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2019年05月02日10:48

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4/29 ウイーン・モダン〜クリムト、シーレ世紀末への道@国立新美術館

「クリムト展」を空いている時間帯に見ようと5時過ぎに東京都美術館へ行ったら、この日は通常通り5時半閉館。GW中は夜8時まで延長している国立新美術館「ウィーン・モダン展」と混同していた。がーん!今、ウィーン分離派展がブームなのか(目黒区美術館でも「世紀末ウィーンのグラフィック展」を開催と最近知る)。慌てて上野から乃木坂に移動。夕方の銀座線は渋谷へ行く若者と外国人で激混み。

6時に滑り込んで、閉館8時まで鑑賞。しかし点数が多くてびっくり、時間配分を間違えると後半のウィーン分離派の画家たちの絵が見られなくなる恐れがあった。
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何せ、この展覧会の主眼は、ウィーンの世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点から紐解くこと。18世紀の女帝マリア・テレジアの堂々たる肖像画から始まり、ビーターマイヤー時代からの生活様式を絵画だけでなく、家具や食器、衣類などの多角的展示で紹介、そして、ウィーンといえばシューベルトやヨハン・シュトラウスの音楽、都市改革や近代建築の資料までジャンルは多岐にわたる。
クリムト展を観にきたことを引きずっていた頭では少々混乱。なので、オットー・ヴァーグナーの近代建築図はかなり飛ばしてしまった。クリムトの初期作品から、ウィーン分離派の画家たちの作品をじっくり見ることにして、1903年イギリスのアーツ&クラフツを参考にして設立したウィーン工房の作品、製品群も軽く流す。それでも、ウィーン分離派やウィーン工房のグラフィック作品(ポスターやポストカード)もすごい量であった(面白いので却って困る)。まともに見ようと思ったら2時間ではとても足りない展覧会だ。
ただ、疲れるので、ある程度的を絞ったほうがいいかも。そして、久々に音声ガイドの手助けが欲しくなった。知らないことが多い。
全体的な印象としては、現代的とも言える、機能的で洗練されたデザインのウィーン・モダンは、ビーターマイヤーの時代からすでに芽生え、思っていたより早く始まっていたこと、これには意表を突かれた。
また、分離派以降はフランスで流行したアール・デコ様式と似ていると思ったけれど、キャプションにはそれに全く触れられていないことに驚く。ウィーン・モダンはアール・デコの流れではないのか、ちょっと混乱。
世界史、美術史の知識の無さを恥じる。今後の課題です、スミマセン。地道な勉強ができないので、近々「クリムト展」に行ったらもう少し理解できるかもと期待。

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http://www.nact.jp/exhibition_special/2019/wienmodern2019/
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンでは、絵画や建築、工芸、デザイン、ファッションなど、それぞれの領域を超えて、新しい芸術を求める動きが盛んになり、ウィーン独自の装飾的で煌びやかな文化が開花しました。今日では「世紀末芸術」と呼ばれるこの時代に、画家グスタフ・クリムト(1862-1918)やエゴン・シーレ(1890-1918)、建築家オットー・ヴァーグナー(1841-1918)、ヨーゼフ・ホフマン(1876-1958)、アドルフ・ロース(1870-1933)など各界を代表する芸術家たちが登場し、ウィーンの文化は黄金期を迎えます。それは美術の分野のみならず、音楽や精神医学など多岐にわたるものでした。
本展は、ウィーンの世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点から紐解く新しい試みの展覧会です。18世紀の女帝マリア・テレジアの時代の啓蒙思想がビーダーマイアー時代に発展し、ウィーンのモダニズム文化の萌芽となって19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながっていった軌跡をたどる本展は、ウィーンの豊穣な文化を知る展覧会の決定版と言えます。

第1章:啓蒙主義時代のウィーン
啓蒙主義時代のウィーン/フリーメイソンの影響/皇帝ヨーゼフ2世の改革
第2章:ビーダーマイアー時代のウィーン

ビーターマイアー時代のウィーン/シューベルトの時代の都市生活/ビーターマイヤー時代の絵画/フェルナンド・ゲオルク・ヴァルトミュラー〜自然を描く/ルドルフ・フォン・アルト〜ウィーンの都市景観画家

第3章:リング通りとウィーン
リンク通りとウィーン/「画家のプリンス」ハンス・マカルト/ウィーン万博(1873年)/「ワルツの王」ヨハン・シュトラウス

第4章:1900年―世紀末のウィーン
1900年〜世紀末のウィーン/オットー・ヴァーグナー〜近代建築の先駆者/グスタフ・クリムトの初期作品〜寓意画/ウィーン分離派の創設/素描家グスタフ・クリムト/ウィーン分離派の画家たち/ウィーン分離派のグラフィック/エミーリエ・フレーゲトグスタフ・クリムト/ウィーン工房の応用芸術/ウィーン工房のグラフィック/エゴン・シーレ〜ユーゲントシュティールの先へ/表現主義〜新世代のスタイル/芸術批評と革新


以下、気になった作品などをご紹介

メイテンス《マリア・テレジア》1744年フォト
額の装飾に幼いヨーゼフ2世の肖像画もついている

ホフマイスター《絵画時計〜王宮書斎での皇帝フランツ1世》1830年フォト
窓の上にはめ込まれている時計が本物の時計だった。ちょうど懐中時計の大きさ。

ヴィルヘルム・アウグスト・リーダー《作曲家シューベルト》1875年頃フォト
シューベルトといえばこの絵だ!

フリードリヒ・フォン・アメリング《3つの最も嬉しいもの》1838年フォト
3つの最も嬉しいものって、酒と音楽と、男??

フェルディナント・ゲルオク・ヴァルとミュラー《バラの季節》1864年頃フォト
同画家の《祖父の誕生日祝い》に猫が出ていて微笑ましかった。農民の一家、息子、嫁、孫など大家族でおじいちゃんを囲んで楽しそうにしている絵。画像探したが見つからず。

フランツ・ルス(父)《皇后エリザベト》1855年フォト
皇帝ヨーゼフ1世と並んで美しい肖像画

グスタフ・クリムト《旧ブルグ劇場の観客席》1888年フォト
建て替えが決まって記録記念として描かれた絵。それほど大きくない画面に沢山の人が色々な表情、仕草で集っている。とても細かい。単眼鏡でじっくり。

ハンス・マカルト《真夏の夜の夢(ウィーン市立劇場私立緞帳のための習作)》1872年フォト
幻想的で豪華で美しい

ハンス・マカルト《メリッサの役に扮する女優シャーロット・ボルダー》1875年フォト

トーネット兄弟社《トーネット・チェア》1854年以降フォト
今でもよく見かけるこのタイプの椅子、この時代に作られたものだと知ってびっくり。か着くて丈夫、そして美しい。椅子の展示、多かった。

オットー・ヴァーグナー《美術アカデミー記念ホール:模型》1898年フォト
建物の屋根などに人の彫刻多数。みんな両手に輪っかを持っているが、あれはなんだろう。

グスタフ・クリムト《寓話(「アレゴリーとエンブレム」のための原画No.75a)》 1883年フォト
眠るライオン、木に登るハツカネズミ、カエルを咥える鶴、カエルが沢山入ったビーカーを持って驚く狐???一体どんな話だろう、気になる…

グスタフ・クリムト《愛》1895年フォト
両側に金箔貼りは、日本の屏風のようでもあり、祭壇画のようでもあり。接吻する男女の背後に怖そうな亡霊?甘美で恐ろしいこの絵、昔に展覧会で見たのか、図版で見たのか、印象に残っている。

グスタフ・クリムト《パラス・アテナ》1898年フォト
後方展示にあったウィーン分離派ポスターにも使われていたモチーフ

ここからウィーン分離派の画家たち

マクシミリアン・クルツヴァイル《黄色いドレスの女性(画家の妻)》1899年フォト
シンメトリに広げた腕と黄色いドレスの裾、まるで蝶の羽ばたきのよう。かしげた首が動きを出して生き生きとなる。

カール・モル《朝食をとる母と子》1903年フォト
ウィーン分離派の画家はスクエアな画面、青と白の色調を好んだそうだ。暖かく柔らかい点描で描かれて優しい絵。母親越しに見える少年の青い目が印象的

フランツ・フォン・マッチュ《画家の子供達(レシとハンス)》1902年フォト
編み物をしながら微笑む少女が少しお姉ちゃんらしくて可愛らしい。この絵もどこかで見た記憶が。

ヴェルヘルム・リスト《白と黒の絵画》1904年フォト
薄灰青色が美しい。

《ウィーン分離派展のポスター》1898、1899、1901年フォト
絵もさることながら独特のフォント、レタリングも素敵

グスタフ・クリムト《エミーリエ・フレーゲの肖像》1902年フォト
姉妹でモードサロンを経営していたエミーリエ・フレーゲとクリムトは公私ともに良きパートナー。恋人?この絵は大変大きく、そして美しかった。女性から見て全く嫌味なく素敵と思える女性だ。これのみ写真撮影可。
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モーリツ・ネーア《猫を抱くグスタフ・クリムト》1911年頃フォト
都美「クリムト展」ではフィギュアで販売との情報。新美では、チャームと絵葉書になっていた。

ウィーン工房のポストカード 
ルドルフ・カルヴァハ《ユーモラスなグリーティン・カード》1907年フォト
ユニークなカード、スタイリッシュなファッションカード、今でもきっと売れると思う

エゴン・シーレ《自画像》1911年フォト
エゴン・シーレ《ひまわり》1909−1910年フォト
今回とても見たかった作品。枯れて乾いたひまわりの足元には空に伸びようとするたくさんの花が。

素描も多数あって、迷いない線、余りの上手さに感動。

オスカー・ココシュカは、中世末期のような角張った木板や独特の原色の色使いの《夢見る少年たち》の連作も見応えがあったが何と言ってもこのポスターの衝撃!怖すぎるだろ。
オスカー・ココシュカ《「殺人者、女たちの希望」のポスター》1909年フォト


とにかく盛りだくさんです。8月5日まで。   

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