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2017年11月19日20:51

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こころと脳の科学[読書日記653]

題名:日常と非日常からみる こころと脳の科学
著者:宮崎 真・阿部 匡樹・山田 祐樹【ほか編著】
出版:コロナ社
価格:2,600円+税(2017年10月 初版第1刷発行)
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心理学、神経科学の本に分類されていた本です。
“読者層としては、初学者レベルの大学生を中心に想定しています。心理学や神経科学を専門としない教養科目の受講者にも興味をもって読んでもらえる”(ip)と「まえがき」にあります。

全部で27のトピックから構成されており、順番に読んでもいいし、好きな部分から読んでも分かるように構成が工夫されています。

私が気になったトピックは次のとおりです。
  1.危険な経験はスローモーション
  2.天井のしみが人の顔に見える
  6.自分でくすぐるとくすぐったくない
  9.下手な動作は見ないほうが良い?
 10.よく学び、よく休め
 12.“やる気”が脳に効くわけ
 14.読みづらい文字のほうが憶えやすい
 15.限定品ゲット!
 19.悪い結果は私のせいではない
 24.脳を見れば能力がわかる?
 ex.AIの基礎

この中から
「2.天井のしみが人の顔に見える」
「9.下手な動作は見ないほうが良い?」
「14.読みづらい文字のほうが憶えやすい」
から引用します。
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「2.天井のしみが人の顔に見える」から:
“物体や風景、意味のない模様などが、顔や人の形といったまったく別の意味あるものに見えるという経験は、珍しいことではない。このような現象は心理学の用語で【パレイドリア】と呼ばれる”(8p)
“Takahashiらは、他者の視線方向に注意が移動するという【視線手がかり効果】が顔パレイドリア刺激によって生じることを明らかにしている”(11p)
文章だけでは分かりにくいので、本書9pにあった画像も引用します。

このような顔パレイドリアでは、見ている側(私たち)の視線も左側に誘導されてしまう、という研究結果です。
じゃんけんの「あっちむいて、ホイ」でも、指先の動きにつられて指と同じ方向を向いてしまいますが、それと同じです。

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「9.下手な動作は見ないほうが良い?」から:
“プロ野球のイチロー選手は以前、「自分のバッティングに影響するから、下手な人のバッティングは見たくない」と発言した。
読者の中には、この発言が傲慢で、ほかの選手に対して失礼だと感じる人もいるかもしれない。
しかし、本トピックの主題である【運動汚染】について知っていれば、自分自身の動作(自己動作)に対してきわめて鋭敏な感覚を持つ一流アスリートならではの発言だと感じるだろう”(48p)

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「14.読みづらい文字のほうが憶えやすい」から:
“例えば、目の前に2冊の参考書があり、一方はなじみのある、読みやすいフォントで書かれており、もう一方はなじみのない、読みにくいフォントで書かれていた場合、あなたはどちらの参考書を購入するだろうか。
多くの人はなじみのある、よみやすいフォントで書かれた参考書を購入するだろう。もちろん、文字の読みやすさは読む時間の短縮につながるため、合理的な選択といえる。
しかし、こと【記憶】に関していえば、文字の読みやすさは必ずしも記憶のしやすさにはつながらないかもしれない”(78p)

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すべてのトピックは次の4つで構成されています。
 1)概要
 2)どのような実験(検証)で結論を得たのか
 3)結論
 4)引用文献
2)はかなり専門的な記述のため、ほとんど分からない所もありました。
一番期待して読み始めた『ex.AIの基礎』も、ほとんど分からない方でした(苦笑)。

しかし、読んで為になり、かつ面白かった本でした。

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※本書は「著者紹介」欄がなかったので、各トピックの執筆者欄の情報だけ書き加えます。
宮崎 真 (みやざき・まこと)静岡大学
阿部 匡樹(あべ・まさき) 北海道大学
山田 祐樹(やまだ・ゆうき)九州大学

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