2月20日　能登応援落語会チャリ亭　

　2月なのに今日は24度まで気温が上がるという予報が。朝はまだ肌寒かったのでフリースを来て家を出たが、高田馬場駅を降りたら暑いのなんの･･･会場へ向かう途中の川沿いにはまだ梅が咲いていたのだが。

　柳枝声掛けの能登半島地震復興支援落語会・チャリ亭は、らくごカフェからばばん場に会場を移して二日目。本当は夢丸と鯉八が出る三日目に行きたかったのだが、即完売になってしまったのでこちらへ。ばばん場は小痴楽が番頭で芸協中心のプログラム。
　チャリティのために急遽組まれた公演なので仕方ないとはいえ午前11時開演。開演直前に滑り込みで入場すると場内の圧倒的な女性客の多さに驚く。平日午前中なので当然だろと云われればそうなのだが、平日寄席の昼席は男性客多いのが普通だものね･･･もちろん男性客も最後列に並んではいたのだが。番頭役の小痴楽は冒頭に出てきてチャリティの主旨と中入りに行うオークションについて、ものすごくざっくりと説明。会場で案内係として立ち働いていたのが噂の一番弟子・いっち。

●信楽「腰痛」
　この三日間は全日人気真打ばかりの顔付けなのだが、今日この出番だけ二ツ目で顔付けしてもらえたということ、そして昨日の同じ出番が宮治だった･･･ということで、小痴楽アニさんへの感謝とプレッシャーがないまぜになっている様子。朝、遅刻しそうで走っていた男女が曲がり角で激突してお互いが入れ替わる。男の子は腰痛持ちで女の子の身体になっても腰が痛いのだが、男の子の身体になった女の子にも腰痛が伝播。その場に集まった人たちが全員ぎっくり腰になってしまい･･･という相変わらずのヘンな新作。途中「これはコント？」「いや、落語」というやり取りが入り、新作落語を「コント台本みたい」と云われること、相当気にしてるんだろうかと思う。先月の大崎独演会で演じた朝起きたら顔が楽聖になっていた「変身」もそうだったが、何の理由もない不条理ギャグ。そういうアプローチ全然ありなのだが、それを万人に納得させるまでの力量はまだ不足しているのかな。あと「ダンスのパートナーが決まる」は何か後半につながるのかと思ったけど？

●萬橘「寿限無」
　信楽の壊しっぷりを目の当たりにしたからか、どえらく破壊バージョンの「寿限無」。成長した寿限無が両親に名前の是非を問う設定、これ落語協会の若手でも聞いた覚えあり。「（名前の由来を）説明してくれよ！」と聞かれて、そのたびにいちいち寿限無の言いたてをした後、「（名前が長すぎて）何を云うか忘れた！」と責任放棄する両親が可笑しすぎる。

　中入りで小痴楽がオークションに出品される品物を紹介。信楽は前座時代にもらった歌丸の手ぬぐい。萬橘は二つ目時代からの「きつつき」キャラが入った半纏とバッグ。味千代は傘で回したくまモンぬいぐるみと中東で手に入れた貴重なハチミツ。遊雀は愛用のトートバッグふたつ。客は各々希望価格を書いて商品番号の箱に入れる。終演後に最高価格を書いた落札者が発表されるが、発案者である柳枝の気遣いで、落札価格は公表されないことになっている。

●味千代　太神楽
　太神楽が演じられるのはばばん場初だとのこと。確かに天井低いものね･･･。高座を降りて、時に膝をつきながら頑張って演じていた。出品したくまモンを傘で回したが、ちょっと客席と距離が近すぎて、くまモンが客席に飛んでしまった。その時受け止めた男性客が終演後の落札者発表でこのくまモンを落としていたから縁だね。

●遊雀「初天神」
　これもまた破壊バージョン。不敵な子供は金坊ではなくて「さわべゆうじろう」（小痴楽の本名）。父に団子を買わせるために、道行く人々に向かって大声で叫ぶ。ということは父親は亡き五代目痴楽？「良い子はここでおしまいです！」が久しぶりに聞けて良かった。

　終演後は落札者の発表と、出演者が募金箱を持ってお見送り。小痴楽によると「紙の方が軽いし、計算も楽だから（できれば札で）」とのこと。小痴楽は東西若手落語家の会をプロデュースしたり、なかなか頼りがいのある兄さんになってきた。

　萬橘が会場に来る途中道行く人たちが「日本語を話していなかった」と云っていたが、本当に高田馬場から北新宿にかけては外国人が多い。終演後、西武新宿駅の近くにあるカレー屋でお昼を食べたのだが、店に向かう途中のビルや店舗に掲げた大看板、韓流イケメン風男性のドアップ顔ばかりなのでなんじゃこりゃと思ったら、全部ホストクラブの広告なんだね！そういえば昔は百人町あたりの路地を夜歩いていると、外国人女性が暗がりに立っているのを見かけたものだった。いまは日本人女性でも･･･ということなのかな。
　何かいろいろ事情が変わりすぎて、正直認識も気持ちもついて行けない。暴力団組織が崩れて、もっとカジュアルに一般人から搾取しようとする流れがあるのか、男女が対等になって女性もイケメン男性に金を払う時代とは云っても、売掛金の返済方法について結局女性を買う男性がいる以上変わらないのか。自分もホストクラブやゲイバーにお供したことはあるが、いずれもお金のある人のオマケとしてついて行っただけ。こういう遊びはお金がつかえる人の楽しみなんだと思っていた。歌舞伎町が小奇麗になったように、昔は「楽しいけど怖い場所」「お金を取られる場所」だったはずが、すごくハードルが低くなっているんだろうね。
　新NISAだなんだと煽っている投資だって同じことで、自分の資産の範囲内でやるのはいいが、FXや信用口座を開設したら定期預金の利率を上げるとか、そういう誘導よくないよ･･･。