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2024年02月04日12:18

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『コット、はじまりの夏』感想

〜1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす寡黙な少女コットは、夏休みを親戚夫婦キンセラ家の緑豊かな農場で過ごすことに。はじめのうちは慣れない生活に戸惑うコットだったが、ショーンとアイリンの夫婦の愛情をたっぷりと受け、ひとつひとつの生活を丁寧に過ごす中で、これまで経験したことのなかった生きる喜びを実感していく〜
〜本作がデビュー作となるキャサリン・クリンチが主人公コットを圧倒的な透明感と存在感で繊細に演じ、IFTA賞(アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞)主演女優賞を史上最年少の12歳で受賞。アイルランドの作家クレア・キーガンの小説「Foster」を原作に、これまでドキュメンタリー作品を中心に子どもの視点や家族の絆を描いてきたコルム・バレードが長編劇映画初監督・脚本を手がけた〜<映画.comさんより>

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危険・警告かなり内容に触れていますので、未見の方はご注意下さい。

原題は『An Cailin Ciuin』=英題『The Quiet Girl』
アイルランド語でのアイルランド映画、ずっと楽しみにしていて、ようやくの観賞。

冒頭、コットは草に隠れている。見えないわけではない。
ちゃんと近くに行って、覗き込めば、気づけるように、隠れている。
誰か見つけて、私を見つけて。

2組の夫婦。
まずコットの両親。父親はギャンブルに夢中。所有していた大事な牛すらも賭け事で消えたようだ。
すでに大家族なのだが、母親が妊娠している。部屋は散らかっていて、汚い。
コットは学校にお弁当を持っていきたいのだが、母親は作ってくれない。
父親にどうしたらいいか尋ねると「その辺のパンでも持っていけ」
そういう家庭事情もあってか、コットは学校でも孤立している。どこにも居場所がない。
両親はいつの間にか、母親の出産まで、コットを母親のいとこのアイリンと夫のショーンのところに預けることに決めていた。

アイリンとショーン。
アイリンは最初から優しかった。あれこれ気遣ってくれて、コットの面倒をみてくれる。
コットを送ってきた父親が、持って来たコットの荷物を降ろさずに、そのまま帰ってしまう。
着替えがない・・・。
すると、アイリンはコットに「大きいかもしれないけど、まくり上げれば、なんとか着れるはず」と男性用の洋服を貸してくれる。
勘の良い人なら、ここで何かに気づくだろうが、私は、最初、それはショーンの服だと思ってしまった。
それにしては、肩幅が、そんなに広くないな。う〜む?
ようやく、確信したのは、コットに提供された部屋の壁紙がクローズアップされた時。
あぁあああ〜、そういうことか。

アイリンとショーンの間には、埋めることのできない哀しみの溝があった。
虚しさに支配されていて、どこかお互い、距離を置いている夫婦だった。

アイリンはコットに家事を手伝わせる。
ショーンにも「農場に連れて行って」と頼むが、ショーンはなかなか応じない。
ようやく連れて行った時、コットは、良かれと、床の掃除をするのだが、ショーンは「勝手なことをするんじゃない」と𠮟りつける。
これは、きっと、過去に何かあったんだな・・・。

※予告編
https://youtu.be/XBiKvjBb0BM

アイリンはコットの髪をとかしてくれたり、お風呂に入れてくれたり。コットは次第に心が開かれていく。
コットにどう接していいかわからなかったショーンも、次第に打ち解けていく。
・テーブルにそっとお菓子を置いていく
・ポストまで、何度も走るコット。ショーンは時間を計って「速いなぁ」と笑顔
・3人で町に出て、コットのために服を買うことにする
ショーン「これでチョコアイスでも食べておいで(とお金を渡す)」
コットかアイリン「多すぎるわ」
ショーン「甘やかせるために連れてきたんだ」
涙涙涙

このセリフの説得感たるや↓
コット「どうして牛に粉ミルクを飲ませて、人間は牛乳を飲んでいるの?牛に牛乳を飲ませて、人間が粉ミルクを飲むべきだわ」

やがて明かされる過去の出来事。
ラジオからは新学期学用品セールの宣伝放送。夏休みが終わる→学校が始まる。アイリンはラジオを消す(←ここ好き)
コットの母親は無事出産終了。両親からコットを戻すように手紙が届く。
コット「ここにいちゃダメ?」

元の家に戻ると、すぐさま、テーブルの汚れを拭くコット=何も変わっていない。
送ってくれたアイリンとショーンが家を後にする。コットの心は、猛烈に揺さぶられる。
そして、エンディングへ。
それまでの過程で、すでに繊細な心理描写がたくさん出ていた。コット、アイリン、ショーン。
それらが束となって、心の奥底から感情が一気に溢れてきて、爆発だぁあああ泣き顔
泣いた、泣いた、自然に泣けた。

コットを演じるキャサリン・クリンチが本当に素晴らしい。その透明感、存在感、演技力。
同じくアイルランド出身で、子役時代から注目されていたシアーシャ・ローナンに次いで、とんでもない女優さんになりそう。

あと、キネ旬Reviewに「『わたしの叔父さん』にも通じる〜」という一文があったが、めちゃ共感!
また、今作は、アイルランド映画では初めて、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされました。

静かな感動系をお好きな方には、激オススメ!是非、劇場で。4つ☆
5 10

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