山本弘さんの思い出

　ショック、であると同時にやるせない気持ちになった。なにしろまだ６８歳なのだ。まだまだこれからいくらでも傑作をものにできるはずだったのに。
　山本さんとは「海外ドラマ」の話題を通しての知り合いで、山本さんが企画したイベントに参加させてもらったこともあるし、SF大会では（池田憲章さんが出席できないときに）対談相手として「TVファンタスティック」に出演してもらったりした。
　そういえば、池田憲章さんはカドカワ時代に山本弘さんの担当だった時期があるそうだ。「海外ドラマ」の師匠と同志を両方とも亡くしてしまった。

　「いつか『海外SFTVドラマ　ヒロインの系譜』をやるので、女ターザンのところを是非とも山本さんにお願いしたい」と言って快諾を得たのはもう１０年以上前だな。（『エレクトラウーマン＆ダイナガール』の話を興味持って聞いてくれたのは山本さんっくらいだったな）
　『去年はいい年になるだろう』に出演させてもらったことは一生の宝物です。

　ただ、2018年に脳梗塞を起こしてリハビリに励んでいる、という日記の記述があって、その後１年くらいで更新が途絶えてなんか「再梗塞を起こした」という噂が駆け巡って暗澹とした気持になった。再梗塞は怖いんだ。僕も昔軽い梗塞を起こしてからはかなり血圧や血小板凝集阻害薬に気を使っている。

　６８歳の若さで誤嚥性肺炎ということは介護度がだいぶ高い状況だったんだろうなあ、と思ってしまう。

　とにかく冥福を祈るしかない。願わくば『神は沈黙せず』の老人のように、生前は「幽霊など存在しない」と断言しながら残留思念として出現することを期待して。

SF作家・山本弘さん死去 代表作は「ラプラスの魔」「アイの物語」など
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