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2024年01月31日19:04

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『哀れなるものたち』感想

〜不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく〜<映画.comさんより>

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なるべく何も知らないでご覧になった方がいいと思うので、これからご覧になる予定の方は、ご注意下さい。

最初の舞台は、ロンドン(原作ではグラスゴー?)。
ベラ(←後で名づけられた)は妊娠していたが(ほぼ臨月)命を絶ってしまう。
だが天才外科医ゴッドウィンによって、自分の胎児の脳を移植されて蘇生する。
つまり体は大人で、脳は赤ちゃん。

冒頭、ベラはピアノの前の椅子に座っているのだが、ピアノが何かすらわからない。
その後の食事風景も、まさに幼児。言葉もなかなか出ない。動きもどこかよちよちしている。
ゴッドウィンの屋敷だけが、ベラの世界。外には一歩も出たことがなかった。

ある日、ゴッドウィンを崇拝しているマックス・マッキャンドレスという医学生が研究助手として雇われる。
マックスは日々ベラを観察していくうちに「美しき痴人」のベラに次第に惹かれていく。
ベラは世界地図でマックスに異国の名前を教えてもらっていたが、突然、禁止されていた屋敷の屋根に上り、初めて外の世界を見る。
「世界を知りたい」

ベラをずっと手元に置いておきたいゴッドウィンは、マックスにベラと婚約することをすすめて、結婚契約書なるものを弁護士ダンカンに作らせる。
その奇妙な契約書の内容と、ベラの無垢さに、興味を覚えたダンカンは、ベラを大陸横断の旅に誘う。
世界を見たかったベラは、婚約はそのままに、ダンカンと冒険旅行に出発。

ロンドン→リスボン→豪華客船船→アレクサンドリア→パリ→ロンドン

ゴッドウィンの屋敷で、自慰行為で幸せを得られるとわかったベラは、この冒険の旅で、自らの体を解き放っていく。
今作、ほ〜んと性行為描写が多いです。
最初はダンカンと何度も何度も。パリではお金のために娼館で働き、そこで共に働いていた黒人女性とも関係を持つように。
振り返れば、ベラは性行為によって、自分を知り、相手を知り、社会を知り、視野を広げっていた一面もあったかと。

※予告編
https://youtu.be/nKZta2m76Sg

当初、モノクロだった映像が、ベラの成長(冒険)と共に色づいてゆく。

ゴッドウィンの見た目が、フランケンシュタインの如きなんですが、内容もまさに『フランケンシュタイン』。
死体を蘇生(創造)し、監禁して、自分の理想の人物を作り上げようとする。
ちなみにゴッドウィンは、外科医だった父親の人体実験に自分の指が使われるというとんでもない体験をしています。

ダンカンは無垢なベラが気に入っていたんですが、旅の行程で、ベラはどんどん変わっていきます。

とりわけ影響を与えたのは、客船での老婦人マーサ(ハンナ・シグラ)&若き黒人男性ハリーとの出会い。
ベラはマーサから哲学について教えてもらい&考え方に刺激を受け、自分も本を読み、知識を広めたいと思うようになります。
ベラが読んでいた本を取り上げ海に投げ捨てるダンカン。
すぐに自分の読んでいた本をベラに渡すマーサ。それすら海に投げるダンカン。
教養を得ようとする女。そんなものは女に必要ないと言い放つ男。

この船上シーンは、私の頭の中で、ハンナ・シグラ→ファスビンダー→白人老婦人と黒人男性→『不安は魂を食いつくす』と一気に繋がって、おぉおおおおおと。

ベラに「良識は君を壊してしまう」「(世界の)真実を見せてあげよう」とアレクサンドリアで貧困の実態を見せるハリー。
ベラはショックを受け、嘆き、悲しむ。

パリ。ベラはダンカンに別れを告げ、自立し始めます。

そして、ロンドンに戻って、ベラは本当は誰だったのかが、明かされる終盤。
ベラになる前から、彼女はすでに閉じ込められ、精神的に追い詰められていた。。。

今作は素晴らしい部分がありすぎて、何から褒めたらいいのか。
・まずは、壮観な美術。セットとミニチュアの両方が駆使されていたようです。
・そして驚きのカメラワーク。専門知識はないので、素人言葉で語ると・・・美しく歪んでいたり、覗き穴の雰囲気だったり、心地よき奥行だったり。
・謎めいた魅力的な音楽。不気味な時もあれば、キュートな音もあり、何のルールにも縛られていない。
・独創的な衣装。最初はしっぽみたいのがついていて面白かった。
・暗いんだけど重層カラフルな色使い。

キャストですが、エマは最高です。ただ、作品の内容的に・・・オスカーはリリーに行くかも?
ウィレム・デフォーはどこか憎めないゴッドウィンを好演。
どうしようもない男ダンカンを見事に演じたマーク・ラファロのオスカー助演男優賞ノミネートは嬉しい。
全身タトゥの娼館主に、キャスリン・ハンター!相変わらず、上手いこと。
短い出番ながら、マーガレット・クアリーも良かった。

個人的に一番好きだったのは、本能のまま自由に踊るベラとそれを’良識’で抑えようとするダンカンのダンスのシーン。
好きなようにはさせない。お前はオレが支配しているんだ。
とんでもないほど、面白かった!!!!!

字幕は安定の松浦美奈さん。
「美しき痴人(retard)」も上手いって思ったけど「熱烈ジャンプ」も良かった(←英語が聞こえなかったけど)

〜男性の束縛を振り払い、ありのままに生きるベラについてストーンは「(この役を演じることは)女性であること、勇敢で自由であることを解き放ち、受け入れることのように感じました。社会的には、“皆は私のことを好きになってくれるだろうか?”と考えがちですが、彼女はそんなことは考えません」と、ダンカンと同じ時間を過ごしていても、ベラがなにからも制約を受けない自由な存在であることを示した〜
https://moviewalker.jp/news/article/1176394/

教養&知性は武器となり、自立に繋がる。
ラストシーン、本を手にしているベラは、穏やかに輝いていた。やっと手に入れた新しい自分。
とにかく面白かった。五感のすべてを刺激されつつ、ベラの成長を見守る。
満点にしようとも思ったんだけど、フェリシティやメイドについて、少し気になることが残ってしまったので、4.8☆
今年のベストテン入り確実。オスカーも楽しみ。超必見作品!!!!!
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