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日記一覧

いつもいた老婆掻き消え赤子の声幼子が老婆に語るむかしむかし銀歯取れ歯よりも胸の疼く夜あしたになれと眠って起きればきょうになり落ちそうな黒雲避けて足早にクリスマスと正月の境目を探して歩く

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モノクロームの紅葉
2016年12月07日12:28

紅葉した街をモノクロームの目で見て歩くスマホ手に老若男女もみじ見ずカサカサがカササになって君落ち葉踏む河童の出るという池で葉っぱ舞う歌を忘れてほしいがなり屋あしたはあるのか きのうはあったか

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ゴミ捨て場に太宰の「斜陽」と胡蝶蘭元気な頃しか知らない人の訃報また落葉踏む後ろで猫が落ち葉踏む簡単に人が死に生まれる生きるのは難しい世に青空に染まれや染まれこの濁世夕日背に影の巨人を尾行する

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不幸という名に改名したいと幸の名の人蜘蛛の巣を張るのが下手な蜘蛛は僕工場はマンションGSはコンビニになり窓の外セイタカアワダチソウ名だけで一句なり叢のハモニカ歌う「花も嵐も…」一周忌一周忌でまた年も暮れ

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まっすぐな道だから進めない進もうとしても同じ顔をした二人が多分別のことを考えている生きるために生きているのかホームレスまぎれもない親子の並ぶ苦い顔青柿や赤くなる日は土中かな夏服と冬服混じる秋の街

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逝く道と帰る道とは違う道灌木の緑に隠れ曼珠沙華日暮れの保育園 灯りも声も黄色くて木星の惑星思えば金木犀居酒屋の喧噪の中にもカネタタキ酔っぱらってますすみません金木犀のせいです

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線香にカレーの匂いの商店街隣家から繰り返し聞こえる明るい失恋ソングきのう見た朝をきょうは見られない人がいるどこかに理髪店の窓からきょとん猫消えて久しく迷い迷って傘を持たずに出たら雨紅白のおめでたくない彼岸花

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赤とんぼ止まっているけど動いてる滑り台の下で親子の雨宿り青ざめた落ち葉が死んだふりをしている枝々に鈴なりに実るアブラゼミ音痴ほど声の際立つツクツクボウシ蝉しぐれ劈き走る救急車

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SNSが知らせる故人の誕生日あさまだき ひぐらしかなりかなりかな新聞のバイクとセミのみ朝まだき落ちゼミや踏まずに歩かん生きるも死ぬも人無き日盛り からくり楽団時を告げかくれんぼ食うだけ食って青虫よ

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みんみんの拙き歌や梅雨明けず草刈や雑草どもの血の匂い無口な猫ほど強い人も然りか体温より高温の空気を冷やして歩く炎天下の喫煙コーナー人集い蝉しぐれ人無き昼の盆やぐら

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納涼
2016年08月05日11:23

暑中お見舞い申し上げます…

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日と影の境目に佇み温度差を見る老人と老犬の散歩久しく見ずいずれの変事か…風の色一瞬見えて燕落つ胡蝶蘭かかえていとけなき少女そこに立っていた木も人も今はいない自転車の過ぎて残り香女子高生

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九十の老婆と一週の子猫昇天空梅雨の空を仰げば凌霄花久しぶりに会った人のシャツが夏昭和顔なのと平成生まれにっこり顰め面閑さや獏も出そうな昼下がり昨日落とした影を拾った木の下道

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濃い顔の巨漢が優しい声で道を尋ねる来日したYOUの顔してタチアオイ紫陽花と傘があるから出かけましょ鬼太郎の父さん群がり立葵立葵風に揺れ揺れ花に酔う紫陽花を顔に張り付けその女

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影よりも黒い顔でその少女笑うおひるねの保育園 夢たちが騒がしいドクダミの花々が無垢無垢と咲いている顔は忘れ口紅の色は思い出す夏めいた光を心太のように突き花の名を一つだけ残して消えた人

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植物の中の動物の中の人間思い出が挿し木の薔薇となって咲く住所録の住所を墓所に書き換えたこの時節思い出す人二人減り一輪の薔薇が行き倒れていた何もできずに深爪痛い失恋の夏

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会うはずのない人に逢うはずのない場所で遇うイカした男の下りたエレベーターがイカ臭く野良猫の増えれば悩まし減っても悩まし二か月ごとのカレンダーでももう5月紫陽花の青い蕾に相逢うて花の名をひとつ覚えてふたつ忘れる

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日曜日の保育園にコロボックルの置き傘公園は無口に暮れて風叫ぶ道具を使う猿だなと思う孫の手使いつつ亡き人の愛せし花咲く吾は好かねど夕化粧花も人もピンクに染まりけり鯉のぼり運動靴と物干しに

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新刊のお知らせ
2016年04月29日17:36

フレーベル館から下記の拙著が出ました。あかちゃんといっしょ0・1・2「おへんじ してね」(中村 徹/作 せべまさゆき/絵)好評だった「にらめっこ」の姉妹編という趣の、あかちゃん絵本です。あかちゃんはもちろん、おかあさんも、おとうさんも、おじいさんも

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近道で神社を抜けてから手を合わせる用水路の石垣にぽちぽちタンポポ灯る桜散る散るも涙の物語花筵ためらいながら踏みしめて人のいないテニスコートでタンポポ背伸びする雄鳩が雌鳩を追う公園で人を待つ

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高校のテニスコートにツクシひっそり猫が瞳孔おっぴろげて見つめている朝まだきパンジーが黄色い顔で嗤っている花よりも政治だよという顔でラップ鴨半音階の音符となって桜散る薄紅のキスキスキスキス桜散る

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好きだった人と同じ名の花すみれ咲く水羊羹色のどぶ川鯉が跳ぶ華奢な女大男引き男歩き知らぬ間に蚊こんな俺でも食うか?記憶と自分消すゴムないか夜の机にアパートの解体現場会話はポルトガル語

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花筏群れ滞っていずこより久しぶりの便りメールではなく風邪声で仏顔の肥ったおばちゃん神頼み梅食いて酔うたか目白空騒ぎ不在とは在より在と知る春宵アゲハ羽化 蛹の前は亡き猫がいた

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黒猫やいずこで纏いし白花弁鳴く鳥と鳴かない鳥が泣く子を見ている語り合うふたりに二度遇う行き帰りバラ8輪買う1輪は僕のためふと耳を澄ませば世界は音ばかり朝しめのチキン供する店の前で黙祷

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人影がみな黒猫に見ゆる日やいくとせもわれを見守るアパートにまた空き室老犬と散歩する少女「同い年なの」爺さん餌巻いてヒヨドリ子供の声名残り雪 誰の残せし血の痕や同じ花あちらとこちらで別の顔

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黒い影こうべを上げれば白い鳩青空に場違い同士昼の月SNSの友に幽霊いくたりか寒いなら上がればいいのに水の鴨猫の薬の名は忘れない人の名は忘れても信号の赤目青目に見張られて歩く

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