「あの時の失敗があったからこそ、今の自分がいる」と口にする人もいるだろう。
ただ、換言すれば、「どうしてあの時の失敗が、私にとって必要だったのだろうか?」という答えが腹落ちしなければ、ずっと「あの時、こんな間違ったやり方をしたからダメだっただんだ、だから、それを挽回するには、それと違うやり方をするしかない」と、正直言って、ひたすら空回る状態が続くだろう。そして、その原動力とはつまり、過去の「トラウマ」が完治していないことから、放っておいても自然に発生するものなのである。
中学生や高校生など、やはり思春期は脆いものである。指導者なり、仲間なり先輩なり、自分にとって道しるべになるような人間がいなければ、そして、いつでも辛い事があったら帰ってきても良い、とする、母の如き安全地帯がなければ、その努力というのは、押並べて空回るのである。
そして私はというと、道しるべも、そして安全地帯も、決定的に欠けていたのであった。だから間違った方向に、話が、というか私自身が突き進まざるを得なくなってしまうのであった。
ここで、次のように考えてみる。
�＾汰潅和咾�あると、どうなるか。
私は「自分から対象を切り離す」という力が身に着くだろうと思われる。
「俺にとって、あなたは付き合うに値しない。だから、はい、さよなら」と切り捨てること。これはサイコパス性質ではなく、どちらかと言えば、「自分を守るために、持たざるを得ない」ものであった。
⓶道しるべがあると、どうなるか。
そりゃ、目的地まで最短距離で進めるだろう。目的地なんて大それたことを言っているが、少なくとも「俺にとって、魅力的で身を焦がして止まない存在」であるということが、大前提である。
そして思うに、俺の場合ではあるが、⓵が盤石でなければ、�△鮓�る目は養わないのである。少なくとも、母に感情のゴミ箱にされていた時、私は驚異的に⓶が終わっていた。というか、究極の話⓶なんて、好きなだけ俺が納得するまで選べばいいって話だが、⓵が終わっていると、もはや致命傷であるという他ないのであった。
そして、俺にとって致命傷レベルの奴らが存在した。クラブ顧問、一人っ子の男、そして被差別部落及び同和地区…
幸いなことに、というか当然ではあるが、職場は学校でないし、同和地区の奴らなど、関わることはないだろう。というか今は関りようがない。
そして、一人っ子の男であるが、結局「これはヤバイ」と思わせたら、下を向いて通り過ぎるか、ビビッて逃げるしか思いつかないだろう。少なくとも過去に、感謝やお礼を言われるどころか、「ワレ、ぶち殺したるわ！」などと電光石火で、比喩ではなくマジで暴力沙汰や傷害事件レベルの話に「したがる」ヤツに、関りたいなど思わないだろう。結局の所、力関係と言うのは人望も、そして当人の才覚や魅力も大いに関係しているのであり、周りが怒ると、ビビッて逃げるヤツの一体どこに勝ちの目があるというのか。こんなにヤバいことになる前に、ろくに想定もできず、偉そうに振舞っているのだろうか。だとしたら、コミュニケーションという意味では、致命的に阿呆である。社会に出る以前の話ならば、責任を曖昧にしても馴れ合いで許されているところが、社会に出た時、自分を守るために、例えば面子や矜持ではあるが、平気で一線を越える人間や、ルールの外側で生きる無法者がいることなど常識である。もっと言えば、例えば俺が人柄良く、誠実で他者にどれだけ優しかろうが、舐めた真似をしてこっちのせいにしてくる人間がいれば、俺は平気で「誠実な人間」である事を辞めるし、そして必ず当該のクズに責任を取らせる、ケジメをつけることは、当たり前のことであるし、この二つは何ら矛盾しない、別個の存在であろう。責任を取らせることができて初めて、他者への優しさである。対象からどれだけ憎悪されも嫌悪されても、もうそんなものは、俺の矜持の前ではゴミ同然である。それを踏まえた上での、他者への優しさなら、何ら問題はないのであった。
「あの時の失敗というのが、今後、どうやって自分を周囲から守っていくのか気づかせてくれた」とまで腹落ちできて初めて、他者の顔色をうかがうことなく、自分軸で生きていく事ができるのだろう。
一方で、「あんなもんが失敗じゃない。俺は悪くない。あいつが悪い」を続けていくのも良いだろう。だが、理想と現実の乖離が極限まで広がり、それが修復不能なものであると理解した時、その者は、他者に対して、以下の二つの行動を取るようになるのであった。即ち。
⓵他者へ媚びる。
⓶他者から逃げる。
多くの場合は⓵から⓶のフェーズへと移る。
もっとも、俺に媚びる必要なんてないよ。俺は、逃げたヤツを、責任から逃げたやつを、死ぬほど追い詰めるだけだった。絶対に。
他人が俺に対して、もはや好きなように解釈すれば良いだろう。
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