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2025年12月25日09:37

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「消滅世界」感想

 これは、芥川賞作家・村田沙耶香の同名ベストセラー小説を映画化したもの。
 主演は「朝が来る」の蒔田彩珠。監督は、映像ディレクターの川村誠。

 人工授精で子供を産むことが一般化した近未来の日本。夫婦間の性行為は“近親相姦”と言われるタブーとなり、恋愛の対象は家庭外の愛人か、二次元キャラというのが常識になっていた。
 そんな中、両親が愛し合った末に生まれた雨音は、愛情のある性行為による妊娠・出産を「正しい」と主張する母親に嫌悪感を抱いていた。雨音は性愛のない“清潔”な結婚生活を望み、二次元キャラクターと恋愛を重ねる。そして、その“清潔”で“正常”な生活を全うすべく、実験都市・「楽園(エデン)」に夫と移住した雨音は……

 近未来の社会を描く物語を、邦画、それも低予算映画で作るのは難しい――それに敢えて挑戦したのが本作のように思える。
 川村誠監督のセンスはなかなかのもの。実在の大学や美術館、建築事務所などを用いて未来社会を演出、全体的に白で統一された居住空間には、現在の過剰とも言える日本の潔癖さの行きつく所とも言える息苦しささえ覚えるほどだった。
 
 その一方で、本作に決定的に欠けているのが、恋愛や情熱などに対する、猥雑でエネルギッシュな描写なのだ。
 恋愛対象が二次元キャラなど、今となっては珍しくもないが、そうした一方的な恋愛エネルギーの形がフィギュアひとつ、などと言うのはあり得ない。様々なグッズで猥雑になるのが普通だろう。
 また、性愛が家庭に縛られない、とするなら性交はもっと開放的でエネルギッシュなものとなるのではないだろうか?
 そうした、歪んだ、と言うか現在と違う社会像を描いて、そこに現代の価値観を引きずる母親と言う“異物”と対立させる事で物語を作り出す事が必要だったのではないだろうか?――それを、“清潔”さを求める娘には白い服、性愛を肯定する母は赤い服を着せました、と言うのはさすがに抽象化が過ぎるだろう。
 「性愛と出産」がテーマでありながら、セックスは勿論、裸も見せない、と言う描写もそうだが、センス良く清潔にまとめられた本作からは、どうにもエネルギーを感じられず、ラストにもピンと来なかった、と言うのが正直な所だ。
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