寝坊許される朝、7時台に目覚める。
しかし瞼はまだ闇を求め、閉じたまま。
秒針の音と冷気。
ベッドのマットレスが、
からだの重さと触れている感触。
ふんわりとした、生の感触。
そして、マットレスの直ぐ下には、
死がドカンと、底見えぬ深海となって黒く広がっている。
死の上で寝ている。
死の闇は、胎内の闇。
瞼閉じたまま、掛け布団の感触に縋る。
掛け布団の上には、生の日常が流れている。
その匂いが、何故かとても懐かしいものに感じる。
瞼を開く。鈍い光が眼球に入る。
スマホを手に取ると「東京1°」。
テーブルに積み上げられた、
CHILL OUT ZEROの空き缶群を眺める。
(散る OUT ZERO)
秒針が進むのを恐れながら、
洗面台へ向かった。
鏡の向こうに、
自分と関わり、消えて行った人々が持っていた、
メモリーが集積した様な自分が映っていた。
えらく疲弊したモニュメントであった。
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