「楽しみを放棄するのは良いことだ。それで苦しみも去るのならば」
――ププリウス・シュルツ
誘惑は最初から絶つ方が楽だ。なぜなら、ないものには誘惑されないからである。18世紀に活躍したイギリスの文学者サミュエル・ジョンソンは、友人にワインを少し勧められたときこう断ったという。
「私には少し飲むということができない。だから絶対に触らない。私には絶つことは簡単でも、量を抑えるというのは難しいのだ」
もし、断酒中に「ワインを少しでいいから飲め」と言われたら、頭の中で議論が沸き起こるだろう。
どのくらい許せばいいのか、これは「一回」にカウントされるのか、今日許したのなら明日も許していいのか……。
「誘惑から逃れる唯一の方法はそれに屈することだ」というセリフもある。しかし、一切絶つことで、そうした声は消え去るのである。
絶対しないと決めていれば、迷う気持ちを抑える必要はないからである。
悪い習慣を破壊するのではなく、そこから抜け出すことが一番の目的であることを忘れてはならない。
良い習慣を維持するにはコストがかかる。それは時間かもしれないしお金かもしれない。あるいは、楽しみやチャンスを捨て去ることかもしれない。
ところが、良い習慣を維持しないとやはりコストがかかる。肥満によって健康を損なうかもしれないし、ギャンブルによって借金を背負うかもしれない。アルコールによって社会生活を破綻させることもあるだろう。
あなたなら、どちらのコストを払いたいと思うだろうか?
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