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2023年10月25日10:58

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「定年後の星」コラムニストが明かす起業5ヵ条

早く成仏し「ギブファースト」で人脈構築を
田島 靖久 : 東洋経済 記者
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2023/10/25 5:00
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経済コラムニスト 大江英樹氏
大江英樹(おおえ・ひでき)/経済コラムニスト。1952年大阪府生まれ。野村証券を退職後、2012年にオフィス・リベルタスを設立。『定年前』(朝日新書)、『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』(光文社新書)など著書多数。
サラリーマン人生の終盤が見え始める50代。定年後は「リタイアしてゆっくり」なんて考えていては地獄まっしぐらだ。役職定年や、定年後再雇用で給料が激減してしまうからだ。週刊東洋経済10月28日号では「地獄の役職定年、定年後再雇用」を特集。定年後の給与や待遇といった現実、そして失敗しない55歳からの人生設計についてお伝えする。
週刊東洋経済 2023年10/28号(地獄の役職定年・定年後再雇用)[雑誌]
『週刊東洋経済 2023年10/28号(地獄の役職定年・定年後再雇用)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
まずは自己紹介から始めましょう。1974年に大学を卒業後、野村証券に入社しました。定年まで勤め上げて退職、半年後の2012年に「オフィス・リベルタス」という会社を立ち上げました。

リベルタスとは、ラテン語で「自由」を意味します。「サラリーマンがリタイアした後に本当の自由を得て、幸せな生活を送れるよう支援する」という理念の下、個人の資産形成や資産運用、確定拠出年金といったことをテーマにした情報提供を行っています。

具体的には雑誌やオンラインメディアで年間100本以上のコラムを執筆しているほか、年間2〜3冊の書籍を出版。そのほか、全国津々浦々の経済団体や企業などを回り、年間100回以上の講演を行ったりしています。

心が死んでしまう
そんな私も55歳くらいまでは、定年後、完全にリタイアしたいと考えていました。しかし、旅行したり遊びに行ったりするのはたまにだから楽しいのであって、それが毎日だと退屈だろうと思い始め、57〜58歳くらいになって「やっぱり働こう」と考えました。

その頃、会社では定年後再雇用の制度がスタートしており、一歩踏み出す勇気がなかった私も、定年後半年は再雇用で働きました。しかしあまりにもつまらなく、このままいくと心が死んでしまうと思ってしまったのです。


→次ページ定年後のお金の使い方「3分法」
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そこで思いついたのが「起業」です。当初、「サラリーマン脳に冒されていた私には無理だ」とも思いました。しかし、年金で十分生活できるとわかり、「好きなことで月に3万〜5万円程度の小遣い稼ぎができればいいじゃないか。もし失敗しても借金さえしていなければ年金で生活できるし」と気楽に考え、起業に踏み切りました。

ここからは私の経験に基づいた起業術をご紹介します。まず起業に当たって、よく「好きなことをやって食っていけるのか」と聞かれます。答えはイエス。不安に思う方は、お金の使い方について間違った認識を持っているのです。

定年後のお金の3分法
定年後のお金の使い方に関して最も重要なのは「3分法」です。一般的には「現預金」「有価証券」「不動産」といわれますが、これは財産の3分法であって定年後の3分法は違います。下図をご覧ください。これは定年後の大きな支出を3つに分け、それぞれを何で賄うかを示したものです。


まずは日常的な「生活費」です。教育費や住宅ローンを払い終えた定年後であれば、支出はかなり抑えられるはず。23年に日本年金機構が示した67歳以下の夫婦2人世帯の厚生年金支給額は、月額22万4482円ですから、公的年金で生活費は十分賄えます。

事実、私は公的年金だけで賄えています。年金は当てにならないと考える人は少なくありませんが、そんなことは決してありません。

続いて「医療・介護費用」。これはそもそも発生するかわからないし、発生したとしていくらかかるかわかりません。そうした性質の支出には、ある程度まとまったお金を用意しておくことが重要。そのため貯金や退職金は、できるだけ取っておくべきです。


→次ページ再雇用、転職、起業のメリット・デメリット
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よく退職金の運用が話題になりますが、証券会社で働いた経験からはっきり言います。投資は甘くない。初心者が退職金を一度につぎ込んでも、うまくいかないケースが多いでしょう。

そして家の修繕や自家用車など大きな買い物といった「一時出費」や、趣味や旅行などの「自己実現費」には、定年後も何らかの形で働き続け、そこから得た収入を充てるべきでしょう。

ただものすごく稼ぐ必要はありません。仮に夫婦2人が月にそれぞれ5万円ずつ稼げば、年間120万円。それだけあれば年に数回は旅行できるでしょう。

選択肢は3つ
こうした考えに立ち、定年後の働き方を考えてみましょう。選択肢は「再雇用」、「転職」、「起業」の3つです。


これはあくまで私の実感レベルですが、定年を迎えた人の9割が再雇用を選択しています。同じ職場で仕事内容もほぼ同じですから不安が少ないという理由でしょう。

しかし再雇用はあまりお勧めしません。人がいちばん生き生きと働けるのは「責任と権限」が与えられたとき。それが再雇用では曖昧になりがちだからです。おまけに給料も大幅ダウンしてしまいます。


→次ページやりたい仕事は楽しい
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(イラスト:奈良裕己)
続いて転職。例えば今の会社が60歳定年で、70歳定年の会社に転職できれば生涯もらえる収入は増加するでしょう。しかしシニアの転職市場は甘くありません。ずば抜けた能力や才能を持った優秀な人材であれば採用されるでしょうが、ほんの一握りです。

そこで私が最もお勧めするのが、起業です。まず起業は楽しい。「やらされる仕事」ではなく「やりたい仕事」ができるからです。道楽を仕事にできるわけですから最高じゃないですか。

やりたい仕事は楽しい
そんなことを言うと、必ず「仕事はそんなに甘いものではない」という反論に遭います。それは、やらされる仕事しかやったことがないからです。例えばゲームが趣味であれば、高得点を取るために必死になるでしょう。そうした人がゲームを仕事にしたとき、まったく苦でないどころか、楽しくて仕方がないはずです。

こうして起業を選んだ私ですが、初めから順風満帆だったわけではありません。というのもサラリーマン時代と違って名刺、つまり会社の看板がなく、何者なのかわかってもらえないからです。そこで思いついたのが、「本」を出版し名刺代わりにすることでした。

ところが本を出すといっても簡単ではありません。そこで私は出版部数の半分を著者が買い取る「企画出版」の形で出しました。買い取り額は75万円。高いと思われるかもしれませんが、たった75万円で、私のやっていることが誰にでもわかるとあれば、「めちゃくちゃ安い」と思ったのです。そうした思いは的中。この本が信用に加えて広告にもなり、事業を拡大させるきっかけとなりました。


→次ページ起業を成功させるための5カ条
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その後も試行錯誤の連続でしたが、そこから得た起業成功の秘訣をご紹介しましょう。まず、過去の自分を早く「成仏」させましょう。いつまでも過去の経歴や役職に固執するのではなく、少しでも早く気持ちを切り替え次の人生に向かうべきです。残された時間は長くありません。


貯金より「貯人」が重要
次に「貯金」より「貯人」です。ビジネスで最も重要なのは人脈で、ビジネスチャンスを広げるためには欠かせません。お金より、人とのつながりをためていくべきなのです。そのためには信用をためる「貯信」が重要。お金をたくさん持っていても信用は得られませんが、信用を多く得ることができれば必ずお金につながります。

とはいえ信用を得るのは簡単ではありません。私の経験でいえば、ギブ・アンド・テイクではなく、まず相手にどんなメリットがあるのかを示すため、「ギブファースト」の考え方で人と接すると、貯信することができます。

そして最後に「貯蓄」ではなく「減蓄」の考え方を持ちましょう。お金や自分が身に付け蓄えてきたものを、人生の後半で少しずつ処分していこうという考え方です。蓄えたものは、人の役に立って初めて意味を成すからです。

私は野村証券時代の後半、いわゆる窓際に異動させられました。同期には早くから役員になった人もいました。しかし彼らが経験できないようなことをたくさん経験でき、とても幸せです。50代の方々にもそうした幸せを感じていただきたい。切にそう思います。(構成 田島靖久)


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