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2024年05月02日06:46

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つらつらと読む

 岸見一郎著「幸福の条件 アドラーとギリシア哲学』を読んでいる。

 少し前に朝のおじいさん散歩や通勤中、読み上げ読書で読み終えているんだけどね。

 ちょっと気になって、読み返していると、目で読むとまたけっこう違って読めるんだよね。

 読み上げだから読み飛ばしていた、とは思わない。

 本というのは、本来何度も読むのが楽しいのだ。

 この本は、そういう面白さを味わえるものだと思う。

 岸見一郎氏というと、「嫌われる勇気」が有名なアドラー心理学をやっておられる方だ。もともとギリシア哲学も勉強されていたということで、本書では幅広くいろんな本や、自身のカウンセリング経験を踏まえて話を進めてくれる。

 Amazonレビューだったかに、いろんな本の切り貼りなんていって低く評価するものも見かけた気がするんだけど、見方によってはそういう本かもしれない。でも読んでみると、べつにそれが瑕であるとは思わないし、もともと本ってそういう側面があるものじゃないか、とは思うんだ。

 自分の考えだけでなく、こういう話があってね、と聞いたり読んだりしたうえでそこに自分なりに考えたことを載せていく。

 ひとつのテーマを掘り下げるのではなく、いろいろな著書にふれつつ、つらつらと考えるのが、今の気分にあっている気がした。

 印象に残った一節がある。

 中島義道という人の本にあった話らしいんだけどさ。

 なまりを気にしている小学生が、教室で音読させられ、笑われたという話。その後、その子は学校に来なくなったという。

 担任が心配して家庭訪問すると、その子は担任をなじったという。

「あのとき、先生までも笑った。絶対に許せないと思った。自殺しようと思った」。教師にとってはすべてが意外だった。ショックを受けた教師はその場で涙を流し、「許してくれ」と頭を下げた。」

 岸見氏の文を、もう少し引用する。

「この国では「どんなに傷ついたかわからないのか!」という声に皆が平伏してしまうという構図があるがこれはおかしい、と中島は指摘する。他人がどんなに傷ついたかは普通わからないのがあたりまえなのだから、言葉を尽くしてわからせるように努力すべきだが、このように叫ぶ人はその努力をしない、」

 カウンセラーでもある岸見氏は、わかってくれない、と学校や会社へ行くのを辞めても、自分がつらい思いをするだけで、傷つけてきた当の相手にとってみれば、痛くもかゆくもないという。

 自身のカウンセリング経験の中で、

「じゃあ、どうすればいいんですか?」
と問われたとき、

「その先生の家に、毎晩無言電話をかければいい。そうすれば、相手は苦しむから」

 そういわれて、相手の子はちょっと笑ったという。

 少し前に『傷つきやすいアメリカの大学生たち』という本を読んだ。

 傷ついたこと、被害者のポジションに立つことが最強という見方は、日本にかぎらず、わりと根強いのだろう。時代性もあるのかな。

 でもそれって、自分がつらい思いをしているだけで、相手にとっては痛くもかゆくもないんだよね。

 傷つけられたうえに、自分でさらに傷を広げているのはあまりいい時間の過ごし方とは思えない。

 人生は短いんだからさ。

 復讐しろというのは冗談半分(本気もなくはないだろうけど)としても自分の時間を大切にする使い方をしたいものだね。
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