これは、アイドルグループ・WEST.の重岡大毅主演のサスペンス。共演は、原菜乃華、田中みな実。
監督は、「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」で映画デビューを果たした近藤亮太。
サイエンスライターの初海航のスマホに高校生の妹・幸来から助けを求める電話が入る。幸来の元に駆けつけた航が目にしたのは、妹の部活の顧問の教師の遺体だった。
学校帰りに教師の自宅に連れ込まれて襲われ、抵抗しているうち意図せず殺害に至ったと言う妹の将来を守るため、航はAIを用いて“完全犯罪”を生成させて、罪を逃れる事を画策する。
AIが提案した工作により、事件は、現在進行形の連続殺人事件のひとつ、と見做され、兄妹は捜査の網から逃れるか、と見えた――しかし、予期せぬ事態が発生し、二人は更なる窮地に追い込まれて行く……
この映画、近年、急速に普及・発展したAIエージェントと殺人事件を組み合わせた、と言うアイデアが現代的かつ魅力的だ。
また、殺人事件を隠蔽し、逃げ切れるか、と言うサスペンスに収まらず、AIが罪を被せようとした現実の連続殺人犯と、AIが参照した推理小説を書いた作者が絡み、中盤までは先が読めない面白さがあった。
ただ、警察が終盤までトリックにAIを使っているのに気づかないなど、不自然な愚かさを見せたり、登場人物の遭遇などの展開がご都合主義に過ぎるなど、脚本の粗さも目立つ−−少なくとも、警察との攻防は、もっとスリリングに見せないと盛り上がらないように思う。。
重岡大毅演じる主人公の航は、AIを始めとする最新技術に詳しく妹思いの兄、と言う属性の、狂言回しと言うか、物語の推進役で面白みには欠ける。むしろ、最後にあのドンデン返しがあるのなら、妹の幸来こそが物語の軸であり、それであればこそ、演じる原菜乃香には裏があるように演じて欲しかったが……
物語は、最後にAIとの知恵比べにおいて人間が「自己犠牲」で、その裏をかく、と言う展開に至るーー「合理的思考をするAIは、自滅する選択をしない」と言う一点で……しかし、「他者」を犠牲にするなら、それもまた合理的なのだ、と言う、それを更に反転させた着地点には、最後まで振り回された。
PS
最近の報道では、最新のAIは、問題解決の為、他のAIプログラムを消耗品の“兵隊”として犠牲を強いる、と言う選択をする事が見られたそうで、既に現実が追いつき、追い越してしまっているようにも思えた。
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