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2024年03月28日16:41

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83歳証券会社会長が語る「バブルとの決定的違い」

岩井コスモ証券・沖津会長インタビュー
緒方 欽一 梅垣 勇人 高橋 玲央 : 東洋経済 記者
2024/02/26 5:10

岩井コスモ証券・沖津会長
インタビュー中に日経平均が高値を更新。沖津会長はいても立ってもいられず、記者とともに顧客の売買注文を受けるコールセンターの様子を見に行った。後ろには詰めかけた報道陣が多数
日経平均株価が史上最高値を更新した瞬間、小さなくす玉を割って歓声を上げる証券会社の従業員たち――。そんな映像をニュースなどで目にした人もいるのではないか。
その現場の1つとなったのが、中堅証券会社の岩井コスモ証券だ。高値を更新した2月22日午前。そのとき東洋経済は沖津嘉昭・会長CEO(83)に取材していた。

企業が進化してきている
──日経平均が1989年のバブル時につけた3万8915円を超えました。

当時、営業の現場の第一線にいた人間としては感慨深いね。日本経済が潰れるようなことがない限り、更新する日はいずれ来ると思っていた。ただ、2009年に7054円の最安値をつけたころは、「3万8915円なんて生きているうちはもうないだろう」とも思った。

バブル崩壊後の兜町で、「あの華やかさは何年後にくるんですかね」と証券投資をしている人に話を振った記憶がある。「2度とないですよ、あんなのは」とやけっぱちで言われた。

──ここまで上昇した理由をどうみていますか。

企業業績が好調なうえに、企業が進化してきている。日立製作所の株価が今いくらかご存じ?

──1万2000円くらいですね。

普通の人は500円とか言うんですよ。恥をさらすようだけれど、しばらく前まで私も知らなかった。昨年の今頃だと7000円くらいかな。800円くらいかと思っていた。

日立は現在、再生可能エネルギーの市場拡大を背景に送配電システムを海外で提供し、大きな利益を上げている。個人の方だとエアコンや冷蔵庫をイメージする人も少なくないだろうが、事業が進化している。1株当たり利益(2024年3月期予想は570円)をみても、地に足のついた株価だといえる。

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日経平均を押し上げたのは 半導体関連銘柄が中心。半導体は社会を発展させるだけでなく、日本経済を大変革させていく原動力になる。日経平均の上昇は、今後の日本経済の発展を予期させるようにもみえて心強い。

テレビなどは「高揚感がない、 何も変わっていない」とよく報じているが、株価の上昇が経済発展に結び付いて、社会を活気づけていくまでにはタイムラグがある。 時間の経過が必要だ。

半導体株の盛り上がりは実体がある
──バブルのときは、東京湾岸に土地を持つ企業が「ウォーターフロント銘柄」と持ち上げられ、今はAI(人工知能)向け半導体。テーマ先行の上昇になってはいませんか。

ハドソン川が隅田川で、イーストリバーやマンハッタンが、石川島播磨重工業(現IHI)の造船所があった豊洲辺りなどと、アメリカ・ニューヨークのウォーターフロントの再開発に見立てていましたね。

バブル時は、土地の含み益を担保に銀行がどんどん融資していた。そのお金が土地の購入に回って地価が上昇、その土地を担保にまたお金を借りるというサイクルが生まれた。その過程で膨れ上がったお金の一部が株式市場に流れ込んだ。つまり、実体を伴っていなかった。

1988年当時の東証
1988年当時の東証。証券マンの手サインで売買注文を伝達する「場立ち」が行われていたこともあって高揚感があった(撮影:吉野純治)
それに対して、半導体は実体を伴った話。今現在においても半導体は多く使われている。さらに遠い将来かもしれないが、いずれ完全自動運転の車が行き交うような社会が訪れる。そういう社会の基盤に組み込まれるのが半導体だ。

日経平均は、225ある組み入れ銘柄の中身によって株価が変わる。仮に半導体関連銘柄の組み入れ数が少なければ、こんなに早く日経平均が戻ってこなかったとの見方もできる。

一方で、日経平均が時代の趨勢を表す株価だとすると、時代が求めている銘柄で出来高が多い銘柄を組み込んでいくのは当然かなと。世情や経済を反映していると言える。


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──今回の高値更新も海外マネー主導と言われています。日本の証券会社として寂しさのようなものを感じませんか。

グローバル化した今日、それが普通だと受け止めている。お金の世界には国境がない。嗅覚が鋭いので、儲かるものへワーッと集まり、だめだと判断したらサーッと出ていく。

企業においても、日本の大手が海外資本の傘下になっても構わないと思っている。日本人がそこで働けて、きちんとした経営をしてもらえて発展していけるなら、それでいいというのが私の考えだ。

あの時代に戻ってはいけない
──証券界を取り巻く風景も、この34年で変わったのではないでしょうか。作為的に相場を形成していく「仕手筋」も跋扈(ばっこ)していました。

今、高揚感を感じないのは、そういう人たちがいなくなったこともあるのかもしれない。

バブル当時は仕手の旗振り役や仕手に群がる人たちがいて、お金が乱舞していた。仕手筋を証券外務員に雇ったり、仕手株を勧めたりする証券会社まであった。この辺(兜町)には証券担保金融、いわゆる街金(まちきん)の看板がいっぱい上がっていた。

岩井コスモ証券・沖津会長
沖津嘉昭(おきつ・よしあき)/1941年大阪府生まれ。1973年同志社大学大学院修了。1984年岩井証券(現岩井コスモホールディングス)入社、1990年取締役、1995年社長。岩井証券とコスモ証券の合併を機に岩井コスモ証券社長に2012年就任。2016年11月より岩井コスモホールディングスと岩井コスモ証券の会長CEO(撮影:梅谷秀司)
テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』が街金特集をやったときに取材のコーディネーターをしたことがありますよ。キャスターをやっていた頃の小池百合子・都知事が来た。

今は実体に基づいた、裏づけのある株価形成がなされている。郷愁はあるけれども、あのような時代に戻ってはいけない。仕手株はだまし合い。一部の人だけが儲けて、多くの人は高値づかみ。犠牲者がそうとういたはず。


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──バブル崩壊を機に、「株への投資は危ない」という意識が日本では根付いてしまったように思います。そのような個人の投資に対する意識は変化するのでしょうか。

証券業界の集まりの場で、「貯蓄から投資へ」ではなく、現実は「投資から貯蓄へ」お金が流れていると自嘲したこともあった。だが、意識は変わってきていると思う。今回の株価上昇の原因の1つにもなっている。

背景にあるのは新NISA(少額投資非課税制度)の開始といった政策の後押し。また東証がPBR(株価純資産倍率)の改善要請を出したことで、企業が配当や自社株買いなど、投資家を意識した努力をし始めた。

日経平均4万円は通過点
──アメリカを中心とした先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する、「オルカン」のような全世界株式インデックス投信が新NISAでも人気のようです。

投資効率の良さを考えると、アメリカ株のほうがいいのは事実。グーグルやアマゾンなどGAFAMのような銘柄がアメリカではどんどん出てくる。どうしても向こうで新しいテクノロジーが生まれるので。

──日経平均の今後をどうみていますか。

今年中ですか?辰年はアノマリー(経験則)がある。1976年以降の過去4回の辰年を振り返ると、うち3回は年末の大納会が高値で終わった。今年もこういう状況だと、尻上がりに上昇するのでは。

4万円を超えて4万2000円から4万3000円までいけばうれしい。ただ4万円は通過点。遠い将来は10万円もあるんじゃないか。もちろんすぐにではないが、経済などの実体を反映した形で株価は上昇していくと思う。


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