mixiユーザー(id:6007866)

2008年09月25日13:14

9 view

『武士の作法』

 木書房さんの最新刊『使ってみたい 武士の作法』を読んだ。著者は『武道通信』主宰の杉山頴男氏。氏は「現代に生きる武士」といって過言ではない。常に「武士」たらんとする著者が自ら明言しているように、本書は「武士とは何者であったのか」を読者に解き明かすことを目的とし、決して歴史考証本の類ではない。だが、これがやたら面白い。面白過ぎる。「まえがき」からこれだけ面白い本は珍しい。もちろん、私が歴史小説や時代劇の大ファンで、多少武道の経験があるから、一般の読者より興味を惹かれて当然かも知れない。しかし、この本を読めば、時代劇映画、ドラマがより一層面白くなることは間違いない。それほど、武士の姿は脚色され、誇張され、誤った情報がまことしやかに現代まで継承されているのである。

              フォト

 一例を挙げよう。著者は、黒澤明監督作品『七人の侍』で登場する、刀や槍の使い方も知らない農民達の存在を「間違い」と指摘する。物語上、戦う意志も能力も持たない無力な百姓が、荒くれた野武士集団と戦ってくれる侍達に助けを求める方が単純明快でスッキリするし、面白い。しかし、事実は異なるのだそうだ。農民が武装し、自衛のために戦っていたことを丁寧に解説されると、「なぜ武士が刀を二本さしているのか」という背景までが明らかになってくる。大方の読者には正に「目からウロコ」であろう。
 武士は職業ではない。武門に生まれた男子は幼い時から、武士にふさわしい肉体と精神の鍛錬を課され、武芸十八般の修行を重ねつつ、生涯をかけて己を磨くものである。道を行く時も、外泊先で就寝する時も、「軍人(いくさびと)」として実に合理的に行動しているのだと知れば、誰もが「武士の作法と生き方」に畏敬の念を覚えるに違いない。
0 16

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2008年09月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

最近の日記