�雜�翔太郎：記者
寺澤伸洋：作家・講演家・Excel講師
連載
FIRE達成「5人衆」に聞け！
2024.3.29 11:30
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「FIRE」（金銭的に自立し、早期退職する）という言葉が知られるようになった今も、達成者の“生の声”はあまり世に出てこない。そこで連載『FIRE達成「5人衆」に聞け！』では、FIREを成し遂げた5人の男たちに、資産を築くための考え方を伝授してもらった。＃8のテーマは、ズバリ「お金持ちになる方法」。富裕層が若い頃からやっている“習慣”とは？（取材・執筆／ダイヤモンド編集部 �雜�翔太郎、監修・取材協力／作家 寺澤伸洋）
【FIRE達成5人衆】
・寺澤伸洋（@ohtsuma）：47歳。灘高校・東京大学卒。日系企業を経て「GAFA」日本法人の1社で部長職を経験後、2021年にFIRE達成。作家・講演家・Excel講師としても活動し、『君たちはFIRE後どう生きるか』（Amazon KDP）など著書多数。金融資産額は約1.2億円。
・ぱすたお（@himoneeeeet）：34歳。元銀行員。メーカーに転職後、21年にFIREを達成した最年少メンバー。現在は子育てに奮闘中。金融資産額は約8000万円。
・じんべい（@jinbeitesla）：42歳。教育関係の会社を経て、23年3月にFIRE達成。テスラ株に集中投資して大成功。太陽光発電システムも3基保有。金融資産額は約7000万円。
・けん（@ken1_biz）：42歳。東京都庁に長年勤めた後、23年3月にFIREを達成。界隈では異色の「元公務員のFIRE民」。約6500万円の金融資産に加えて、不動産を複数所有。
・よしお（@FP_4403）：47歳。博報堂出身。元マネーフォワード本部長。ベンチャー企業などでも要職を歴任後、23年7月にFIRE達成。金融資産額は約2億円。
■「将来お金持ちになれる若者」と
「なれない若者」の違いとは？
――FIREを達成した「5人衆」にお集まりいただきました。もうすぐ4月になり、新卒社員たちが会社に入ってきます。その中には、将来お金持ちになれる人もいれば、「なかなかお金が貯まらないな…」と嘆きながら会社員生活を送る人も出てくるでしょう。どうすれば前者の“勝ち組”になれるのでしょうか。
ぱすたお：私は30代でFIREを達成できたのですが、今思うと「資産を築くには何が必要なのか」を考え、そこから逆算して早めに投資を始めたのがよかったのかもしれません。
ただ、社会に出たばかりの人にとって、投資は難しく感じられることでしょう。特に今のような株高のタイミングでは、お金を持っている中高年層ですら「下がるまで待った方がいいかな…」「これから始めるのは不利かな…」などと考え、投資に踏み切れない人が多くいます。資産形成はまだこれからの若年層が投資をためらったとしても、その心境は理解できます。
ですが、尻込みしていても仕方がありません。投資の勉強をしながら節約するなど、何かしらの行動に移してみるのがいいと思います。福利厚生の一環で、自社株を割安で買える制度を用意している会社も多いですし、まずはそれを使って「従業員持株会」に入ってみるのも最初の一歩としていいかもしれません。
――FIRE達成や資産形成を目指す人に向けて執筆・講演活動を行っている、“GAFA元部長”の寺澤さんはいかがでしょうか。「お金持ちになれる若者」と「なれない若者」には、どんな違いがありますか？
寺澤：ぱすたおさんのお話とも関連していますが、「お金持ちになれる若者」は、次の「三つの要素」を兼ね備えています。
■「お金持ちになれる人」が若い頃からやっている“習慣”
「お金持ちになる人」が
若い頃からやっている“習慣”とは？
寺澤：一つ目は「お金があれば選択肢が増える」と気付いていること。二つ目はハングリー精神が旺盛であること。三つ目は「どうしたらお金が貯まるのか？」を日々探求し、SNSやYouTubeなどを見て情報を集め、少しでもいいから行動に移していることです。
社会人になりたての頃は給料が高くないかもしれませんが、その中から月5000円でもいいので投資してみる。若い頃からその習慣がついていれば、年次を重ねるごとに毎月1万円、2万円、3万円…と増やすことへの抵抗感も薄くなり、資産形成の原資を拡充できます。
一方で、「いつかやろう」と先延ばしにして、若手時代から月5000円や1万円の投資すらできない人は、結局は社会人経験を重ねても投資に踏み切れない印象があります。
じんべい：私も色々な年代のFIRE達成者と接する中で気付いたのですが、資産形成に成功している人は、学生時代から投資や副業に取り組んできた人が多いです。この世の中には、「学生時代に投資の本を読みながらインデックス投資をやって、数十万円もうかりました」といった成果を挙げている人が一定数います。
そうした人たちは社会人になった時点で、ある程度の資金と金融リテラシーを兼ね備えています。そのため、就職後は自分で稼いだ給料を投資に回すことで、一気に稼ぐことができます。いわば新卒1年目の時点で、資産形成に向けたスタートダッシュを切れているわけです。
寺澤：「会社の給料以外にもお金を稼ぐ方法がある」ということを、早くから知っている人と知らない人では、どうしても差がつきますよね。
ただスタートダッシュに出遅れた人も、家計を管理して余剰資金を捻出し、投資を始めてみると「毎月飲み会にこれだけ使っていたのか」「その分を少し減らして、株に回してもいいな」と気付けるはずです。
若い頃はついつい散財してしまいがちですが、「浪費していたお金を株式や投資信託に置き換えるだけで、お金が生まれる可能性がある」と体感できれば、将来の資産形成につながるのではないでしょうか。
■投資に正解はない！自分の「流儀」を見つけるべし
投資に正解はない！
自分の「流儀」を見つけるべし
――投資資金を振り向ける対象としては、個別株や投資信託があります。個別株の中にも、ぱすたおさんが先ほどおっしゃった自社株もあれば、海外の株もあります。さまざまな選択肢がある中で、若年層におすすめの投資先は何がありますか。
よしお：投資に絶対はないので「これが正解」だという明確な答えはありませんが、基本となる手法は「インデックス投資をコツコツと続けていくこと」だと考えています。
その上でさらなるリターンを目指すなら、個別株を購入するのもアリかなと思います。ただし、いきなり個別株にチャレンジすると、確かにボラティリティ（価格変動の度合い）が高いのでもうかる可能性もありますが、初心者には売りどきがすごく難しいのが現実です。
若くして“億り人”になりかけたものの、売るタイミングを迷っているうちに株価が下落して、結局あまり資産を築けなかった人もいます。一方で、じんべいさんのようにテスラ株の“爆騰”が資産形成につながった成功例もあります。若い人でも「実力」があればそれなりのリターンが見込めるのも確かです。
どんな投資法にも一長一短があるので、きちんと勉強をした上で、自分に合った「流儀」を見つけていってほしいと思います。
>>連載＃1『テスラ株の爆アゲで資産7000万円！生命保険まで解約して「一獲千金FIRE」を果たした男の今』はこちら（じんべいさん・けんさんのFIRE達成術を掲載）
じんべい：個別株投資のメリットは、成功した際のリターンが大きいことだけではありません。「数字に強くなれる」ことが最大の利点だと実感しています。
気になる企業があれば、決算書をチェックして業績や財務状況を分析したり、株価のチャートを見て先行きを予測してみたり。そうした経験を重ねる中で、「投資で勝つ感覚」が徐々に養われてくるのです。
その観点では、若い人は多少損をする覚悟で、勉強を兼ねて少額で個別株にチャレンジしてみるのも良いかもしれません。決算書を読めるようになると、投資だけでなく今の仕事にも少なからず生きてくるはずです。
一方で、「S＆P500（米株価指数のスタンダード・アンド・プアーズ500種指数）」をはじめとするインデックス投資は、長期的に保有していると安定した成果が出やすいのが魅力ですが、大きなリターンを得るまでには時間がかかります。
また、先述した「数字への強さ」や「投資で勝つ感覚」がインデックス投資で養われるかといえば、微妙なところかもしれません。
■「自社株購入」のリスクとリターン
今は割安な小型株の中に
「ダイヤの原石」が眠っている！
よしお：いろいろなメリット・デメリットを知った結果、個別株に挑戦するのが自分に合っていると思った人は、勉強をした上で買ってみればいい。S&P500や「オルカン」（投資信託の「eMAXIS Slim 全世界株式」）をコツコツ買い続けたいという人は、根気強く買えばいい。
勤務先が大きく成長すると思っているなら、リスクを承知の上で自社株に投資する方法もある。投資を始めると決めたならば、信じる道を行けばいいと思うんですよ。
――投資の基礎を学んで「自分の流儀はコレだ！」と決めた後、それ以外の投資方法に手を広げて、リスクを分散させる際の「割合」も気になるところです。
じんべい：あくまで一例ですが、個別株に抵抗がある“堅実派”の人は、投資資金の7〜8割をS&P500やオルカンに回していいと思います。その上で、残りの2〜3割は個別株を買ってみるのが、投資のノウハウを身に付ける上でベストな比率ではないでしょうか。
昨今は株高が続いていますが、全ての株が値上がりしていて買いづらいわけではありません。今は割安な小型株の中に、これから大きな利益を生む銘柄が眠っているはずです。将来有望な小型株を探し当てて、大化けするチャンスをうかがうのも投資の醍醐味ですね。
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