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2024年05月23日22:32

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借金考

 3か月ほど前の話になってしまいましたが、こんなニュース記事がありました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d191dc6ea6bef298a6d9f449e5c5433e69c61953?page=1
 一口に「国の借金」と言っても、具体的にそれは誰の誰に対する借金のことなのか、この点が長い間捉えきれなかった私にとって、(主として)日本政府の日本国民に対する借金とはっきりと言い切ってくれているこの記事は、その点では、大変いい記事だと思います。
 ただ、「日本銀行は円を発行することができ、最終的には『生損保等』などが保有する国債を日本銀行が円を発行して買い取り、結局は返済不要の借金にすることもできるため何も問題ありません」(1頁)としている点については、本当にそこまで言い切っていいの?と思わざるを得ません。
 もちろん、「返済不要の借金」であってくれたならどんなにいいことか、と私だって思います。できればそうあってほしいものです。
 でも、「『生損保等』などが保有する国債を日本銀行が円を発行して買い取り」ということは、その分だけ市中に出回るカネが増えるということではないのでしょうか? 1円や2円の話なら問題ないのでしょうが、1年間の国家予算の10倍にもなろうかというほどの巨額のカネが増えるとなると(今回発表された「国の借金」を一度に解決しようとするならそうなるはずです)、それだけで円という通貨の価値が下がるであろうことは素人の私でも何となく想像できます。もし、そうだとすれば、ハイパーインフレの危険性があり、「何も問題ありません」とは、とても言えないだろうと思うのですが。
 財務省を弁護したくはないのですが、おそらく、財務省が、「国の借金」等のネガティブな表現で矢鱈と増税を煽り続けているのも、このハイパーインフレを恐れているためではないかという気がします。
 安藤裕氏は税理士なのですから、そのくらいのことは分かるのではないかと思うのですが、なぜかハイパーインフレの危険性についてはまったく触れず、それどころか、なぜ財務省が増税を煽り続けるのかが分からないと不思議がっておられます。私にとっては氏のその態度の方がよっぽど不思議です。
 もっとも、「日本が財政破綻する可能性が0%であることは、財務省のホームページにも記されている」(2頁)とのことですが、これもどうかなという気がします。
 稀に国家が破産したというニュースに接することがありますが(確かギリシャとかアルゼンチンとかが財政的に破綻したというニュースにかつて接した記憶がある人もいると思います)、日本はこれらの国家と違うということなんでしょうか? そうだとすれば、どこがどう違うのか?
 この点については、財政的に破綻する国家の借金は外貨建てであるのに対し、日本の借金は自国通貨(円)建てであることがよく指摘されます。でも、借金が外貨建てであったら、どうして、自国通貨(円)建てである場合より破産しやすくなるのでしょうか? 
 それがもし、借金が自国通貨建てであれば外貨の保有不足を理由とする財政破綻は避けられるからだということだとすれば、確かに、その理由による財政破綻は避けられるとしても、それ以外の理由による財政破綻は借金が自国通貨建てであっても避けられないのではないかという疑問が生じます。
 実際、18世紀のフランスは下掲動画にみられるように、借金が自国通貨建てであったにもかかわらず、ミシシッピ・バブルの時には財政的に破綻したようです。
 なお、この2つの動画をアップされたオカモト氏は、その辺のチャラいあんちゃんみたいな口調で面白おかしく説明してくださっていますが、ものすごく分かりやすいので感心しました。こんな芸当は、おカネの仕組みや経済のことを本当に理解していなければとてもできることではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=YVn6aTDXH_g&t=172s

https://www.youtube.com/watch?v=8vReIrL075A&t=10s

 結局、(通貨に対する)信用(信頼)の問題なんですよね。
 信用があるうちは、どんなに借金しても大丈夫な反面、いったん信用が失われれば、たとえ借金が自国通貨建てであったとしても財政的に破綻してしまうことはあり得るわけです。  
 日本は今のところ世界一の債権国ということで、冒頭引用記事に示されているほどの膨大な借金があるにもかかわらず国際的信用はあるようです。でも、何がきっかけでいつ何時この信用が失われるかは分かったものではありません。それもあって、財務省は用心深く、借金の額を少しでも増やさないようにするべく、増税を煽っているのかもしれません。
 まぁ、その気持ちは分からなくはないですが、何ともみみっちくてかっこ悪い話です。既に1000兆円を超える膨大な借金があるというのに、これを少々の増税で弁済してもタカが知れてるでしょうに。
 それよりは、ここまできたら(少々無責任かもしれませんが)、カエサルを見習って、信用は維持しつつ、借金しまくってほしいと思います。カエサルも生前、膨大な借金を抱えていたのですが、あまりにも膨大すぎてカエサルが破産しようものなら、いくらカエサルに対する債権を持っていても債権証書は紙切れ同然になってしまうので、それを恐れた債権者たちは自ら進んでカエサルにカネを貸し、その保証人にもなったということです。カエサルが破産しないことがみんなの利益になっていたわけです。なんともカッコいい借金です。
 カエサルについてはあおぞら銀行のお勧めのページがあります(これも非常に面白い)→https://www.aozorabank.co.jp/bank/story/finance/money-talks-1.html(ここでも、信用の大切さということは強調されてますね。そして、文末の「金を貸してくれるということは、社会や人々が価値を認めてくれているという証拠である。借金とは、自己価値の証明に外ならないのである。」という言葉には傾聴すべきものがあると感じます)
 日本もこれを狙ってほしいのです。日本が破綻しないことが世界中の利益になる、そんな国になってほしいものなのですが、今の財務省のようなみみっちいことを述べてるうちは可能性は残念ながらかなり低そうです。
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