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2018年11月23日08:43

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「スマホを落としただけなのに」

ホラー作品の巨匠、中田秀夫が監督だ。
原作はミステリー、あるいはサスペンス的な作品なのだと思うが、監督の手腕で手に汗握る展開が多い作品になっている。

稲葉麻美(北川景子)は都内で派遣社員として働いていた。
恋人の富田誠(田中圭)は以前働いていた会社の正社員で、お互いの家を行き来するような仲である。

ある日誠は、タクシーの中にスマホを置き忘れてしまう。
SNSでの返信がなかったため直接電話した麻美は、出た相手が誠でないことに驚くが、スマホを拾った相手が横浜のカフェに預けておくと言うので、誠の代わりにその店まで取りに行った。
だが、その直後から二人におかしなことが起き出した。
まず誠にカードが誰かに勝手に使われ、高額な請求が届く。
そして麻美は誠の同僚から、SNSのダイレクトメッセージでしつように誘いを受ける。
スマホを拾った男がITの知識を駆使し、二人のデータを誠のスマホからすべて抜き出していたのである。

その頃、丹沢の山中で女性の遺体が発見される。
刑事の毒島(原田泰造)と加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪に執着している事を突き止めた。
一方、誠のスマホを拾った男は、麻美へのストーカー行為を始めるようになった。
そして麻美の写真から偶然、彼女の過去を知るようになる。

IT知識もあまりないくせに、調子に乗ってSNSで個人情報をバラ撒いているお馬鹿さんたちをあざ笑うかのような作品だ。
大勢の人間がSNSをやっているから目立っていないだけであり、もしITリテラシーの高い者に目を付けられたら個人情報などすぐに丸裸にされてしまう。
パスワードなどいくら変更しても、高度な知識のある者なら破ることが可能だし、一番安全な防御方法はSNS内で目立たない事なのだ。
しかしSNSを始める人間は、どうしても目立とうとしてしまう。
「映える」写真で注目を集めたくなるものだ。
この映画は、そのあたりを巧く作品に取り入れている。
麻美自身はあまりSNSに積極的ではないが、見た目が「映える」ためSNSに参加すると、下心を持った男がわらわらと寄ってくる。
このあたりの「SNSあるある」の描き方が巧い。

ただ、ストーリーに厚みを持たせるためSNSとは別の要素を盛り込んでおり、これが作品全体の大きな位置を占めることになる。
この部分の伏線の貼り方が中盤以降にしか登場しないので、やや弱い感じもした。
むしろ逆に、冒頭部分だけにバーンとこの伏線を貼ってい置いて、クライマックス寸前に回収してもよかったかもしれない。

巷ではあまり話題になっていないが、そこそこ面白い作品であった。


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