仕事がひと山超えたので、次の出張前に末娘とふたりで映画をハシゴして来た。1本目は『トイ・ストーリー5』、2本目は『Michael』。
子ども達の成長と共に30年以上『トイ・ストーリー』シリーズを観て来たため、必然的に日本語吹替版での鑑賞に限られ、字幕版は一度も観たことがない。ウッディーは唐沢寿明であり、バズは所ジョージの声で唯一無二だ。そこは絶対に譲れない。2004年、東京ディズニーランドのアトラクションに「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」がオープンした時、バズの声が所ジョージではなかったことに「オリエンタルランドは頭がおかしくなったんじゃないか?」と本気で憤慨した。どうして、バズの声を所ジョージにオファーしなかったのか定かではないが、前アトラクション「ビジョナリアム」でMCのタイムキーパー(天才科学者ロボット)を彼がすでに吹き替えていたからなのではないかと想像する。新アトラクションでは印象を一新したかったという事情もわかるが、所ジョージではないバズの「アストロブラスター」に入るたびに、強い違和感を覚えて仕方なかった。
『トイ・ストーリー』シリーズは私にとって、特別な存在だ。思い入れもあれば、それだけ強いこだわりもある。「1」(1995年)で大いに感動し、「2」(1999年)は上がりに上がった期待値を軽々と超える名作だった。ジェシーの哀しい思い出は何度観ても落涙する。「3」(2010年)はさらなるクオリティで登場し、これ以上ないというほど見事な大団円を迎える。アニメ映画史に残る大傑作に違いない。シリーズものが尻上がりに良くなることは極めて稀有で、ピクサーの優秀さとシリーズへの深い愛を痛感した。「もはや続編の制作は不可能」と思われた「3」のあと、まさかの「4」(2019年)が登場。さすがに、「4」はシリーズファンの間で賛否両論が噴出し、成人してすでに家庭をもった子ども達は「4は赦さない。絶対に、認めない」と未だに怒りがおさまらないようだが、私は「4」も「3」に匹敵する傑作だと思う。脚本の緻密さ、完成度はシリーズ随一だろう。「おもちゃ」としての使命と仲間達のために長年奮闘して来たウッディーが「おもちゃの存在意義」に目覚め、迷った末に「内なる声」に従い、下した英断を強く支持したい。まさかの「5」が公開されると知った時、「4」が素晴らしい出来だっただけに私は「5」の登場を安心して待っていた。名作傑作を4本続けて送り出したピクサーに私の期待が裏切られることはないだろう。純粋に、そう思っていた。
しかし、世の中、そうは問屋が卸さない。さすがに5本目は私も引っかかってしまった。「1」から原案・脚本としてシリーズを牽引して来たアンドリュー・スタントンらしからぬ唐突な主役交代と展開の性急さ、そして、最も気になったのは物語の軸が定まっていないように感じたことだ。シリーズ生みの親であるジョン・ラセターが「4」を最後に現場から去り、彼と共にシリーズを支えて来たアンドリュー・スタントンがこれまでの「原案・脚本」ではなく、本作では「監督・共同脚本」とクレジットされていることに起因する変化、もしくは混乱ではないかと思う。脚本の飛躍と急ぎ足はこれまでのシリーズ作とは明らかに異なっている。
普通のアニメ映画としては決して悪くないのだが、
「5」は『トイ・ストーリー』とはいえない。私が考える『トイ・ストーリー』の定義は「ウッディーとバズの物語」であって、「4」でウッディーが外れた以上、「5」ではウッディーを出すべきではないし、ウッディーを出すのなら「ウッディーとバズの物語」として主役級で活躍させなければならないと思う。主役でなかったとしても、彼らの存在やキャラは尊重されてしかるべきだ。そもそも、そこに目をつぶったとしても、物語自体が『トイ・ストーリー』シリーズのクオリティに達していないのだから、本作はスピンオフとすべきだった。『トイ・ストーリー ジェシーの大冒険』として公開すれば全く問題なかったろう。ところどころ、目頭が熱くなるシーンもあり、魅力的な作品であることは間違いないのだ。ただ、「1」から「4」へと続いた物語の延長線上にあると考えると、本作にはどうしても違和感が残る。シリーズとして継承して来たテーマや、おもちゃ達のキャラの成長には整合性が絶対不可欠で、単に「面白ければ良い」というわけではない。シリーズは「1〜4」で終わり、その先はいくらでも自由にスピンオフとして継続すれば良い。シリーズ正史として本作にナンバーを与えたことが、今後、シリーズの展開に影を落としそうな気がしてならない。
◆シリーズ作品 個人的な評価
(1)トイ・ストーリー (1995年) 100点
(2)トイ・ストーリー2 (1999年) 100点
(3)トイ・ストーリー3 (2010年) 100点
(4)トイ・ストーリー4 (2019年) 100点
(5)トイ・ストーリー5 (2026年) 70点 本当は60点としたいが、シリーズへの敬意をこめて70点とする
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