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2024年08月16日01:22

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全てが「地下化」する

僕が会社で管理職になったのは今からもう7年も前であるが、
その間に言語に絶する様々な事があった。
世間的にはこれを「紆余曲折」などと言って
そう重くは受け止めないのであろうが、否、僕もそうあるべきだとは思うが
どういうわけか、会社の人事当局から目を付けられてしまう結果に
なってしまったのは実に不本意である。

一つは「ハラスメント疑惑」である。
実際に問題発言を繰り返している自覚はあるので、
それが「根も葉もない事」と言うつもりは無い。
だが、上役がわざわざ東京から出張って現地調査をした結果、
「たった一人」を除いて全員が僕に「ハラスメントの事実はない」と
証言したのだという。
しかも、僕が「職場の雰囲気を悪くしている」とまで言われていて、
一人を除いて全員が「今まで所属した中で一番、雰囲気の良い職場」
と回答したわけであるから、僕への嫌疑が晴れ、反対に告発した人物に
「いったい何があったのか」という調査に風向きが変わった。

要は、僕は今の職場に赴任して
「令和のこの時代に昭和のルールを持ち込むな」と
陋習を一掃し、倉庫を一掃し、情報管理を刷新しただけなのである。
それが「雰囲気が悪い」と言われる原因なのだとしたら。。。と
特定の人物の素行調査にまで発展したのである。

僕は赴任して最初に「職場には2名の発達障害がいる」と断定し、
彼らに対する説明や指示を周りとは一線を画して、
彼らにも分かるように説明の方法を変えた。
少なくとも「告発者」はその内容は理解していて順応している筈で
恐らくはその順応が「居心地の悪さ」を醸しているのだと分析している。

まあ、それは追々説明するとして。

仕事柄、色んな職場の人の相談を受けるのだが。。。

ある日、とある部下から相談を受けた。
「得意先のゴルフ場からクレームを受けました」
そのセクションでも若手の部類の彼は神妙な面持ちで言うのだ。

「どんなクレームや?」
「僕の担当するイベントの参加者がトイレに吸殻を棄てている、という指摘です」
「すると、もうゴルフ場を使わせ無いぞ、と示唆しているのか?」
「そこまでの剣幕ではないけれども、結構お怒りのご様子で」

彼が担当しているのは小中学生を対象としたゴルフ大会で、
比較的、懇意にしているゴルフ場さんを会場にしているのだが、
ふいにクレームを入れられて困惑している様子が見て取れた。
「ジュニアゴルファーへの受動喫煙を懸念して、
その時だけ、コース内から灰皿を排除したのではないか?」
僕は現地に行かないので様子は分からないが、そう想像した。
「たぶん、そうみたいです」
「馬鹿だねぇ、お前もコースさんも。
ジュニアゴルファーだから、保護者が送迎するだろ?
プレーもしないのに半日とかコースで待機するんだろ?
喫煙者はタバコ吸うに決まってるじゃないか」
「だけど、お行儀悪いじゃないですか」

もう、それだけで色々と想像がついた。
タバコだけじゃない。色々禁止しても、隠れてあれこれする人間が
世の中には一定数居る前提で物事は考えなければならない。
受動喫煙を懸念するのであれば、
喫煙所を目に見える遠く離れたところに置くべきである。

どれだけ「不倫」はダメ、「喧嘩」はダメ、「暴言」はダメ、
と言っても、それらが無くならないのと同じく
禁止するだけでは排除できないのが世の中の習いである。
特に見えないところだったら、禁止される事でもOK、みたいな風潮が
ここ近年強化されていて、世の中は監視社会である。
だから、「ここはダメだけど、あすこならOK」と徐々に遠ざけるのが
何事も手順というものだ。

「今度、コースさんに言いなさい。建物の入り口付近に喫煙所を置いて
そこから子供たちを遠ざければいいのだ、と。
勿論、マナー違反は退場させます、と注意喚起はこちらもすることにしよう。
だけど、見えないところで悪さするのを封じるのは不可能だ。
そんな事は相手も分かっている筈で、本気でクレームなんて言っていないだろう。
遣る瀬無いから、こちらにぶつけているだけだと思う」
「そういうもんですかね」
「分からないが、それっぽい事を云いながらのらりくらりやる術を身に付けなさい」

僕の業務指導はいつもこうである。
世の中には何種類かの人がいて
「誰も見ていなくてもルールを守る人」
と
「誰も見ていないからルールを破る人」
が居るのである。そのどちらも悪気が無くても、
起きる結果は正反対である。
最初から他人の眼前でルール破りをすることが「粋」だと
思い込んでいる人すらいる。
世の中、「ギブアンドテイク」だと言い張る人も居れば、
無償で善行に走る人だっている。
ただ割合が多いか少ないかだけで、それらが入り混じっているのである。

友人がCDを持ってきて
「これ、最高だから聴いてください」
と言うので、自宅でそれを聴きながら仕事をしていた。
どうもその音楽を聴きながらだと仕事が捗らないので困ったが
一応、聴いてからCDを返そうと思った。

案の定、「どうでしたか」と内容の是非を訪ねて来た。
「いや、僕の趣味とは合わなかったが、まあイイ感じだとは思った」
と曖昧に褒めておいたら、当人は嬉しそうにしていた。
その様子を見ていた隣席の女子社員が
「そんなに露骨に否定したら、可哀想だ」
と笑いながら僕を非難した。いや、僕の真意を見抜いての上である。
「だって、本当にくだらない音楽だとは言えないだろう」
「私には、全否定している風に聞こえましたけど」
「本人は肯定されたと思って去っていったのだから良いじゃないか」
「そうやって、あの人が『頭おかしい人』だと周りに知らせるようなもんですよ」
「深読みし過ぎだ」
他愛もない会話だったが、なるほどなと思った。
同じ言葉でも受け取り方ではそうも映るのか、と考えさせられたのである。
ただ、僕は「頭おかしい」と思っても、それを言葉にすることはないし
出来ないのである。


別の女性社員が
「お昼に連れて行ってください」
と珍しく言うので、連れ立ってランチに行った時の事。
「どうして、いつも○○ちゃんにだけ、丁寧に一から十まで説明してあげるのですか」
和気藹々とした食事を終えて、喫茶店でお茶をしている時に
その女性社員は出し抜けに切り出した。
「どうしてもこうしても。○○はハケンだから。
何時何分までにこういう成果物を提出してください、
それに当たってはこういう能力を身に着けて下さい、
と指示するのは当たり前で」
「え?私にはしてくれないんですか」
「君は社員だから、期日を守らなくてもクビには出来ないけど、
ハケンは能力不足が顕著な場合は契約更新しないんだよ。知ってた?」
「だったら、なおさら私に指導してくださいよ」
「君には直接の上司が別にいるだろう?
それに僕よりこの職場の所属期間が長いのだから、僕が教える事なんて
殆どない筈だ。他の人がハケンに指導していたら業務に支障を来すから
僕が教えているだけで、もし君が能力不足だとしても
僕が指導することが出来るのは限られた範囲だけでしょ」
「そういうもんなんですか」
「何とも言えないけどねぇ。能力不足でもクビにならないんだから、
そこは自分で頑張ってもらいたい部分もあるけどねぇ」
「冷たい話ですねぇ」

別段、冷たくしているわけでもなく
実際に彼女は能力的に問題もあれば、勤務態度も不安定で
扱いづらい女性社員であるが、突き放した事は一度もなく、
何かあれば都度対応している積りである。
ただ、頑張ってキャリアアップしたい、という姿勢は皆無で
言われた事を消化しようとするだけの人間に
彼是と指導するほどの余力がこちらには無いのである。
派遣社員が可愛くて手を掛けている積りも毛頭ないので心外だな、と
思ったら
部内に女性社員が増える度に彼女は各方面に
そういう風に「自分の方を向け」と承認欲求を振り回しているのだと
後から別の社員に聴いた。それが本当かどうかは知らないが、
「そういうのも可愛らしいじゃない」
と軽く流す同僚の意見も僕は聞き流せない。
社員の癖に職場に自分の承認欲求を垂れ流すなんて、
程度の低い奴だ、と思うだけなのに。と心の中で呟いた。
この女性社員を窘めたり、面罵すると
きっとハラスメント対象になるだろう。
そういう世の中になってしまった。


6月は250時間、7月は275時間労働となった。
8月はもう少し抑制できるだろうか。
どれだけ働いても冒頭の発達障害疑惑の社員が機能しないので
僕は働き足りないのである。
それも誰にも言わず、黙々とこなしている。
管理職は労基法の縛りが薄く、健康管理をしていれば
どうにか会社は困らないからである。
当局には改善を求めているが。
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