駅から遠くて不便な場所にあり、超マイナーだけれど、江戸絵画のコレクションがシブくて、企画がめちゃ面白い、お気に入り公立美術館といえば、府中市美術館、千葉市美術館、板橋区立美術館。そのうち、板橋区立美術館なんか、我が家からクラクラするほど交通不便で結局1度しか行ったことがない。千葉市美術館も、そそられる企画展を沢山見逃している。 悔しい。
だからというわけではないが、その二つの美術館の所蔵品がいっぺんに見られる展覧会はぜひ見たい。それにしても、ちたばし…って、面白いこと考えるなぁ。2館の学芸員さんが飲み会で意気投合して決めちゃった企画みたいじゃん。
作品リストを見たら、酒井抱一、鈴木其一の江戸琳派の系譜や最近注目の岡本秋暉、小原古邨、大好きな柴田是真、それに気になる小田野直武、司馬江漢、亜欧堂田善がずら〜り!
行くっきゃにゃい!
千葉市美術館は旧川崎銀行のネオルネサンスの重厚な建物にある。
…だのに、この垂れ幕(爆)
かなり自虐的だが、内容は素晴らしかった!
出口の写真スポットにも再び垂れ幕:「コスパよすぎ。」だって、入館料200円ですよ!
江戸琳派の大きな展覧会に貸し出されていた作品やまとまってみることの少ない絵師のマニアックな作品群やら、どれもが逸品揃い。東博常設展の1/3の値段は、交通費かけてきた私にとっては嬉しい。
さて、会場は、会期末なのに空いていた。ただ、バインダーに作品目録を挟み熱心にメモを取る人が私の他に二人もいたのはなんだか嬉しかった。上野ではあまり見ない光景だもの。監視員さんが見入る私に気を使ってくれて、うるさくない程度にウンチクを語ってくれた。120点余だったが2時間半も立ちっぱなしでじっくり見てしまった。遠くても行ってよかったなぁ。
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2019/0601/0601.html
千葉市美術館と、改修工事で休館中の板橋区立美術館、2 館の古美術コレクションをご覧いただく、コラボレーション企画!
もしも2館が合体した「CHITABASHI(ちたばし)」美術館」があったとしたら?というコンセプトのもと、23日間限定の展覧会をお楽しみください。
第1章 江戸琳派とその周辺
第2章 ちたばし個性派選手権
第3章 幕末・明治の技巧派〜秋暉、是真、古邨
第4章 江戸の洋風画
俵屋宗達《許由巣父図》
皇帝に天下を譲ると聞かされ、耳が汚れたと清流で洗う許由、その清流の水を牛に飲ませるのをやめた巣父の話。
酒井抱一《白梅鶯・紅葉鹿図》
雌を求める鹿の切ない感じがいいなぁ
酒井抱一《大文字屋市兵衛像》
吉原の大文字屋主人は抱一の弟子。顔の形がカボチャに似ているので加保茶と言った。
大文字屋市兵衛《乙御前鶴図》
こちらは三代目家園。顔はかぼちゃに似てなくとも可保茶を継ぐ。のびのびした線は抱一に学ぶ。大文字屋と抱一の親交、想像すると楽しい。
鈴木其一《蝶ニ芍薬図》
ふわっとした揺らぎがあって、情感たっぷりの素敵な作品
鈴木其一《芒野図屏風》
切れ味鋭い其一らしい作品。確か鈴木其一展に出展していたような。
池田孤邨《浮世美人図》
画像はないが、女性の髪1本1本や着物の柄の細かくて見事なこと。
田中抱二《抱二写生 手遊集》
画像はないが、さらっと描いたカツオの楽しい絵、気に入った。
野崎真一《富士・三保松原図》
抱一の孫弟子。これとは別バージョンだが、富士山のデザインが素敵
山本光一《狐狸図》
抱一の孫弟子。江戸琳派っぽいデザイン。青い目の狸と狐が印象的で春秋の草花も美しい。
雪村《布袋図》
第2章はまるで府中市美で見た「
へそまがり日本美術」のちたばし版。
英一蝶《不動図》
恐ろしい形相の不動明王でも、滝に打たれる時は衣や持ち物が水に濡れないように脇に置いておくのね。案外几帳面(笑)
加藤信清《五百羅漢図》
パステルカラーの五百羅漢かと思ったら、輪郭線はおろか彩色部分まで全てぎっしり経文で書かれている。キャプションを読まない人はちらっと見て通り過ぎて行った。この方、10人の羅漢図を軸に50幅描いたらしい。絶句。
岡本秋暉《孔雀図》
岡本秋暉作品は14点も。うち得意の孔雀図は3点。すばらしさに圧倒
岡本秋暉《渓流孔雀図》
岡本秋暉《百花一瓶図》
椿椿山《君子長命図》
蝶はdie、猫はmaoで、70歳80歳を表す漢字と同音のため君子長命の吉祥画となる。でも猫に狙われているオケラは命危うし。
柴田是真《蜘蛛の巣図》
漆絵。抑えた数少ない色でなんと粋で繊細な絵だろう。柴田是真作品は12点で充実。
柴田是真《鴨図》
柴田是真《貝尽図屏風》
漆絵の特徴を生かしたデザイン的な貝。モダンすぎて、ちょっとシュール
柴田是真《猫鼠を覗う図》
メインビジュアルになった作品。活けた芙蓉の花が位置的にちょうど屏風の絵のようになっている。トリッキーな部分が是真らしい。
柴田是真《上代雛図》
奈良絵のほのぼのした作品。こういうのも描ける
小原古邨《木蓮に九官鳥》
古邨は14点、8点が版元秋山右衛門の長大版錦絵、7点が大短冊版錦絵で感じが全く違うのも面白い。
江戸の洋風画は、府中市美術館などで見慣れてきた面白い分野。板橋区立美寄託の歸空庵コレクションが充実
小田野直武《恵比寿・大黒図》
2年前に初めて知った小田野直武。一見気持ち悪いが、西洋画と日本古来の絵の融合が素晴らしい。
司馬江漢《Serhentine》
日本初の銅版画
司馬江漢《深川洲崎富士遠望図》板橋(歸空庵コレクション)
司馬江漢《犬のいる風景図》千葉
司馬江漢は犬好きだったそうだ。2館が同じタイプの絵を所蔵
亜欧堂田善《自上野望山下》
小田野直武は5点、司馬江漢は8点、亜欧堂田善は7点
石川大浪《天使図》
ビミョー
石川孟高《獅子図》
最後の展示作品がこれ!インパクト大!ライオンは顎が外れそうなほど何にびっくりしているんだろう???
6月23日で終了。
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