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2015年10月14日04:59

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日本郵政グループ3社の上場決まる、株式の募集が始まるが投資家は買う、買わない?;経済

 日本郵政グループ3社の上場が11月4日に決まった。親会社の日本郵政と子会社に当たるゆうちょ銀行とかんぽ生命の3社が、同時上場である。
 国有企業の民営化案件としては、28年前のNTT以来の大型上場とあって、現在、証券各社は新規顧客を含め、購入の勧誘に大わらわになっている。

◎成長シナリオを描けないことが魅力薄
 僕のところにも、証券会社何社かから購入意向の打診が来た。ただ以前から、本日記でも時々書いているが、日本郵政グループ3社は超大型ではあっても魅力に乏しい。
 ただ株式に詳しくないビギナー投資家には、悪い案件ではないかもしれない。
 後述するように、株というより債券に近いからだ。大きな値上がり益が期待できない代わりに、値下がり損を被る懸念も小さい。
 それなのに、僕が日本郵政グループ3社に魅力を感じないのは、3社の成長シナリオが明確に描けないからだ。それどころか3社とも、少なくとも2016年3月期は減益であり、おそらくこの2、3年の減益基調は脱せない、と見られるからだ。これでは値上がり益は、見込めない。

◎配当利回りなら期待できる
 ただ素人視線で見ると、実は株式というより債券として見て、利率に相当する配当利回りが意外と高いという別の顔が見えてくる。
 それはどういうことかと言う前に、3社の売り出し価格=公募価格がどれくらいになるかから見てみよう。
 明日の木曜日から購入希望の投資家による需要見込みであるブックビルディングが始まる。売買単位は100株で、1株当たりの仮条件は、日本郵政が1100円〜1400円、ゆうちょ銀行が1250円〜1450円、かんぽ生命が1900円〜2200円となっている。

◎仮条件上限で決まってもなお割安
 すべての新規公開(IPО)株同様に、おそらく3社とも仮条件の上限で決まる。前述のように、株式としての魅力は乏しいが、メガ証券を筆頭にほぼ全証券会社が投資家に購入希望を募っているからだ。
 すなわち公募価格は、日本郵政1400円、ゆうちょ銀行1450円、かんぽ生命2200円になるだろう。
 前述のように100株単位なので、購入に必要な金額は、日本郵政で14万円、ゆうちょ銀行で14.5万円、かんぽ生命で22万円である。
 それでも割安感は、ある。解散価値に対して何倍まで買われているかを見る指標であるPBR(株価純資産倍率)で、順に0.40倍、0.45倍、0.65倍、といずれを1倍を下回っているからだ。

◎不動産しか魅力なしだが、それには出遅れ
 ゆうちょ銀行の対抗勢力であるメガバンク3社ともいずれも1倍を下回っているけれど、これほど低くはない。メガバンク3社に比べれば割安なのだ。
 ゆうパックを扱う日本郵政を、ライバルのヤマトホールディングスと比べると、後者のPBRが直近で1.75倍だから、文句なしに割安である。
 それなら「買い」かと言うと、そうはならない。日本郵政グループ3社は、前述のように当面は減益見通しであり、成長シナリオも描けないからだ。
 唯一の魅力は、持ち株会社の日本郵政が東京・大阪・名古屋などの一等地に、郵便局という取得価格のほとんどゼロに近い不動産を持つことで、これを再開発して賃貸ビルを建てれば、一大不動産会社に変貌する夢があることだが、人口減少社会のこれからの日本でどれだけのビル需要があるかどうか不透明でもある。

◎低PBRにはそれなりの理由
 日本郵政は、法律によって「全国あまねく」というユニバーサルサービスを義務付けられている。過疎地でタヌキしか出ない所でも局舎を閉鎖できない。しかも地方の局舎は、世襲制で高コストの特定局が多い。
 3社の低いPBRは、それを織り込んでいると言える。
 それに、売り出しで集まったカネ、約1.4兆円は、そっくり東日本大震災の復興財源に充てられることが決まっている。日本郵政グループ3社の成長投資に回るカネは、1円もない。
 つまりは政府による投資家からの上納金取り立て、である。
 ……と、こんなわけで、セミプロ級投資家ほど、日本郵政グループ3社への視線は冷ややかとなる。

◎「買わせる」仕掛けが、郵貯の定額預金の100倍という高配当利回り
 となると、誰も買わないだろう、と推測される。ただ今回の売り出しは、第1次であり、続いて来年以降、第2次、第3次と、売り出しが予定されている。誰も買わなければ、復興財源に穴が空く。
 そこで、財務省とメガ証券が「買わせる」工夫に知恵を絞った。
 「配当利回り」である。日本郵政、ゆうちょ銀行は、純利益の50%以上を配当に回し、かんぽ生命は30〜50%を配当に回す、と公約している。
 それを前記の株価で割ると、日本郵政、ゆうちょ銀行で年間配当利回りは3%程度、かんぽ生命は2%ちょっと、になる。
 つまりゆうちょ銀行の如きは、自社で売る定額貯金利率の100倍近い配当利回り、となる。
 かんぽ生命だけ配当利回りの低いのは、今後、海外や国内生保への資本参加などを見込んだ成長性を見込んだもの、と見ることが可能だ。

◎安くても株なので、暴落リスクは皆無ではない
 これは、低金利に悩むお年寄りなどには耳よりだろう。だから前述のように「債券」的なのである。
 ただし債券的な側面を持ちながらも、基本は株である。持っていても、満期償還にならないし、長期的に値下がりの懸念もなくはない。
 例えばいくら配当利回りが高くても、今夏の中国ショックのような暴落があれば、日本郵政グループ3社もすべて売られて、売り出し価格割れを起こす可能性は十分にあることは考えておくべきだ。
 もっとも暴落が落ち着けば、配当利回りに注目した買いが入って来るから、じきに公募価格は回復するだろう。それ以前に、持ち切れずに売却すれば、損失を被る。

◎長く持つ株ではない、買ってもそこそこ含み益が出来たら売却を
 株式取引に慣れた投資家は冷ややかでも、アマチュアに近い人なら、配当利回りに引かれて最低単位の100株は買ってもいいかもしれない。
 ただし、長く持ち続ける株ではない。上場されても、公募価格を少し上回る程度の初値となる程度で、1割を上回る初値をつける期待は、ほぼない。
 だから数カ月持って、公募価格の1割を上回るような局面があったら、ひとまず利益確定した方が無難かもしれない。
 そして下がって、公募価格割れを起こしたら、その時にネット証券で買い直せばいい(ネット証券の方が手数料がはるかに低いので)。サーフィンのように、安くなれば買い、高くなれば売りの繰り返しが有効なのではないか。
 なお公募・売り出しに際しては、手数料はかからない。購入希望者は、最低単位の100株なら公募価格の100倍の現金を用意して証券会社に払い込めばよい。

昨年の今日の日記:「ヨーロッパの分裂化、カタルーニャ独立機運高まるスペインとEU離脱を求めるイギリス;現代史」

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