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2024年02月15日21:57

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ボードゲームで社会が変わる 遊戯するケアへ (河出新書) 與那覇潤, 小野卓也 河出書房新社 2023年11月20日

https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=5160461&id=5678099

p.48
「無限の可能性を追求する」と言ったとき、つい私たちは「数字を大きくする」といったデジタルなイメージで捉えがち。たとえば富を無限に増大させれば、やがて全員に配れるユートピアが生まれるというのは、かつて資本主義と共産主義とがともに掲げた約束でした。…
 いま求められているのは、資源も有限だし、ひとりの人が交際できる範囲も限られている。しかしその制約の中でも(中だからこそ)、お互いに「気持ちよくつきあいたいな」と気遣いあうことで、お金のように「使ったら減るもの」とは異なる形の――つまりある意味では「無限」のケアを生み出す実践でしょう。
p.109
同じ立場に立ったとしても他者は他者である。ただ、ひとたび異なる世界に置かれると、みずからの身体や感覚も確かに変化するのだという経験を通して、他者の世界と自身が生きている世界がどこかでつながっていることを実感する。文化人類学の営みとは、他者を容易に理解することはできないという他者の他者性の重さに打ちのめされつつ、自らの身体や五感を通じて、他者の言動と他者の生きている世界の了解の可能性を模索していく探求でもある。その人類学的探究のおもしろさと豊かさを、いまいる世界にとどまりつつ体験しうる方法として、私はいまゲームに夢中なのだ。
p.133
製薬企業にとっては、環境汚染が進み、その影響で多くの人が健康を害し、さまざまな病気を患うほど、薬が売れ、利益があがる。また、「熱帯材産業」という「課題カード」もある。地球温暖化が進めば進むほど、儲かる業界だ。
p.153
 実際にドイツでは、2010年代にシリア、22年以降はウクライナの難民を多く受け入れて、在来のドイツ人コミュニティとの間で摩擦も起きている。なので異なる人種・民族がボードゲームを囲むことで、少しでも軋轢を和らげようとする活動があるのですが(204ページ参照)、そのとき持参するのは必ずしも、教義のシリアスゲームではないんですよ。
 むしろ従来からドイツの家庭で、ごく普通に遊ばれてきた作品が多いそうです。第二次大戦での敗戦の影響から、プレイヤーどうしで「相手を攻撃せずに」楽しめるデザインを育ててきた伝統が、そんな形でいま社会を支えているんですね。
p.159
上級者どうしが「高度に戦略的な判断」として行うプレイングと、初心者ゆえの「ボケてしまったプレイミス」とは、意外に見分けがつかないこともあると。
…世の中には思考や言動が「普通の人」とはかけ離れた、俗にいう「面倒くさい人」もいるわけですが、でもそうしたノーマルでない人が混じってくれることで、かえって面白くなるゲームもあるよと。そこに「能力の格差」をも包摂し得る、本当の意味での多様性のヒントがあると思うのです。
p.160
そうすると見えてきたのは、毎月の習慣としてボードゲームをプレイすると、どんな子どもでもゲームを渡された瞬間に「どうやって勝つのか」を考えるようになるんです。
p.161
一方、ダイバーシティ寄りの観点からは、それだけ色んな種類のゲームを試すと、どれがベストだという「正解」はないことが子どもたちにもわかってきます。
p.163
いわば、誰に対してもそのまま読み上げるだけでいい「究極の説明書」を作ってくれよと。それさえ読み上げたら、多様性に十分配慮したことになるので、後はもういいですみたいな。
p.164
そうしたアリバイ作り的な形での「ダイバーシティのマニュアル化」が進んでいます。
p.173
 私たちの社会では平成からずっと、選択の自由は「お前が選んだんだから、お前の責任だ」とする論理とワンセットになってしまい、選ぶごとにかえって不自由感を覚える状況が続いてきました。その反動から、令和に入って以降は「もう偉い人、賢い人が全部決めてくれ」「強い人の尻馬に乗って生きるのがいちばん楽。自分は無力で別にいい」といった、下品で矮小なパターナリズムが広がるばかりとなっています。
p.191
 むしろ息が長いのは何をプレイするかも、誰と遊ぶかも「入れ替わり」が自由な、雑多で・散漫で・偶然に開かれた共同性の方だった。
p.192
 平成期に流行った呼び名で言えば、新自由主義とナショナリズムだけれど、それらはどちらも「硬くこわばった共同性」を前提とする点で共通する。…
…能力はバラバラ、メンバーもたまたま居合わせた人でいい。希薄に見えてしぶとい共同性が、そこから持続することで、誰もが参加でき、そして楽しめる「ゲームの民主主義」が生まれてゆく。



社内政治系ボードゲーム「稟議王」の正統続編「会議室の狩人」5月13日に発売
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=159&from=diary&id=7398411

 ボードゲーム制作サークル「NBO Nagoya Buru-Orenji」が、社内政治系ボードゲーム「会議室の狩人〜終わらぬ会議を駆逐せよ〜」を開発。5月13日に開催される「ゲームマーケット2023春」で発売します。価格は3000円。


 今作は遊んで学べる社内政治シリーズの第2弾。第1弾「稟議王〜ハンコの時代は終わらない〜」の正統続編という位置づけで、前作を凌駕する戦略的なゲーム性とユーモアあふれるキャラクターたちが魅力。まさにサラリーマンボードゲーマー必見のボードゲームです。



■ 特徴1「社内政治の現実を楽しく学ぶことができる」
 ゲームの特徴は大きく分けて3つ。1つはゲームを通じて、会議における理不尽のやり過ごし方や社内政治の現実を楽しく学ぶことができること。「会議室の狩人」は、社内政治系ボードゲームの新たな可能性を追求した作品。前作の「稟議王」で培ったノウハウをいかし、堂々めぐりの議論を繰り返す会議室を舞台に、「すごろくバトル」が展開されていきます。


■ 特徴2「熾烈な駆け引きバトル」
 2つ目は、会議室の中で巻き起こる「会議室の狩人」と「善意の狼」の駆け引き。プレイヤーは最初に、「会議室の狩人」チームと「善意の狼」チームの2つに分かれます。その後、すごろくボード上で共通のコマを動かしながら駆け引きバトルがおこなわれます。


 会議を効率的に終わらせるために結論マスを目指す「会議室の狩人」チームと、とことん議論するために結論を先延ばしにすることも厭わない「善意の狼」チーム。どちらに勝利の女神が微笑むかは、プレイヤーの運と戦略次第です。


■ 特徴3「多種多様な後ろ盾カード」
 最後は、ユーモアあふれる多種多様な「後ろ盾カード」。今作には、会議室でおなじみの困ったキャラクターを描いた「後ろ盾カード」が数多く登場します。


 例えば、会議の風向きに応じて常に長いものに巻かれる「主流の追跡者(チェイサー・オブ・メインストリーマー)」や、あらゆるアイデアに対して常に逆張りをしかける「華麗な天邪鬼(グレート・カウンター)」。さらには議論をすぐに振り出しへ戻したがる「原理の執行人(ゼロベース・エクスキューター)」など、どこかで見たことのあるキャラクターたちが勢揃いしています。


 会議の状況に応じて、その時々に最適な「後ろ盾カード」を召喚。会議の主導権を握ることができるかどうかが、勝負の行方を大きく左右するでしょう。


 YouTube「Nagoya Buru-Orenjiチャンネル」では、今作の紹介動画も公開されているので参考にしてみるのも良いかもしれません。


(c)2023 NBO Nagoya Buru-Orenji
情報提供:NBO Nagoya Buru-Orenji


(佐藤圭亮)


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