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2024年05月12日07:25

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スメタナとポルカ

 過日、マイミクいずみさんのつぶやきでスメタナという発酵乳製品があることを知りました。しばしば白いクリームがかけられているようなボルシチなどを目にすることがありますが、あの白いのがスメタナです(サワークリームが代用されていることもありますが)。

 また、マイミクジェインさんは、3月の神奈川フィルハーモニー管弦楽団静岡公演でスメタナの有名な交響詩『わが祖国』全曲を聴いたという話を日記に書いておられました。

 おまけに、今年はベドルジハ・スメタナの生誕200年。

 というわけで、このところスメタナづいているようなので、ちょっとスメタナについて調べてみました。すると、やや厳めしい肖像画が遺っている(上掲写真)この作曲家があるジャンルの曲を意外に多く作曲していることが分かりました。
 そのジャンルというのはポルカです。

 ポルカについては、以前こちらの日記(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1956350904&owner_id=22841595)で触れたことがありますが、ポルカはワルツとともによくウィーン・フィルのニューイヤーコンサートなどで演奏されているので、シュトラウスファミリー等のオーストリアの作曲家の専売特許であるかのような思い込みが私の中にありました。
 なので、チェコ(当時はボヘミア)人であるスメタナが、優にCD1枚分ほどもポルカを作曲していると知った時にはちょっとした驚きがありました。
 でも、それもそのはずで、ポルカは元々1830年頃にチェコのボヘミア地方に興った民族舞曲だったのです。ポルカという名称自体、チェコ語のpolska(ポーランド娘)に由来しています。だから、後年、チェコの「国民楽派」の代表となったほど、チェコを愛していた作曲家スメタナにとってはリアルタイムで作曲家本能を刺激された民族音楽だったと推測されます。
 実際、この人はポルカを一時的な興味で集中的に作曲したわけではなく、どうやら一生に渡って作曲し続けたようです。何しろ、この人の楽曲で完全な形で残っている作品のうち、最も初期のものもポルカですし、死の前年(1883)の作品にもポルカがあるのです。

Louisa's Polka(最初期の作品):https://www.youtube.com/watch?v=wSAfOqUvtUY
 この作品は、スメタナが少しの間、叔父と暮らしていたノヴェー・メェスト・ナト・メトゥイーで恋に落ちた従姉妹のルイサに対する想いを表現しているそうです。


 Bettina polka(死の前年の作品):https://www.youtube.com/watch?v=5bVi5LlUXqw
 翌年には認知症で世を去ったスメタナは、この作品を作曲した頃には聴力を完全に失い、正気を保つのも困難になっていたそうです。


 ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートなどと言いながら、いきなりピアノのポルカが出てきて、びっくりさせてしまったかもしれませんが、これには、スメタナがリストの正式な弟子であり、生前はむしろピアニストとしても活躍していたことが大きかったかもしれません。

 もちろん、管弦楽作品としてのポルカもあり、中でも、オペラ『売られた花嫁』第一幕のフィナーレに出てくるポルカは、スメタナのポルカとしては最も知られたものといえるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=_18RBnfoE74


 その他、スメタナはこれらのポルカも遺しています。
Venkovanka:https://www.youtube.com/watch?v=wbNgB4_xTPI

Memory of Plzeň:https://www.youtube.com/watch?v=OwJwAYme9AY

Našim děvám (polka):https://www.youtube.com/watch?v=Q3ztiT5c-xw

Polka Es dur:https://www.youtube.com/watch?v=iURGLEbQP8g

Jiřinková polka:https://www.youtube.com/watch?v=-yGyg8K73D4

Trois Polkas Poétiques, Op. 8:https://www.youtube.com/watch?v=f26_T8NRuCs

Souvenir de Bohême en Forme de Polkas, Op. 12:https://www.youtube.com/watch?v=64znrPg8U7c

Czech Dances, Book 1:https://www.youtube.com/watch?v=euSTjq8hokI


 これらの素朴で愛らしく、どこか懐かしささえ感じさせるポルカは、とてもあの厳めしい顔をしたおじさんが作曲したものとは思えませんし、日本人には耳馴染みがないものがほとんどではないかと思います。
 ただ、これらのポルカがスメタナ、そしてチェコの人々に持っていた意味合いは、ポーランド起源のマズルカやポロネーズがショパン、そしてポーランドの人々に持っていた意味合いに近いものがあるように感じます。民族色の強いマズルカやポロネーズがポーランドの人々の心の琴線に触れることがあるのと同様に、ポルカはチェコの人々の心に刺さるものがあるに違いありません。
 国際的には、同じチェコの作曲家でもドヴォルザークの方が有名ですが、本国チェコの国内ではスメタナの方が高く評価されているのも、多分、そのためではないかと思われます。

 今日は、スメタナの140回目の命日です。


※ 管弦楽版もありました→https://www.youtube.com/watch?v=5tY5GI4Nhcw


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