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2024年02月17日23:50

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【Black Women】ミュージカル映画『カラーパープル』

 
2月15日(木)、大和郡山で鑑賞。公開1週目&館のサービスデーなのに観客3人。泣


公式 https://wwws.warnerbros.co.jp/colorpurple/



主人公セリーと妹ネッティが、歌いながら仲良く戯れるシーンから幕が開ける。

◆Keep It Movin'  https://youtu.be/jpW6pa-XZ8Q

和訳付  https://youtu.be/9VXBilo6kxU


リトル・マーメイドを演じたハリー・ベイリーの出番は前半のみだが、存在感は抜群。
若き日のセリーは映画初出演のフィリシア・パール・エムパーシ。彼女も上手い。

 曲解説 https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/134506/2



続く教会の日曜礼拝のシーンでは、圧巻のゴスペルパフォーマンスが繰り広げられた。
後で舞台版のパフォーマンス↓を見たが、演出と音楽のスケールは段違い!

 ◆「Mysterious Ways」 https://youtu.be/iUzgGGPNdRs

ブラックゴスペルを少しでも知っている人なら、あのシーンの凄さが分かると思う。
音源でクワイヤの迫力を聴き比べてほしい。 https://youtu.be/oxAuyZ05ej0


また、このゴスペルシーンは『The Blues Brothers』の教会シーンを彷彿とさせた。

 ◆The Old Landmark  https://youtu.be/J0TEagjwEbQ



本作では、他にも名作ミュージカル映画のオマージュが散りばめられていた。


例えば、義理の息子ハーポが男達と沼地に家を建てる大工シーンは
『略奪された七人の花嫁』の「Barn Raising」を想起させた。

 ◆Barn Raising  https://youtu.be/Q1BrygowiSA&t=72


家を改装した酒場で展開する、セックスを表現した群舞は『ALL THAT JAZZ』。

 ◆AIR ROTICA  https://youtu.be/ZH4VjhMJQys&t=168


シュグの背景に、一瞬「黒枠で仕切った赤いスクリーンに黒い人影が浮かぶ」場面も。
枠は何段にも積んでいなかったが、明らかに『CHICAGO』のオマージュだ。

 ◆Cell Block Tango  https://youtu.be/JXBNFWNYekQ&t=402


そして、セリーとシュグがレズビアン関係に至る幻想シーンは、
アステアの代表作『Swing Time(有頂天時代)』名場面のオマージュだった。

 ◆The way you look tonight  https://youtu.be/hEahEsN-sRA


パッと見てこれほどオマージュに気づくのだから、実際はもっと多いかも。



ところで。
アステアの主要作品は「映画好きなら必修の基本教養」だなと、改めて感じた。

なぜなら、アステアの作品は、後世のさまざまな作品にオマージュされているから。

例えば、オスカー5部門受賞したフランス映画『The Artist』のクライマックスは、
『Swing Time』と『Broadway Melody』をめちゃ頑張ってオマージュしていた。

 ◆tip tap a due  https://youtu.be/i2nNmU5v8zM
 ◆Pick Yourself Up  https://youtu.be/06RlwN0nddQ
 ◆Begin the Beguine  https://youtu.be/eY2Dk1fpPPo


『The Shape Of Water』は『Follow The Fleet(艦隊を追って)』をオマージュ。

 ◆You'll Never Know  https://youtu.be/duqxu9BmZA8
 ◆Let's Face the Music and Dance  https://youtu.be/9UY1seXdnIc


『La La Land』は『The Band Wagon』をオマージュ。比べるとキツいが…。爆

 ◆A Lovely Night  https://youtu.be/w5SRH6Ac1LI
 ◆Dancin' In The Dark  https://youtu.be/3FoBdwjh__s




閑話休題。
『カラーパープル』の物語は本当に悲惨極まりない。あらゆる種類の暴力だらけ。
本作はミュージカルシーンの比重が大きかったから、何とか最後まで鑑賞できた。
前作は辛すぎた記憶がとても強く、もう一度観る気になれない。


あらすじをざっと記録。 使用曲は全31曲。シンガーは確実に100人以上いた。

舞台は20世紀初頭。優しい母に先立たれた10代半ばの姉妹、セリーとネッティ。
亡父のものだった万屋は、母と再婚した継父が(所有権もないのに)仕切っていた。
(姉妹は父親が継父だとは知らなかった)
大人しいセリーは奴隷の如く働かされた上、継父に犯され子を2人も産まされていた。
赤子らは生後すぐ継父に奪われ、行方知れず。(子のない牧師夫妻に売られていた)
優秀で美人のネッティだけは学校へ通うことを許されていた。
セリーは家事が得意で、母に教わった裁縫の腕も良かったが、不美人で気弱だった。
男から酷く扱われても黙って耐え続けているため、ますます邪険に扱われていた。

ある日、ネッティを見そめた3人の子持ち男ミスターが、嫁に欲しいとやってきた。
継父は「ネッティは賢いから学校へ行かせる。セリーは構わない。男並みに働くぞ」
と、わずかな物と交換でセリーをミスターに与えた。ミスターの家はゴミ屋敷。
「黒人で、女で、貧しく、醜いお前には、何の価値もない!」と男に罵倒された。

どやしつけられ、虐待されながら、黙々と働くセリー。そこへネッティが逃げてきた。
継父に犯されそうになったのだ。しかし、ミスターにも襲われて抵抗したら、彼女は
銃で追い出された。逃げきって牧師一家のベビーシッターとなったネッティはセリーに
手紙を書き続けたが、ミスターはセリーを支配するため手紙を隠して渡さなかった。



ミスターの息子ハーポが、父親の反対を押し切り、非常に気の強いソフィアと結婚した。
ミスターでさえ頭が上がらない強圧的な彼の父親にも、ソフィアは堂々と宣戦布告。

 I Come Here Out of Respect  https://youtu.be/vz4Uy8wVtA0


セリーはミスターの父親にこっそり痰を混ぜた水を出して溜飲を下げるのが精一杯だが、ソフィアは全く引かない。その強さが妬ましくて、セリーは嫁に手を焼くハーポに「殴れば良い」と卑怯な入知恵をした。それを知ったソフィアが怒鳴り込んできた。

女の自尊心をぶち上げる圧巻の「HELL NO」は、2度出てくる重要ナンバー。

◆Hell No https://youtu.be/Xtnm-D1n6ZI

和訳付  https://youtu.be/hYVyXsXHw3E


「まっぴら御免だ!」てな意味だろうか。思わずリフを覚えてしまう強烈さだった。

ソフィアを演じたダニエル・ブルックスはブロードウェイキャストで、とても力強い。
アカデミー助演女優賞にノミネートされたのも納得の実力と存在感だった。

結局、ソフィアはハーポを許さず子連れで実家へ帰り、ハーポは家を酒場に改装する。



人気ブルース歌手のシュグが街に帰ってきた。彼女は牧師の娘だったが勘当されていた。
(牧師の後妻?がシュグを排除していた) ミスターは元彼女のシュグを大歓迎する。
ミスターはシュグを女神扱い。シュグは、ミスターの本名も知らないセリーに驚く。
美味い朝食を出したのがきっかけで、シュグは優しいセリーを気に入り仲良くなる。

畑に咲く紫のコスモスを示し、「この美しさに目を留める心の余裕がないのでは」と
セリーに教えるシュグ。紫は聖なる色。高貴な色。癒しの色。そして自尊心の色だ。


シュグはハーポの酒場でセクシーに歌い、観客を大いに沸かせた。

◆Push Da Button https://youtu.be/k1JiSLkVrns 

和訳付 https://youtu.be/kpab9ySQ03c


「私、明日発つわ」と突然言うシュグに、自分も連れて行ってと懇願するセリー。
「また今度ね」とかわされ、さらにセリーの辛い日々は続いていった。

強く生きるシュグやソフィアに感化され、セリーはだんだん自我に目覚めていく。

ある日、よりを戻したハーポ一家が街で買い物中、白人市長の妻に目をつけられて
「子供が可愛い」「うちのメイドにならないか」としつこく絡まれた。
「嫌なこった!」と跳ねつけたソフィアは、それを聞き咎めた白人市長に殴られたが、
殴り返して市長を失神させた。白人の男達がソフィアを囲み、警察が彼女を逮捕した。
見せしめで長期の懲役刑を受けるソフィアを、セリーだけが毎週見舞い続けた。
苦しみのどん底にある sister を絶対見捨てない、セリーの強さと優しさだった。
やがて、刑期を終えたソフィアは白人市長のメイドとなる他なく、連れ去られた。



シュグが街に帰ってきた。再会を喜ぶセリー。
祝杯で深酒しハーポの店でミスターが酔い潰れた翌朝、シュグは郵便を受け取った。
ネッティからだった。シュグはセリーに手紙を渡し、2人で他の手紙も家探しした。
ネッティは牧師一家と共にアフリカに渡り、祖先である黒人の王族と会っていた。
そして、牧師の子供達は2人共セリーが産んだ子に間違いないとも書かれていた。

手紙を読まれたと知ったミスターは激怒したが、セリーは逆に家を出ると宣言。
「お前にはこれから不幸しか訪れない!」と呪いを吐いて、シュグと共に去った。

シュグと暮らして、セリーは初めて落ち着いた幸せを味わい、自尊心を育んだ。

◆Sister Song  https://youtu.be/JsCFHhWhkQY


(1985年版の Sister Song も発見 https://youtu.be/eK3URAH760w )
(ウーピーが若い! 歌は、2023年版の方が断然上手い)


セリーの誕生祝いをした日、継父(とセリーは知らなかった)の訃報が届いた。
葬儀へ行くと、継父の後妻が、弁護士から託された実父の遺言状を渡してくれた。
おかげでセリーは実家と店を相続。裁縫の腕を生かして、パンツの店を開業した。
店の経営は順調、苦難を完全に乗り越えたセリーは幸せだった。

「I'm beautiful. And I'm here ! 」と叫ぶまでに彼女は成長した。この歌は鳥肌。

◆ I’m Here https://youtu.be/EArLJcs6oAg (Full音源)




他方、ミスターは予言通り不幸になった。畑に害虫発生が続き、家業は傾いていた。
「内戦で難民となり、アメリカに帰国できない」と窮状を訴えるネッティの手紙を読み、罪滅ぼしに動く。(ちょっとご都合主義)

ガーデンパーティーの日、セリーの前にアフリカの民族衣装を着た一家が現れた。
「姉さん!」ネッティだった。紫の花の中で、約30年ぶりの再会を喜ぶ2人。

集った人々は大きな木の周りで手を繋ぎ、心を込めて美しいゴスペルを歌った。
厳しい困難に耐える黒人達には、生き抜くために「救いの歌」が必要なのだ。
この感覚は、黒人文化に馴染みがない日本人には、あまりよく分からないかも…。



年初に観たビヨンセのドキュメンタリーを思い出した。
「黒人の女であること」は、現代アメリカでも相変わらず「困難」なのだ。
たとえ若く、美しく、才能があったとしても。

 【再生】映画『Renaissance: A Film by Beyonce』 2024年01月25日
  https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986835639&owner_id=1833905


女たちは誰も、自分の尊厳を信じ、環境に負けず己を貫いておれば強く美しい。
お互いを妬み羨み足を引っ張り合うのでなく、助け合い、高め合っていこう。
女たちの連帯(sisterhood)に胸を熱くした作品でした。



https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1833905&id=5670797



ブロードウェイ版の映画化だけあって、歌とダンスの出来栄えが素晴らしかった!
ゴスペル、ブルース、ソウルなど、ブラックミュージック愛好者は必見の作品。

エンドロールを眺め、ダンサーとシンガーのリストが膨大なのに驚いた。特にシンガーの人数がものすごく多かった! 主要キャストも日本では名を知られていない人が大半だが、とても上手い実力派を揃えていたのには感心した。
ミュージカルナンバーは映画ならではの趣向なのか?名作オマージュ満載で、愛好家ならニンマリすること請け合い。

私は1985年版も観たが、「とてつもなく悲惨な鬱映画」としか記憶になかった。人種差別も下には下があること、「黒人で、女で、賢くor強くなく、不細工な女」は最底辺なのだと強い衝撃を受けたことだけが印象に残っていた。

その点、本作は「悲惨な物語」は変えてないものの、あらすじを端折りまくってストレートプレイ部分を極力減らし、ミュージカルシーン中心で話を運んでくれたお陰で、娯楽として楽しむことができた。
また、「虐げられた主人公の成長物語」「女達が助け合う物語」を全面に打ち出しており、全体的にはポジティブな印象を持てた。エンドロールを彩ったキルト作品も非常に美しかった。終映後に明るい気分で席を立てるのは、大事なことだと思う。

残念なのは、客入りが非常に悪かったこと。監督もキャストも知名度が低いことや、「黒人差別の暗い話」なのが災いしたか。『イン・ザ・ハイツ』も名作だったのに興行不振だった。日本人は人種差別問題に関心が薄いのかな…。世界を知るためにも、もっとこの分野の作品を観てほしいと願う。




映画.com https://eiga.com/movie/96539/
Filmarks https://filmarks.com/movies/94721


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【その他の関連日記】

【解説】ミュージカル映画の文法   2021年
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ハーポ役の人がベニーを演じた『イン・ザ・ハイツ』 2021年
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★シスターフッドを描いた作品

『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜 』 2012年
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『ドリーム(Hidden Figures)』 2017年 主人公キャサリンはシュグ役の人!
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★アステアのオマージュが出てくる作品

『アーティスト』  2012年
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1839335350&owner_id=1833905

『ラ・ラ・ランド』  2017年
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1958873745&owner_id=1833905

『シェイプ・オブ・ウォーター』  2018年
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1965535602&owner_id=1833905


 個人用メモ
 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986983514&owner_id=1833905


 
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