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俳諧師:近江不忍コミュの四、「上句九音」の『字餘り』に就いて 『發句拍子論』

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 この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
 これは自作(オリジナル)の,

 『Motion1(ピチカアト・pizzicato)』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。
 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。








    四、「上句九音」の『字餘り』に就いて

次は「九音・七音・五音」の「二十一文字」の音調である。

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
   ろの こゑなみを う  て      はらわたこほる よやなみだ
   櫓の 聲 波 を 打  て      腸   氷 る  夜や涙    芭蕉

 この句は「八音・七音・五音」の所でも述べた作品で、格助詞の「の」が附加されて「九音」になつたのだが、もし「打て」が「打(うつ)て」や「打(うち)て」だと、この句の上句の『字餘り』は「十音」になり、次の「十音・七音・五音」の『字餘り』の所に席を譲らなければならなくなり、當然、前の「八音・七音・五音」の所で紹介した句が、ここに來なければならなかつた事になるし、

  C♪♪♪♪|♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|ζζ|
   ろの こゑ  なみをうて   はらわた こほる よやなみだ

 このやうに「打(う)て」の場合だと、弱起の句になるのは以前と同じである。
 しかし、いづれにしても「上句」の音數が増えるに從ひ、『三小節』内に納める事は望む可くもない。
 また、芭蕉は「九音」といふ音數の句が結構あり、それは必ずしも「上句」とは限らず、「中句」であつたりする事もある。
 「中句」の『字餘り』に就いては後で述べるとして、「上句」の『字餘り』の句を幾つか調べて見よう。

  Cγ † ♪♪♪♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
    きやうく こがらし  の      みはちく さいに  にたるかな
     狂 句こがらし  の      身は竹  齊 に  似たるかな  芭蕉

 この句は、『連句』の爲の發句であるが、

  Cγ † ♪|♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|ζζ|
    きやうく  こがら しの   みはちく さいに  にたるかな

 このやうに弱起の句にも出來る。
 他にも、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
   さるを な くたびび  と      すて ごにあきの かぜいかに
   猿 を 啼  旅  人        捨 子に秋 の  風 いかに  芭蕉

 この句は『甲子吟行』の作品で、富士川の邉(あた)りで詠まれたのだが、「捨子」とは、世間に見捨てられた芭蕉自身の事かも知れない。
 然(しか)し、この句は「旅人」を除けば定型になるが、頭の言葉ではないので、今までのやうに弱起の音型には出來ない。

  Cγ♪ † ♪♪♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†| ♪ ♪♪♪†ζ|
    ばじょうおン と し て      ざんむざんげつ ちやのけぶり
    馬 上 落ンと し て      殘 夢 殘 月   茶 の 烟   芭蕉

 この句は漢詩風の作品で、初案は「馬上眠からん」であつたが、やがて「馬に寢て」といふやうに「上句」を推敲し、「中句」も「殘夢遠し」と「八音」にしてゐる。
 これは、又、後に「中句」の『字餘り』の項で述べたいと思ふし、頭の「馬上」がなければ定型になるので、

  Cγ♪ † |♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†| ♪ ♪♪♪†ζ|ζζ|
    ばじょう  おンと して   ざんむざんげつ ちやのけぶり

 このやうに弱起の句にする事も可能である。

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
    はなちりつ きおち  て     ふみ ここにあら  ありがたや
    花 散  月 落   て      文  斯 にあら  有 がたや  蕪村

 最後の句は谷口蕪村で、これも「花散」を除くと定型の形で弱起の句になり、

  C♪♪♪♪|♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
    はなちり  つきおちて   ふみ ここにあら ありがたや

 このやうに出來、蕪村にはこのやうな句がまだあると思はれるが、それはここでは省いて、「上句」の音數が多くなると、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|†ζζζ|

 このやうに「二小節」に跨(またが)るが、この考へを延長させると、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪♪♪†|

 このやうに、「二小節」目の最後の『四分音符(†)』に『休止延長記號(フエルマアタア)』が使へるとしたならば、「十五文字」の音數が「上句」に於いて使用可能な事になる。
 どうせ『休止延長記號(フエルマアタア)』が使へるのならば、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪♪♪♪♪|

 このやうに「十八文字」の音數にも出來るかも知れないが、「上句」には『詠歎』による「大休止」の『休符記號(ζ・γ)』がないよりもあつた方が安定するので、最低の「一拍」を與(あた)へると、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪†ζ|

 このやうに「十三文字」の音數になり、『休止延長記號(フエルマアタア)』を何處にも必要としない、「上句」の『字餘り』の安定した最長文字の音數の形式が確保された事のなる。

 これによつて、發句の『五七五』といふ定型の何が解るかといふと、

  Cγ † ♪♪♪♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
    きやうくこが らし の      みはちく さ いに にたるかな

 このやうに「上句」は「九音」の「二小節」になつて、「二小節」目の『四分休符(ζ)』は「三拍」もある事になり、しかも、「中句」と「下句」を合せた時の「二小節」と、同じ重さの句になつた事が解り、既に述べた通り、全體で「四小節」の長さになつてゐる。
 といふ事は、發句の基本が「中七句・下五句」を合せた時と、「上句」だけの重さとが均等である事を示してゐると言へるだらう。
 勿論、それは『五七五』の定型の時でも同樣だと言へる。
 丁度、短歌の『五七五七七』における『五七五』の「上句」と、『七七』の「下句」があつて、短歌の『五七五』の「上句」に發句の『上五句』が當り、短歌の『七七』の「下句」が發句の『中七句・下五句』を當嵌(あては)めるといふ風に考へると解り易いのではなからうか。



五、「上句十音」以上の『字餘り』に就いて 2、第六章『字餘り』の『拍子』に就いて
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=52160850&comm_id=4637715


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