシが排出するメタンガスは、おならも含めて1日160〜320リットルにものぼる。メタンの温暖化効果は、とかく悪玉さとれる二酸化炭素の25倍にものぼる。
 さらにゲップで排出されるメタンガスは、飼育頭数の多いヒツジでも大きい。
 さらに途上国の経済離陸によって、貧しい穀物食しか食べられない人々が肉を盛んに食べるようになる。実際、肉の消費量は先進国は途上国の4.5倍、アフリカに限れば7倍以上にも達している。前述のように家畜は穀物によって飼育されて肉に転換されるので、穀物ベースで換算すると肉類の食料消費は20〜30倍にもなる。

◎培養肉の研究はまだ緒についたばかり
 そうした訳で将来の人々は、いずれ畜産業では肉をまかなえなくなるのは確実だ。
 だから「培養肉」なのである。
 動物の細胞を適度な栄養分を入れた培養液で育てれば、やがて肉の塊が得られるかもしれない。今のところ、まだ実験段階だが、すでにシャーレで培養肉を製造できる技術は得られている(写真)。
 また日本の食品スタートアップ企業では、ガチョウやアヒルの肝細胞から高級食材のフォアグラを作り出そうと研究を進めている。

◎いずれは家庭でもキットで合成可能?
 培養肉製造の研究は、いずれ松阪牛など、ブランド牛にも広がるだろう。
 ある調査によると、2040年には食肉市場の市場規模は今の倍以上の1.8兆ドルまでに拡大し、そのうち培養肉のシェアは約35%になるだろうという。
 ひょっとすると、製造キットを買ってくれば、いずれ家庭でも好みの味の牛肉なども自作できるだろう。
 野菜や魚の工場生産は、すでに一部で実用化されている。
 また植物蛋白を使った模造肉は既に実用化されているが、味や風味の点で評判は今一つだ。
 「培養肉」の研究開発の進歩は、畜産業の大きな転機となることだろう。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201909140000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

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