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2024年02月24日22:05

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インダス 南アジア基層世界を探る (環境人間学と地域) 長田 俊樹 京都大学学術出版会 2013年10月24日

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p.393
それによると(Hock 1999: 150-161)、『リグ・ヴェーダ』のテクストからkrsna《黒い》という単語を抜きだし、その意味を慎重に検討した結果、それが肌の色や民族の違いを示したものではなく、民衆の感覚に基づく相対的な表現に過ぎない点を指摘している。また、ursasipra-《牡牛の唇をもつ》やanas-《鼻のない》については、『リグ・ヴェーダ』において1か所だけに現れる表現であると指摘したのち、前者の複合語のうち、sipraは《唇》だけでなく、《あご》や《ほほ》、さらに《頭飾り》を意味するし、anas-はa-「否定接辞」+nas-《鼻》と解釈できるだけでなく、an-「否定接辞」+as-《口》、《口がない》、つまり《ことばがうまくしゃべれない》とも解釈でき、Geldner(1951)もMacDonnell and Keith(1912)も後者の解釈を支持していると述べる[3]。
…というのは、このdāsaに対応する語彙がイラン語派にもあり、明らかにインド・イラン語族と関連がある。言語学はすでに先住民説を駆逐し、同じ系統の言語を話す人たちであることを明らかにしているのだが、この「事実」は一向に事典の記述に反映されない。
p.398
ところが、バラエのなかには、もともとムンダ人だったのが賭博に手を出し無一文になった、あるいはバラエの女性と懇意になったなどの理由で、バラエになってしまうケースが結構多い。鍛冶や織物といった特別な技術をもった人々はムンダ人とは別のカーストを形成するが、決して固定化されているわけではなく、ムンダ人の中から鍛冶職人カーストになってしまう人もいる。…こうした、いわば職能集団のなかでの区別、言い換えると原初的カースト的状態がインダス文明社会の新しい理解の基本となっている。


ついに人口世界1位に! 「伝統」と「急成長」が交差するシン大国・インドはどこに向かう?
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古代から続く豊かな文化遺産と、急速に成長する経済が交差する国インド。2023年9月にはG20サミットの議長国も務め、名実共に世界経済・政治における大国となりつつある。

一方で、伝統的なカースト制度や社会的・経済的格差などの問題は依然として残っている。また、ナレンドラ・モディ首相はその外交手腕でインドを牽引(けんいん)する一方、ヒンドゥー教徒を優遇するその政策には国内外からの反発も見受けられる。

大国インドはこれからどこに向かうのか。『インドの正体 「未来の大国」の虚と実』の著者である伊藤融(とおる)氏に話を聞いた。

* * *

――インドを研究対象にしたきっかけはなんでしょうか?

伊藤 学生時代は民族紛争に関心があったので、国際関係学の研究者になりたかったんです。当時は90年代の始めで、南アジアではスリランカ内戦やカシミール紛争が勃発していた時期でした。これらに関して、日本ではほとんど研究が進んでいなかったので、「自分が研究しよう」と思ったのがきっかけです。

その後、バックパッカーとしてインド国内を旅してみて、文字もカレーも、地域によってまったく違うことに驚きました。このような異なる文化の人々がどうしてひとつの国としてまとまっているのか、強く関心を持ったんです。

――国際情勢を考える上で、今インドに注目すべきポイントとはなんでしょうか?

伊藤 インドは、表向きは第18回G20サミットの議長国として、「グローバル・サウス(新興国・途上国)の代表」を標榜(ひょうぼう)しています。

一方、本音としては、自分たちは昔から文化大国で、今後は経済大国になるのだ、という意識があるわけです。グローバル・サウスを代表しながらも、そこに属するカンボジアやネパールなどと同じ立場にあるとは思っていない。そういう"上から目線"のところがあるんです。

そして、実際にインドという国はどんどん拡大していきます。人口はすでに世界1位で、GDPも世界5位の経済大国です。GDPに関しては、2027年には日本とドイツを抜いて世界第3位になるといわれている。このようなパワーを持つ国が今後どのような方向に舵(かじ)を切るのかは、インド太平洋地域や世界情勢を大きく左右するでしょうね。

また、モディ政権下では少数派のムスリムに対して深刻な人権侵害が起こっています。これが国際的に露見した際、今後の世界情勢に非常に大きな影響を与えるのではないかと注目しています。

――G20サミットでモディ首相がインドを「バーラト」というヒンディー語の国名で表記させた件は、日本でも大きく報道されました。実際にインドではナショナリズムが高揚しているのでしょうか?

伊藤 確かに、インド国内では近年ナショナリズムが強まっています。ただ、先ほども述べたように、インドは、イギリスからの独立当初から「自分たちは大国だ」という意識を持っていました。例えば、冷戦時に特定の陣営に与(くみ)しなかったのも、自立した国であるという意識の表れともいえるでしょう。

そして現在、人口でも経済規模でも大国となってきました。そうした背景があって、「国際的な場でも、自分たちの国を自分たちの言葉で呼んでもいいのではないか」という意識が生まれているのでしょう。

とはいえ、本当に英国に押しつけられたものとして「インディア」という国名を拒絶して、代わりに「バーラト」という名称を使おうとしているのかはわかりません。モディ首相が「インドは名実共に大国である」という国民感情を味方につけるために行なった「政治的パフォーマンス」という側面も強いです。 

――インドでは2024年に総選挙がありますが、注目すべき点はありますか?

伊藤 注目すべきなのは、最大野党である国民会議派をはじめとする26党が連合している点ですね。その連合は「インド国家発展包括的連合(INDIA)」と名づけられました。そこで、インディアではなくバーラトと呼ぼうと言い出したのかもしれません。

現状、モディ首相率いる与党・インド人民党(BJP)が小選挙区で獲得している得票率は30%台。与党側としては簡単に票を集めるために、モディ氏の人気に頼っている部分はありますよね。モディ氏は今後も支持拡大に向けて、ヒンドゥーナショナリズムを高揚させるパフォーマンスを行なうことが考えられます。

――なぜ、モディ首相は人気があるのでしょうか?

伊藤 インドは連邦制なので、人々が日々生活に感じる不満は州政に向きます。その一方で、人々が国政に期待しているのは「"世界の大国インド"を実現する」こと。この点で、モディ首相は強い支持を受けているんです。

個人的に、ポピュリスト的な手腕と、国民への「大国としての自負」の訴えかけがうまいという意味で、日本における田中角栄と小泉純一郎を合わせたような存在だと思っています。

――インドではいまだにカーストによって結婚相手や就ける職業が制限されていると聞きますが、国の発展に伴って変わってきている面もあるのでしょうか?

伊藤 テクノロジーの発達に伴い、「カースト制度によって、自分たちの生活や生き方が規定されるのは仕方がない」という考え方からも解放され始めています。

今では農村の貧しい人々も、スマホやSNSを使って情報にアクセスし、発信できるようになってきています。そして自分たちの置かれた理不尽に対して、声を上げ始めています。

一方で、中流家庭出身にもかかわらず国政のトップに上り詰めたモディ首相のように、選挙ではカーストによらない叩き上げの新しいリーダーが出てくる例もあります。こういったことからも、インドの人々は民主主義のシステムに信頼を置いています。

カースト制や経済格差などの問題にあふれていても、インドの人々が政治制度や社会制度を破壊するような方向に動かないのは、「自分たちが一票を投じることで暮らしを変えられる」と信じているからですね。その意味でも、インドの人々がどのような判断をするのか、2024年の総選挙には注目しています。

●伊藤 融(いとう・とおる)
1969年生まれ、広島県出身。防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授。中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程後期単位取得退学、博士(学術)。在インド日本国大使館専門調査員、島根大学法文学部准教授などを経て2009年より防衛大学校に勤務し、21年より現職。『新興大国インドの行動原理―――独自リアリズム外交のゆくえ』(慶應義塾大学出版会)など、インドを中心とした国際関係、安全保障問題に関わる著作多数

■『インドの正体「未来の大国」の虚と実』
中公新書ラクレ 902円(税込)
「人口世界一」「IT大国」として注目され、「最大の民主主義国」とも呼ばれるインド。一方で、ロシアと西欧との間でふらつき、カーストなどの人権侵害もあり、経済格差も根深い。現首相であるモディ氏も、多数派のヒンドゥー教徒を優遇し、ナショナリズムを過熱させている。こうした複雑な状況のまま、2024年には国政を左右する総選挙が予定されている。あらゆる意味で無視できないインドという国について、専門家が丁寧に解説する。

取材・文/Mizuki Takeuchi


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