mixiユーザー(id:32437106)
2023年12月21日23:38
310 view
戦時下のサッカー、ウクライナ代表2023年（2） 12月19日（月）復興チャリティーマッチ シャフタール・ドネツク 対 アビスパ福岡戦レポート 教科の好き・嫌いは算数がトップ
 |
 |
 |
厚生労働省は、人々の健康を維持するための睡眠時間について、成人は6時間以上、対して高齢者は8時間、小中高生は9時間以上との見解を示した。
株式会社NEXER（東京都豊島区）が運営する『日本トレンドリサーチ』は、『太宰府アカデミー』と共同で、全国の65歳未満の男女1000人を対象に子供時代を振り返ってもらった。約8割の人が「嫌いだった教科がある」と回答した。嫌いな教科、好きな教科はいずれも「算数」が最多だったことを明らかにした。
https:/
算数は確かに得意・不得意の意識を持ちやすい。小学生時代、学年が進むたびに新たに公式を覚える必要がある。一度躓くと、後々苦労する。時には、放課後の勉強において、学年を戻して復習しなければならない。苦手を克服するには、塾へ通うなど、周囲のサポートも大切である。先生から手ほどきを受けることにより、分かったときの喜びを味わえる。達成感を得られると、新たな問題に挑戦しやすい。子供時代に苦手意識を変えることにより、大人になってからも生かされる。デジタル化が進む時代において、日本の教育も転換点を迎えている。
＜戦時下のサッカー、ウクライナ代表 12月19日（月）復興チャリティーマッチ シャフタール・ドネツク 対 アビスパ福岡戦レポート＞
今回のテーマは、ウクライナのサッカーである。12月19日には、同国の強豪クラブであるシャフタール・ドネツクが、東京都国立競技場にて、アビスパ福岡との復興チャリティーマッチに挑んだ。年内の公式戦を終えたばかりの選手達は、疲労を感じることなく、同国から日本への避難民の前でも、ベストパフォーマンスを披露した。ウクライナのナショナルチームにおいては、若手の台頭により、将来に期待が持てる。戦時下でのサッカーの状況と共に、復興チャリティーマッチの試合レポートである。
以下戦時下のフットボールを扱った日記
アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノ・カラバフ地区に拠点を置いていたアゼルバイジャンのＦＫカラバフについて
��2022年4月3日付 紛争の最中のフットボール ナゴルノ・カラバフ紛争 アゼルバイジャンとアルメニアのサッカー事情 その他サッカー琉球代表
https:/
以下 2023年に更新した ロシア軍とウクライナ軍の戦争について
��2023年6月14日付 戦時下のサッカー ウクライナ代表の2023年（1）＜ウクライナ軍とロシア軍の戦い 2023年春以降 バフムトでの攻防 ダム洪水 サッカークラブのシャフタールの活躍と共に代表チームの目標値＞
https:/
��2023年10月12日付 浜崎あゆみとZARDの坂井泉水〜平成を駆け抜けた二人の歌姫（後編）平和へのメッセージ 最新ウクライナ情勢 SEASONS(浜崎あゆみ）とI'm in love(ZARD)の歌詞
https:/
戦時下の動物と日本の自然についてまとめた日記
��2023年3月24日付 戦時下の動物達（前編）、ウクライナの自然環境と動物園移送プロジェクト、日本の里山を代表して東京都八王子市長池公園 トモエガモ夫婦
https:/
��2023年3月27日付 戦時下の動物達（後編）ウクライナのキーウ動物園と桜が咲く平成タヌキ合戦ぽんぽこの舞台多摩丘陵の自然と開発計画
https:/
第1章 シャフタール・ドネツクを含め、ウクライナのサッカーの現状
サッカーチームの現状
ウクライナ国内では、東部と南部地域を中心に、戦争が繰り広げられる中、国内では最も人気のサッカーリーグは継続的に行われている。秋に始まり、春に終るリーグにおいて、2021−2022シーズンは、前期のみで打ち切りになった。優勝チームと共に個人表彰もせずに、終了した。続く2022−2023シーズンは、国内リーグを無観客にて開幕した。16チームが参加するトップのリーグは、2回総当り、計30試合を無事に消化した。
戦時下で2年目となる2023−2024シーズンも、前期を終えたところで冬季中断に入った。最上位のウクライナ・プレミアリーグにおいて、過去に最も成績を残しているチームは、シャフタール・ドネツクである。国内リーグ優勝14回、国内カップ（2020−2021シーズンまで）優勝13回を数える。1996−1997シーズン以降、リーグ戦においては、26年連続2位以内の成績に入っていた。（必：2021−2022シーズンは、前期のみ打ち切りにより、カウントなし）
写真 掲載元 2023年7月15日付 https:/
国際的には、チャンピオンズリーグの2部相当の2008−2009UEFA CUP(現在のUEFA ヨーロッパリーグ)を制している。
国内リーグと平行して、大陸内のトップチームが集う「UEFA CHAMPIONS LEAGUE」を戦う。ウクライナ・リーグから、優勝チームは、UEFA CHAMPIONS LEAGUEの32チームが参加する本戦へストレートインする。準優勝チームはプレーオフへ、３位チームは、２部相当のUEFA ヨーロッパリーグに参加する資格を与えられている。
シャフタール・ドネツクは、2022-2023シーズンの優勝チームとして、2023-2024シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの本戦から参加した。ホームゲームについては、戦時下により自国開催は認められていない。ドイツのハンブルクのスタジアムでホームゲームを主催した。
本戦は、ＦＣポルト（ポルトガル）、バルセロナ（スペイン）、アントワープ（ベルギー）と共にグループＨに入り、２回総当り戦を行った。11月7日に行われた第4節、ホーム主催ゲームにて、バルセロナを1対0で下したものの、最終成績は3勝3敗の勝ち点9で、グループ4チーム中3位の結果だった。グループ上位2チームまで与えられる、トーナメント方式のベスト16には進めず、大会を後にした。レギュレーションにより、本戦一次リーグの各組３位通過8チームは、2部相当のUEFAヨーロッパリーグへと回る。年明け以降、シャフタール・ドネツクの選手は、ＵＥＦＡヨーロッパリーグを戦う。
ウクライナ代表チームの方は、若手の活躍が著しい。2019年には、FIFA(国際サッカー連盟)が主催するU-20ワールドカップ・ポーランド大会にて、決勝戦で韓国を2対１で破り、大会初優勝を果たした。
写真＝2019年U-20ワールドカップで優勝したウクライナチーム 表彰式にて
掲載元 FIFA https:/
2023年には、翌年のパリ・オリンピックの予選を兼ねたUEFA U-21選手権 ジョージア・ルーマニア大会にて、16チームが参加する本戦へ勝ち上がった。同大会は、2年前の予選開始時の年齢から「21歳」と表記されている。従って本戦は23歳以下の大会となる。翌年に行われるパリ・オリンピックの対象年齢も23歳以下、五輪予選のUEFA U-21選手権の対象年齢とは1年ずれが生じる。つまり、2023年のUEFA U-21選手権において、大会に出場できる最年長の西暦2000年生まれの選手は、五輪本戦の出場資格がない。特別に本戦となるオリンピックのみ適応される年齢制限のない3人のオーバーエイジ枠に選ばれる必要がある。
UEFA U-21選手権の本戦で、ベスト4へ勝ち上がり、史上初のオリンピックの出場権を獲得した。
写真左＝大会準々決勝のフランス戦で勝利後の選手達 掲載元 Reddit https:/
写真右＝2023年11月8日 バルセロナ戦でのシカンの決勝ゴールシーン 版元：Getty Images
ヨーロッパ大陸から五輪枠を勝ち取ったのは、大会ベスト8の開催国のフランス、大会準優勝のスペイン、大会ベスト4のイスラエルとウクライナの4カ国である。優勝したイングランドは、規定ルールにより参加資格は与えられていない。オリンピックに英国として登録されている以上、イングランドチームでの参加は認めらないのである。
UEFA U-21選手権において、シャフタール・ドネツクから、西暦2002年生まれのスダコフと、西暦2001年生まれのシカンが、それぞれ大会でゴールを上げた。スダコフは、大会トップタイとなる3得点を上げて、若手の注目株として、欧州の名門クラブのスカウト陣の目にとまった。シカンと共に、Ａ代表にも抜擢された。
Ａ代表の方では、2023年3月から11月まで、翌年にドイツで行われるEURO2024の予選に望んだ。5カ国が一組になるグループＣに入り、ホーム＆アウェー方式で、計8試合戦った。結果は、1位イングランド（勝ち点20）、2位イタリア（勝ち点20）、3位ウクライナ（勝ち点20）、4位北マケドニア（勝ち点8）、5位マルタ（勝ち点０）、2位イタリアと3位ウクライナは、勝ち点が並んだものの、直接対決において１勝１分で勝ち越したイタリアに軍配が上がった。首位イングランドと２位イタリアが、本戦へストレートイン、３位ウクライナは、2024年3月開催のプレーオフに周り、本戦の出場権の獲得に挑む。
写真=UEFA EURO 2024 予選プレーオフの組み合わせ表。ウクライナはPassBに入る。☆印が入った方の勝者が、ファイナルのホーム開催権がある。
掲載元 Reddit https:/
ウクライナを代表するクラブであるシャフタール・ドネツクの選手達は、戦時下においても、安全面に気を配りながら、サッカーに打ち込んだ。2014年までの本拠地は、名前の通りドネツク州だった。同年3月にクリミア政変に伴い、ドネツク州においても影響が及んだ。ロシアからの援助を受けて、ウクライナからの分離主義者が、武装蜂起し、同年4月7日に一方的に独立宣言した。親ロ派とウクライナ人との対立が深まり、戦争状態が起こった。治安の悪化を懸念して、シャフタールはクラブチームごとより安全な西部のリヴィウへ移転した。2017年から2020年までハルキウに拠点を移したものの、現在はキーウに変わっている。
伝統的に、クラブチームの強化に当たって、プロ・サッカー選手の人口が最も多いブラジルから有望株を探し当てている。若いブラジル人選手を引き抜き、育てることにより、より資金力のあるクラブへ売り渡していた。
2022年2月24日に、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まると、運営にも大きな支障が及んだ。FIFAの特別ルールにより、戦争当地国のウクライナとロシアのクラブでプレーする選手に特別ルールを適応した。クラブとの契約条項に関わらず、2年間の期限を設けて、自由にレンタル移籍を認めたのである。シャフタールからも、多くのブラジル人有望株が、移籍を志願して、チームを離れた。侵攻後、助っ人として20代前半のブラジル人の若手を3名加えた。
2023−2024ウクライナ・プレミアリーグにおいて、現在クラブは戦時中の影響により、消化試合は15試合から17試合まで差がある。シャフタールは15試合戦い、勝ち点31の4位だった。上位3チームは、いずれも17試合行い、トップのクリバス・クリヴィ・リーは勝ち点34、その差1勝分に相当する3点差である。現在4位とはいえ、トップを狙える位置にある。紆余曲折の中でスタートした国内のリーグ戦、空襲警報がなれば、選手や報道陣は、直ちにスタジアム内のシェルターへ避難を余儀なくされた。現に2023年11月7日、SKドニプロ-1 対 FCオレクサンドリーヤの一戦は、空襲警報により、5時間に渡り中断する。試合は、ホームのドニプロが1対０で勝利を収めた。開催地ドニプロは、ロシア軍の攻撃のターゲットになり、空爆の被害にあった。選手達は、常に緊張感を持ちながらプレーし、SKドニプロー1は、2022−2023シーズンは、リーグ準優勝を勝ち取った。
12月15日に、シャフタールの選手達は、18日（月）に国立霞ヶ丘競技場でのアビスパ福岡とのチャリティーマッチに備えて、羽田空港に到着した。出迎えた日本在住ウクライナ避難民から「ようこそ！」、「ウクライナに栄光あれ！」の横断幕が掲げられ、暖かいもてなしを受けた。1989年生まれのキャプテンを努めるウクライナ代表のステパネンコと監督のプシッチ氏が、避難民から花束を受け取った。
選手達は、12月13日に、チャンピオンズリーグの1次リーグ最終節、ＦＣポルト（ポルトガル）戦にて、3対5で敗れ、ベスト16入りを逃した。疲労を隠すことなく、常にポジティブな気持ちで試合に望んでいるという。
羽田空港到着から翌17日（土）シャフタールの選手達は、ウクライナ避難民60人との交流イベントに参加した。選手達は、イベントに加わった避難民に、人数分のタオルやマフラーを手渡し、色紙へのサインにも応じた。来日メンバーは、監督とスタッフを含め２８人、19日（月）のチャリティーマッチ・アビスパ福岡戦において、チケットやグッズの売上から経費を差し引いた利益分全てを、ウクライナ復興資金に充てる。
写真 掲載元 山陽新聞 2023年12月18日（日）付け
https:/
第2章 試合レポート
必 写真 リンク無記載 私が撮影 メインスタンドＳ席にて
12月19日（月）午後7時から国立競技場にて、ウクライナ復興チャリティーマッチ、アビスパ福岡 対 シャフタール・ドネツク戦が行われた。アビスパ福岡は、2023年度のルヴァンカップ（Ｊリーグカップ）の王者、対してシャフタール・ドネツクは、毎年国内リーグ上位2位に入り、UEFAチャンピオンズリーグの出場暦を重ね、国際経験が豊富なチームである。試合前の6時30分には、両軍共それぞれピッチでウォームアップしていた。シャフタールの選手達は、軽いボール蹴りを行い、ダッシュを始める。選手達は、慣れない芝の感触を確かめた。
写真＝キャプテンのステパネンコ 写真右上＝スダコフ
午後6時45分には、一端ピッチから引き上げ、本番に備える。場内は、次々と観客が入ることにより、試合開始への期待感に溢れていた。
午後7時前、メインスタンド側から、両チームの選手達が、エスコートキッズを携えて、入場する。バックスタンドの観客の協力により、一面ウクライナ国旗の青と黄色の2色に染まった。
セレモニーは長めにとられ、両国の国歌斉唱から、在日ウクライナ大使、日本の上川外務大臣の挨拶が行われた。岸田文雄総理大臣から、ビデオ映像を通して、復興へのメッセージが寄せられていた。シャフタールの選手達は、寒い中でも、国旗をまといながら、じっと行方を見守っている。
午後7時20分前に、右エンドにシャフタール、左エンドにアビスパ福岡が入り、福岡ボールで試合が始まった。立ち上がりからややアビスパがボールを握る展開の中、シャフタールが均衡を破った。6分、右サイドから上がってきたジョージア代表の2001年産まれゴショレイシェヴィリのクロスを、ゴール前でやや左に流れながら、バックステップを踏んだシカンがヘッドで合わせた。ＧＫ塚田はほとんど動けず、鮮やかに右ネットを揺らした。1対０．シカンは、後ろに下がりながらも、態勢をくずすことなく、ヘディングシュートを打った。ボールはきれいな放物線を描きながら、ネットに吸い込まれた。2001年4月22日生まれの21歳の彼は、2019年のU-20ワールドカップ・ポーランド大会の優勝メンバーでもある。2021年には、Ａ代表にも選ばれた。
写真左側＝先制ゴールをあげたシカン 写真＝ステパネンコ
リズムが出てきたシャフタールは9分に、ミドルレンジからステパネンコが左足でシュートを打った。ライナー性のボールは、わずかにゴールの右に外れた。34歳のステパネンコは、同一クラブ300試合を達成したベテランである。有望な若手が次々と他クラブへと引き抜かれる中、ステパネンコは中盤のゲームメーカーとして長くチームを引っ張った。ボールポジェッションを高めるシャフタールは、続いて12分、ハーフウェー・ラインより後ろまで下がったスダコフが、センターサークル内のボブダレンコにパスを出す。ボブダレンコは相手のチャージを交わし、左側のステパネンコに繋ぐ。ステパネンコは体を反転しながら、左サイドを走るニューアートンにスルーパスを送った。ニューアートンは、エリア内に入るシカンに折り返す。シカンは、ピッチにやや足をとられ、右足でのシュートは勢いを失った。浮いたボールを、ＧＫ塚田がキャッチした。シカンは、軸足が安定せず、躓いたことにより、フィニッシュの精度を欠いた。追加点のチャンスを逃したとはいえ、流れるようなパスワークを披露した。
一点のビハンドを負った福岡は、前からプレッシャーをかけて、パスミスを誘う。33分、福岡は始めてコーナーキックを得た。左サイドからのコーナーキックからのヘディングシュートを、左に体を倒したＧＫリズニクが左手で弾いた。ゴール前に浮き上がったボールを、宮が左足でシュートした。体を起したリズニクの体に当たって、跳ね返った。宮はヘディングで押し込んだ。2度セーブしたリズニクの手はボールに届かず、ネットを揺らした。1対１．アビスパが同点に追いついた。宮は、相手のマークを掻い潜り、一度はシュートを阻まれながら、浮き球にしっかり反応した。
試合を振出にしたアビスパ福岡は36分、左サイドから亀川が後ろ斜めの中村にパスを送った。エリア内でパスを受けた中村は、後ろ斜めの金森を狙って折り返した。グラウダーのボールを、金森は腰を捻りながら、左足で合わせた。ＧＫリズニクは全く動けず、右サイドネットにボールが転がった。2対１．逆転に成功したアビスパ福岡は、サイドに基点を作ったことにより、慌てて戻るシャフタールの守備陣を完全に崩した。ゴールを上げた金森のシュートは、ミートしなかったとはいえ、キーパーの逆をついていた。
前半は、2対１で福岡がリードして追えた。シャフタールは、一人一人の足元の技術が高く、少ない人数ながらフィニッシュへ持ち込む。一方福岡側は、一点ビハインドを追いながら、セットプレーで打開を図り、形成を一気に変えた。
写真＝ＧＫリズニク
エンドが変わり、後半両チームメンバーを総入れ替えして望んだ。7分、右サイドからシュヴェドが、右足でボールを受けて、左足でシュートした。重心を右に倒したＧＫの指先を抜けていくボールは、ポストの内側に当たって、ネットを揺らした。2対２．シェヴィドは、トラップが正確で、正確なフィニッシュで、試合を振出にした。試合の方は、シャフタールが、ボールポジェッションを高めた。福岡は、引いて守りながら、プレッシャーをかけ、要所を押さえる。
写真＝福岡陣地での球の行方
シャフタールの右サイドに張るエギナルドに対しても、ブロックを築いた。シャフタールのセンターバックを努めるタンザニア代表の2002年産まれのミロシは、柔らかいボールタッチから、縦へパスを供給する。福岡もブロックを築き、セカンドボールをフォローした。
以下2枚の写真 ミロシのプレー
後半の残り時間、ゲームは動かず、復興チャリティーマッチは、2対２のドローで終えた。互いに怪我を恐れ、接触プレーを避けながらも、持ち味を発揮した。アビスパ福岡は、コンディションが整い、選手間の距離をつめて、セカンドボールをフォローした。一方、シャフタールは、一人一人のテクニックが高く、随所に見せ場を作った。前半は、チャンピオンズリーグ第6節のＦＣポルト（ポルトガル）戦のスタメンから９人を、後半は普段ベンチスタートの機会が多い選手を中心に起用した。試合終了後、互いの選手達は、握手を交わす。2022年までＪ1リーグの上位とは無縁な福岡の選手達は、国際試合の経験が乏しかった。この一試合を通して、国際基準を肌で知ることができた。シャフタールの選手達は、メインスタンド側中央に陣取るウクライナサポーターの前で、ボール投げを行った。現地ウクライナは、60歳未満の男性は出国を禁じられ、女性と子供を中心に、戦火を逃れるべく、他国へ避難する。日本は、ウクライナ人の境遇を知り、避難民の受け入れ態勢を整えた。
写真＝試合後のＳＳ席前での選手達 ピッチを後にするＧＫリズニク
紛争は開始から間もなく1年10ヶ月、選手、観客共、終戦を祈る気持ちは変わらない。シャフタールの選手達は、観客に手を振りながら場内を一周し、ダグアウトへ下がった。2024年には、国内リーグ戦の後期、国際的にはＵＥＦＡヨーロッパリーグを戦う。
12月20日（木）
シャフタール・ドネツク 対 アビスパ福岡の復興チャリティーマッチは、非公式戦とはいえ、スポーツ紙にでは、ゲーム内容は良かったと軒並み高評価をつけている。チャリティーマッチ開催に当たって、ウクライナのゼレンスキー大統領も自身のＳＮＳで感謝の意味を示した。
以下 ゼレンスキー大統領のＳＮＳの一文
詳細 東スポ WEB 2023年12月19日付 https:/
「日本で行われた特別なサッカーの試合では、ウクライナの再建を支援するために、何千人もの日本とウクライナのファンが一堂に会しました」と前置きし、試合の意義を語った。「ウクライナと日本のサッカークラブによるチャリティーマッチは、ロシアの侵略によって被害を受けたウクライナの再建を支援するための資金集めの一助になります」
「ウクライナと日本を隔てる距離は、何千キロもあります。しかし、その距離にもかかわらず、本日、異なる大陸から集まった選手と観客は、慈善のための誠実な願いの下に一つになりました。復興において独自の経験を持つ日本、岸田総理と日本政府、そして日本の国会や日本国民全体が、ウクライナに寄り添い、私たちの共通の大義を支えてくれていることに感謝しています」
以上
ロシア軍による侵攻が長引くたびに、双方死者数が増えている。ウクライナから他国への避難民の数も後をたたない。シャフタールの選手達は、戦時下でもサッカーが出来る喜びをかみ締めつつ、2024年も挑戦を続ける。
株式会社NEXER（東京都豊島区）が運営する『日本トレンドリサーチ』は、『太宰府アカデミー』と共同で、全国の65歳未満の男女1000人を対象に子供時代を振り返ってもらった。約8割の人が「嫌いだった教科がある」と回答した。嫌いな教科、好きな教科はいずれも「算数」が最多だったことを明らかにした。
https:/
算数は確かに得意・不得意の意識を持ちやすい。小学生時代、学年が進むたびに新たに公式を覚える必要がある。一度躓くと、後々苦労する。時には、放課後の勉強において、学年を戻して復習しなければならない。苦手を克服するには、塾へ通うなど、周囲のサポートも大切である。先生から手ほどきを受けることにより、分かったときの喜びを味わえる。達成感を得られると、新たな問題に挑戦しやすい。子供時代に苦手意識を変えることにより、大人になってからも生かされる。デジタル化が進む時代において、日本の教育も転換点を迎えている。
＜戦時下のサッカー、ウクライナ代表 12月19日（月）復興チャリティーマッチ シャフタール・ドネツク 対 アビスパ福岡戦レポート＞
今回のテーマは、ウクライナのサッカーである。12月19日には、同国の強豪クラブであるシャフタール・ドネツクが、東京都国立競技場にて、アビスパ福岡との復興チャリティーマッチに挑んだ。年内の公式戦を終えたばかりの選手達は、疲労を感じることなく、同国から日本への避難民の前でも、ベストパフォーマンスを披露した。ウクライナのナショナルチームにおいては、若手の台頭により、将来に期待が持てる。戦時下でのサッカーの状況と共に、復興チャリティーマッチの試合レポートである。
以下戦時下のフットボールを扱った日記
アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノ・カラバフ地区に拠点を置いていたアゼルバイジャンのＦＫカラバフについて
��2022年4月3日付 紛争の最中のフットボール ナゴルノ・カラバフ紛争 アゼルバイジャンとアルメニアのサッカー事情 その他サッカー琉球代表
https:/
以下 2023年に更新した ロシア軍とウクライナ軍の戦争について
��2023年6月14日付 戦時下のサッカー ウクライナ代表の2023年（1）＜ウクライナ軍とロシア軍の戦い 2023年春以降 バフムトでの攻防 ダム洪水 サッカークラブのシャフタールの活躍と共に代表チームの目標値＞
https:/
��2023年10月12日付 浜崎あゆみとZARDの坂井泉水〜平成を駆け抜けた二人の歌姫（後編）平和へのメッセージ 最新ウクライナ情勢 SEASONS(浜崎あゆみ）とI'm in love(ZARD)の歌詞
https:/
戦時下の動物と日本の自然についてまとめた日記
��2023年3月24日付 戦時下の動物達（前編）、ウクライナの自然環境と動物園移送プロジェクト、日本の里山を代表して東京都八王子市長池公園 トモエガモ夫婦
https:/
��2023年3月27日付 戦時下の動物達（後編）ウクライナのキーウ動物園と桜が咲く平成タヌキ合戦ぽんぽこの舞台多摩丘陵の自然と開発計画
https:/
第1章 シャフタール・ドネツクを含め、ウクライナのサッカーの現状
サッカーチームの現状
ウクライナ国内では、東部と南部地域を中心に、戦争が繰り広げられる中、国内では最も人気のサッカーリーグは継続的に行われている。秋に始まり、春に終るリーグにおいて、2021−2022シーズンは、前期のみで打ち切りになった。優勝チームと共に個人表彰もせずに、終了した。続く2022−2023シーズンは、国内リーグを無観客にて開幕した。16チームが参加するトップのリーグは、2回総当り、計30試合を無事に消化した。
戦時下で2年目となる2023−2024シーズンも、前期を終えたところで冬季中断に入った。最上位のウクライナ・プレミアリーグにおいて、過去に最も成績を残しているチームは、シャフタール・ドネツクである。国内リーグ優勝14回、国内カップ（2020−2021シーズンまで）優勝13回を数える。1996−1997シーズン以降、リーグ戦においては、26年連続2位以内の成績に入っていた。（必：2021−2022シーズンは、前期のみ打ち切りにより、カウントなし）
写真 掲載元 2023年7月15日付 https:/
国際的には、チャンピオンズリーグの2部相当の2008−2009UEFA CUP(現在のUEFA ヨーロッパリーグ)を制している。
国内リーグと平行して、大陸内のトップチームが集う「UEFA CHAMPIONS LEAGUE」を戦う。ウクライナ・リーグから、優勝チームは、UEFA CHAMPIONS LEAGUEの32チームが参加する本戦へストレートインする。準優勝チームはプレーオフへ、３位チームは、２部相当のUEFA ヨーロッパリーグに参加する資格を与えられている。
シャフタール・ドネツクは、2022-2023シーズンの優勝チームとして、2023-2024シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの本戦から参加した。ホームゲームについては、戦時下により自国開催は認められていない。ドイツのハンブルクのスタジアムでホームゲームを主催した。
本戦は、ＦＣポルト（ポルトガル）、バルセロナ（スペイン）、アントワープ（ベルギー）と共にグループＨに入り、２回総当り戦を行った。11月7日に行われた第4節、ホーム主催ゲームにて、バルセロナを1対0で下したものの、最終成績は3勝3敗の勝ち点9で、グループ4チーム中3位の結果だった。グループ上位2チームまで与えられる、トーナメント方式のベスト16には進めず、大会を後にした。レギュレーションにより、本戦一次リーグの各組３位通過8チームは、2部相当のUEFAヨーロッパリーグへと回る。年明け以降、シャフタール・ドネツクの選手は、ＵＥＦＡヨーロッパリーグを戦う。
ウクライナ代表チームの方は、若手の活躍が著しい。2019年には、FIFA(国際サッカー連盟)が主催するU-20ワールドカップ・ポーランド大会にて、決勝戦で韓国を2対１で破り、大会初優勝を果たした。
写真＝2019年U-20ワールドカップで優勝したウクライナチーム 表彰式にて
掲載元 FIFA https:/
2023年には、翌年のパリ・オリンピックの予選を兼ねたUEFA U-21選手権 ジョージア・ルーマニア大会にて、16チームが参加する本戦へ勝ち上がった。同大会は、2年前の予選開始時の年齢から「21歳」と表記されている。従って本戦は23歳以下の大会となる。翌年に行われるパリ・オリンピックの対象年齢も23歳以下、五輪予選のUEFA U-21選手権の対象年齢とは1年ずれが生じる。つまり、2023年のUEFA U-21選手権において、大会に出場できる最年長の西暦2000年生まれの選手は、五輪本戦の出場資格がない。特別に本戦となるオリンピックのみ適応される年齢制限のない3人のオーバーエイジ枠に選ばれる必要がある。
UEFA U-21選手権の本戦で、ベスト4へ勝ち上がり、史上初のオリンピックの出場権を獲得した。
写真左＝大会準々決勝のフランス戦で勝利後の選手達 掲載元 Reddit https:/
写真右＝2023年11月8日 バルセロナ戦でのシカンの決勝ゴールシーン 版元：Getty Images
ヨーロッパ大陸から五輪枠を勝ち取ったのは、大会ベスト8の開催国のフランス、大会準優勝のスペイン、大会ベスト4のイスラエルとウクライナの4カ国である。優勝したイングランドは、規定ルールにより参加資格は与えられていない。オリンピックに英国として登録されている以上、イングランドチームでの参加は認めらないのである。
UEFA U-21選手権において、シャフタール・ドネツクから、西暦2002年生まれのスダコフと、西暦2001年生まれのシカンが、それぞれ大会でゴールを上げた。スダコフは、大会トップタイとなる3得点を上げて、若手の注目株として、欧州の名門クラブのスカウト陣の目にとまった。シカンと共に、Ａ代表にも抜擢された。
Ａ代表の方では、2023年3月から11月まで、翌年にドイツで行われるEURO2024の予選に望んだ。5カ国が一組になるグループＣに入り、ホーム＆アウェー方式で、計8試合戦った。結果は、1位イングランド（勝ち点20）、2位イタリア（勝ち点20）、3位ウクライナ（勝ち点20）、4位北マケドニア（勝ち点8）、5位マルタ（勝ち点０）、2位イタリアと3位ウクライナは、勝ち点が並んだものの、直接対決において１勝１分で勝ち越したイタリアに軍配が上がった。首位イングランドと２位イタリアが、本戦へストレートイン、３位ウクライナは、2024年3月開催のプレーオフに周り、本戦の出場権の獲得に挑む。
写真=UEFA EURO 2024 予選プレーオフの組み合わせ表。ウクライナはPassBに入る。☆印が入った方の勝者が、ファイナルのホーム開催権がある。
掲載元 Reddit https:/
ウクライナを代表するクラブであるシャフタール・ドネツクの選手達は、戦時下においても、安全面に気を配りながら、サッカーに打ち込んだ。2014年までの本拠地は、名前の通りドネツク州だった。同年3月にクリミア政変に伴い、ドネツク州においても影響が及んだ。ロシアからの援助を受けて、ウクライナからの分離主義者が、武装蜂起し、同年4月7日に一方的に独立宣言した。親ロ派とウクライナ人との対立が深まり、戦争状態が起こった。治安の悪化を懸念して、シャフタールはクラブチームごとより安全な西部のリヴィウへ移転した。2017年から2020年までハルキウに拠点を移したものの、現在はキーウに変わっている。
伝統的に、クラブチームの強化に当たって、プロ・サッカー選手の人口が最も多いブラジルから有望株を探し当てている。若いブラジル人選手を引き抜き、育てることにより、より資金力のあるクラブへ売り渡していた。
2022年2月24日に、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まると、運営にも大きな支障が及んだ。FIFAの特別ルールにより、戦争当地国のウクライナとロシアのクラブでプレーする選手に特別ルールを適応した。クラブとの契約条項に関わらず、2年間の期限を設けて、自由にレンタル移籍を認めたのである。シャフタールからも、多くのブラジル人有望株が、移籍を志願して、チームを離れた。侵攻後、助っ人として20代前半のブラジル人の若手を3名加えた。
2023−2024ウクライナ・プレミアリーグにおいて、現在クラブは戦時中の影響により、消化試合は15試合から17試合まで差がある。シャフタールは15試合戦い、勝ち点31の4位だった。上位3チームは、いずれも17試合行い、トップのクリバス・クリヴィ・リーは勝ち点34、その差1勝分に相当する3点差である。現在4位とはいえ、トップを狙える位置にある。紆余曲折の中でスタートした国内のリーグ戦、空襲警報がなれば、選手や報道陣は、直ちにスタジアム内のシェルターへ避難を余儀なくされた。現に2023年11月7日、SKドニプロ-1 対 FCオレクサンドリーヤの一戦は、空襲警報により、5時間に渡り中断する。試合は、ホームのドニプロが1対０で勝利を収めた。開催地ドニプロは、ロシア軍の攻撃のターゲットになり、空爆の被害にあった。選手達は、常に緊張感を持ちながらプレーし、SKドニプロー1は、2022−2023シーズンは、リーグ準優勝を勝ち取った。
12月15日に、シャフタールの選手達は、18日（月）に国立霞ヶ丘競技場でのアビスパ福岡とのチャリティーマッチに備えて、羽田空港に到着した。出迎えた日本在住ウクライナ避難民から「ようこそ！」、「ウクライナに栄光あれ！」の横断幕が掲げられ、暖かいもてなしを受けた。1989年生まれのキャプテンを努めるウクライナ代表のステパネンコと監督のプシッチ氏が、避難民から花束を受け取った。
選手達は、12月13日に、チャンピオンズリーグの1次リーグ最終節、ＦＣポルト（ポルトガル）戦にて、3対5で敗れ、ベスト16入りを逃した。疲労を隠すことなく、常にポジティブな気持ちで試合に望んでいるという。
羽田空港到着から翌17日（土）シャフタールの選手達は、ウクライナ避難民60人との交流イベントに参加した。選手達は、イベントに加わった避難民に、人数分のタオルやマフラーを手渡し、色紙へのサインにも応じた。来日メンバーは、監督とスタッフを含め２８人、19日（月）のチャリティーマッチ・アビスパ福岡戦において、チケットやグッズの売上から経費を差し引いた利益分全てを、ウクライナ復興資金に充てる。
写真 掲載元 山陽新聞 2023年12月18日（日）付け
https:/
第2章 試合レポート
必 写真 リンク無記載 私が撮影 メインスタンドＳ席にて
12月19日（月）午後7時から国立競技場にて、ウクライナ復興チャリティーマッチ、アビスパ福岡 対 シャフタール・ドネツク戦が行われた。アビスパ福岡は、2023年度のルヴァンカップ（Ｊリーグカップ）の王者、対してシャフタール・ドネツクは、毎年国内リーグ上位2位に入り、UEFAチャンピオンズリーグの出場暦を重ね、国際経験が豊富なチームである。試合前の6時30分には、両軍共それぞれピッチでウォームアップしていた。シャフタールの選手達は、軽いボール蹴りを行い、ダッシュを始める。選手達は、慣れない芝の感触を確かめた。
写真＝キャプテンのステパネンコ 写真右上＝スダコフ
午後6時45分には、一端ピッチから引き上げ、本番に備える。場内は、次々と観客が入ることにより、試合開始への期待感に溢れていた。
午後7時前、メインスタンド側から、両チームの選手達が、エスコートキッズを携えて、入場する。バックスタンドの観客の協力により、一面ウクライナ国旗の青と黄色の2色に染まった。
セレモニーは長めにとられ、両国の国歌斉唱から、在日ウクライナ大使、日本の上川外務大臣の挨拶が行われた。岸田文雄総理大臣から、ビデオ映像を通して、復興へのメッセージが寄せられていた。シャフタールの選手達は、寒い中でも、国旗をまといながら、じっと行方を見守っている。
午後7時20分前に、右エンドにシャフタール、左エンドにアビスパ福岡が入り、福岡ボールで試合が始まった。立ち上がりからややアビスパがボールを握る展開の中、シャフタールが均衡を破った。6分、右サイドから上がってきたジョージア代表の2001年産まれゴショレイシェヴィリのクロスを、ゴール前でやや左に流れながら、バックステップを踏んだシカンがヘッドで合わせた。ＧＫ塚田はほとんど動けず、鮮やかに右ネットを揺らした。1対０．シカンは、後ろに下がりながらも、態勢をくずすことなく、ヘディングシュートを打った。ボールはきれいな放物線を描きながら、ネットに吸い込まれた。2001年4月22日生まれの21歳の彼は、2019年のU-20ワールドカップ・ポーランド大会の優勝メンバーでもある。2021年には、Ａ代表にも選ばれた。
写真左側＝先制ゴールをあげたシカン 写真＝ステパネンコ
リズムが出てきたシャフタールは9分に、ミドルレンジからステパネンコが左足でシュートを打った。ライナー性のボールは、わずかにゴールの右に外れた。34歳のステパネンコは、同一クラブ300試合を達成したベテランである。有望な若手が次々と他クラブへと引き抜かれる中、ステパネンコは中盤のゲームメーカーとして長くチームを引っ張った。ボールポジェッションを高めるシャフタールは、続いて12分、ハーフウェー・ラインより後ろまで下がったスダコフが、センターサークル内のボブダレンコにパスを出す。ボブダレンコは相手のチャージを交わし、左側のステパネンコに繋ぐ。ステパネンコは体を反転しながら、左サイドを走るニューアートンにスルーパスを送った。ニューアートンは、エリア内に入るシカンに折り返す。シカンは、ピッチにやや足をとられ、右足でのシュートは勢いを失った。浮いたボールを、ＧＫ塚田がキャッチした。シカンは、軸足が安定せず、躓いたことにより、フィニッシュの精度を欠いた。追加点のチャンスを逃したとはいえ、流れるようなパスワークを披露した。
一点のビハンドを負った福岡は、前からプレッシャーをかけて、パスミスを誘う。33分、福岡は始めてコーナーキックを得た。左サイドからのコーナーキックからのヘディングシュートを、左に体を倒したＧＫリズニクが左手で弾いた。ゴール前に浮き上がったボールを、宮が左足でシュートした。体を起したリズニクの体に当たって、跳ね返った。宮はヘディングで押し込んだ。2度セーブしたリズニクの手はボールに届かず、ネットを揺らした。1対１．アビスパが同点に追いついた。宮は、相手のマークを掻い潜り、一度はシュートを阻まれながら、浮き球にしっかり反応した。
試合を振出にしたアビスパ福岡は36分、左サイドから亀川が後ろ斜めの中村にパスを送った。エリア内でパスを受けた中村は、後ろ斜めの金森を狙って折り返した。グラウダーのボールを、金森は腰を捻りながら、左足で合わせた。ＧＫリズニクは全く動けず、右サイドネットにボールが転がった。2対１．逆転に成功したアビスパ福岡は、サイドに基点を作ったことにより、慌てて戻るシャフタールの守備陣を完全に崩した。ゴールを上げた金森のシュートは、ミートしなかったとはいえ、キーパーの逆をついていた。
前半は、2対１で福岡がリードして追えた。シャフタールは、一人一人の足元の技術が高く、少ない人数ながらフィニッシュへ持ち込む。一方福岡側は、一点ビハインドを追いながら、セットプレーで打開を図り、形成を一気に変えた。
写真＝ＧＫリズニク
エンドが変わり、後半両チームメンバーを総入れ替えして望んだ。7分、右サイドからシュヴェドが、右足でボールを受けて、左足でシュートした。重心を右に倒したＧＫの指先を抜けていくボールは、ポストの内側に当たって、ネットを揺らした。2対２．シェヴィドは、トラップが正確で、正確なフィニッシュで、試合を振出にした。試合の方は、シャフタールが、ボールポジェッションを高めた。福岡は、引いて守りながら、プレッシャーをかけ、要所を押さえる。
写真＝福岡陣地での球の行方
シャフタールの右サイドに張るエギナルドに対しても、ブロックを築いた。シャフタールのセンターバックを努めるタンザニア代表の2002年産まれのミロシは、柔らかいボールタッチから、縦へパスを供給する。福岡もブロックを築き、セカンドボールをフォローした。
以下2枚の写真 ミロシのプレー
後半の残り時間、ゲームは動かず、復興チャリティーマッチは、2対２のドローで終えた。互いに怪我を恐れ、接触プレーを避けながらも、持ち味を発揮した。アビスパ福岡は、コンディションが整い、選手間の距離をつめて、セカンドボールをフォローした。一方、シャフタールは、一人一人のテクニックが高く、随所に見せ場を作った。前半は、チャンピオンズリーグ第6節のＦＣポルト（ポルトガル）戦のスタメンから９人を、後半は普段ベンチスタートの機会が多い選手を中心に起用した。試合終了後、互いの選手達は、握手を交わす。2022年までＪ1リーグの上位とは無縁な福岡の選手達は、国際試合の経験が乏しかった。この一試合を通して、国際基準を肌で知ることができた。シャフタールの選手達は、メインスタンド側中央に陣取るウクライナサポーターの前で、ボール投げを行った。現地ウクライナは、60歳未満の男性は出国を禁じられ、女性と子供を中心に、戦火を逃れるべく、他国へ避難する。日本は、ウクライナ人の境遇を知り、避難民の受け入れ態勢を整えた。
写真＝試合後のＳＳ席前での選手達 ピッチを後にするＧＫリズニク
紛争は開始から間もなく1年10ヶ月、選手、観客共、終戦を祈る気持ちは変わらない。シャフタールの選手達は、観客に手を振りながら場内を一周し、ダグアウトへ下がった。2024年には、国内リーグ戦の後期、国際的にはＵＥＦＡヨーロッパリーグを戦う。
12月20日（木）
シャフタール・ドネツク 対 アビスパ福岡の復興チャリティーマッチは、非公式戦とはいえ、スポーツ紙にでは、ゲーム内容は良かったと軒並み高評価をつけている。チャリティーマッチ開催に当たって、ウクライナのゼレンスキー大統領も自身のＳＮＳで感謝の意味を示した。
以下 ゼレンスキー大統領のＳＮＳの一文
詳細 東スポ WEB 2023年12月19日付 https:/
「日本で行われた特別なサッカーの試合では、ウクライナの再建を支援するために、何千人もの日本とウクライナのファンが一堂に会しました」と前置きし、試合の意義を語った。「ウクライナと日本のサッカークラブによるチャリティーマッチは、ロシアの侵略によって被害を受けたウクライナの再建を支援するための資金集めの一助になります」
「ウクライナと日本を隔てる距離は、何千キロもあります。しかし、その距離にもかかわらず、本日、異なる大陸から集まった選手と観客は、慈善のための誠実な願いの下に一つになりました。復興において独自の経験を持つ日本、岸田総理と日本政府、そして日本の国会や日本国民全体が、ウクライナに寄り添い、私たちの共通の大義を支えてくれていることに感謝しています」
以上
ロシア軍による侵攻が長引くたびに、双方死者数が増えている。ウクライナから他国への避難民の数も後をたたない。シャフタールの選手達は、戦時下でもサッカーが出来る喜びをかみ締めつつ、2024年も挑戦を続ける。
8
7
最近の日記
- ZARDの坂井泉水が育った丹沢山麓秦野市を中…
2024年05月19日23:46
- 緊迫する中東情勢 4月20日から5月15日 停…
2024年05月16日13:59
- 中央アジアのウズベギスタンの歩み（ミルジ…
2024年05月05日21:15
- カタールの歴史 イスラム教受容から現在の…
2024年04月26日02:21
- 緊迫する中東情勢 3月から4月19日 イスラ…
2024年04月21日22:21
ログインしてコメントを確認・投稿する