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2023年10月24日07:38

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「士気の低いチーム」に活力を与える3つの行動


仕事に人間味を取り戻す
by エイミー C. エドモンドソン ,トマス・チャモロ=プレミュジック
翻訳 前田 雅子
2023.10.18

「士気の低いチーム」に活力を与える3つの行動
Tara Moore/Getty Images
サマリー:労働条件が改善しているにもかかわらず、現代の労働者はエンゲージメントの低下やストレスの増加に直面している。経済の不確実性やAI(人工知能)の脅威も加わり、仕事が人間味を失っているのだ。本稿では、チームの... もっと見る
チームの士気はマネジャーやリーダーに左右される
 過去100年間、特に知識経済において、世界中の労働条件が大幅に改善したが、私たちがやるべきことはまだ残されている。

 有意義な仕事やキャリアへのアクセスは言うまでもなく、最近になってより高いレベルの自由と柔軟性による恩恵を受けている熟練労働者や、労働者の健康とウェルビーイングを改善すると表明している雇用主でさえ、慢性的なエンゲージメントと生産性の低さに苦しんでいる。そして、ストレスと燃え尽き症候群(バーンアウト)は増加し続けている。これに、経済の不確実性と潜在的な景気後退の圧力、仕事とスキルを自動化し産業全体を破壊するAI(人工知能)の脅威、そして多くの人の仕事に倦怠感と孤独感が加わり、全体的な見通しはかなり暗い。

 いまこそ、仕事を再び人間的にする絶好のチャンスだ。他者(クライアント、同僚、上司、さらには配偶者や子どもなど)との日常的な交流の大部分が、味気ないテクノロジーを介した交流になり、私たちのキャリアは効率性のために最適化されているように見える時代において、多くの労働者が創造性や好奇心、人間性を完全に奪われていると感じても驚きはない。

 それが意味することは何か。人材獲得競争を勝ち抜き、チームや組織において魅力的な環境をつくり、そこで人々が活きいきと活躍することを望むなら、仕事を単なる仕事以上のものにするため、人間味のある性質を再発見できるようにしなければならないということだ。

 これは、部下をマネジメントする立場にある人にとって特に重大である。メタ・プラットフォームズの分析によると、チームの士気やパフォーマンス、重要な組織行動(良いものも悪いものも)の変動性の約30〜40%は、マネジャーやリーダーの行動で説明できるという。簡単に言うと、上司はチームのウェルビーイングと成功に影響を与える重要な役割を担っているということだ。

 エカチェリーナ2世の国家建設から、監督を務めたアレックス・ファーガソン卿の下で記録的な成績を収めたマンチェスター・ユナイテッド、サティア・ナデラによるマイクロソフトの急進的な変革に至るまで、この研究結果を説明する歴史的な事例は枚挙に暇がなく、人と人との効果的な協働は、効果的なリーダーシップによって劇的に強化される。

 このことから、特に厳しい時期や不確実な時期にチームの士気、ウェルビーイング、パフォーマンスを高めたいマネジャーやリーダーには、3つの潜在的な行動領域があると考えられる。

活性化
 どのような組織においても、エネルギーとアウトプットのレベルは、個人におけるものと同様に変動する。同じ従業員でもそうだ。ある年には生産性が高くても、次の年には低くなることもある。

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 不利な状況(経済危機、政情不安、世界的なパンデミックなど)の下では、多くのチームで士気やパフォーマンスが低下する。したがって、マネジャーやピープルリーダーは、チームの活性化に焦点を当てるべきである。これは基本的に、人々に再び活力を与え、モチベーションを向上させるということだ。

 そのための効果的な方法は、リーダーシップの重要な側面は「意味をマネジメントする」ことであるという概念に沿って、「なぜ」から始めることだ。人間は意味を強く求めており、リーダーは意味を形成し、世界の意味を理解する手助けをする立場にある。

 最も重要な仕事は、チームが行っている仕事がなぜ重要なのかを「頻繁に」強調することだ。厳しい経済状況であっても、たいていの人はキャリアにいくつかの選択肢を持ち、どこへ行くべきか、次に何をすべきか、どう決断すべきかについて疑問や不安を感じている。

 リーダーが従業員に「なぜ」を思い出させ、それを受け入れる手助けをすることで、彼らは自分が会社の目標達成に重要な存在だと考えるようになる。これは活力となり、人々を再び活気づかせる。その方法の一つは、過去の業績を称え、それを将来の目標や成功に結びつけることだ。チームメンバー間の社会的なつながりを強調し、共通の歴史や過去の課題を思い出させることで、チームメンバーが互いにつながり、そしてチームの使命とつながっていると感じられるようにする。

チームの活性化のためにリーダーができること
・チームや組織のパーパスを繰り返し強調する。
・メンバー本人にとって何が重要なのか、本当に関心があることや信じていることは何かを尋ねる。
・メンバー本人のしていること(役割)が、チーム、ひいては顧客(または組織の仕事によってサービスを受ける人々)にどのような影響を与えているかを説明する。
・チームとそのメンバーが互いに何を得ているか、一緒に働くことのどのような点に感謝しているかを語ってもらう。

リーダーシップの力で、既存または過去の傷を癒す

修復
 これは、リーダーシップの力を使って、既存の、あるいは過去の傷を癒し、ウェルビーイングを回復し、ビジネス上の問題ではなく人間的な問題に対処することである。すべての人間関係は、誤解や意見の相違、衝突、失敗によって崩壊する可能性がある。賢明なリーダーは、チームが失敗から学び、それを貴重な教訓に変えることを助ける。

 それを実現するには、弱さをさらけ出すことが効果的である。それによりチームの心理的安全性と率直さが高まる。心を開き、透明性があって正直で、自己批判的になることで、オープンな対話を育み、チームが団結して協働と進歩を追求できる。

 あなたのリーダーシップの才能を評価する最善の方法の一つは、マネジャーやリーダーとして受け取る良い知らせと悪い知らせの割合を調べることだ。もし良い知らせの割合が5分の2より低ければ、おそらく改善の余地がある。

チームの修復のためにリーダーができること
・チーム全員に、最近の苦労や失敗を振り返ってもらう。重要性が際立っているもの、あるいは単にありのままを話せる最近の出来事を1つか2つ特定する。
・次に、自分がしたこと、あるいはしなかったことで、大なり小なり失敗の一因になった可能性があることをそれぞれに考えてもらう。
・耳を傾け、理解し、許し、再び委ねる。

再び集中力を高める
 重要な優先事項について、チームメンバーの足並みを揃えることで、チームが再び集中できるようにする。特にチームが疲弊している時は、「控えめであるほど効率がよい」ことを忘れてはいけない。

 過剰なコミュニケーションは禁物だが、一方で、コミュニケーション不足に陥るのは容易であり、チームの問題の主な原因となる。特に難しい話や対立を避けると、間違いなく将来的に対立を悪化させる。

 毎年(あるいは新年に)、明確な戦略セッションを行い、重要な目標と実行計画について従業員の足並みを揃えるようにする。ハーバード・ビジネス・スクール教授のマイケル・ポーターが指摘したように、戦略とは「何をすべきか」と同様に「何をすべきでないか」を決めることだ。何を、なぜ、どのようにするのかを全員が理解し、心を一つにして魅力的な目的地に向かい、全員の挑戦的な目標達成のために自分の役割を果たすことに注力できるようにする。そうすれば、その旅は楽しいものにもなる。

チームの集中力を再び高めるためにリーダーにできること
チームに次の質問をする。
・さらにうまくできることは何か。
・手放せるものは何か。
・本当に重要だと考える仕事を達成するために、欠かせないものは何か。

 最後に、マネジャーとしてではなく一人の人間としてのあなたについて考えたい。

 飛行機の中で他人を助ける前に、自分が酸素マスクをつけることを指示されるように、まずは自分自身を助けなければならない。チームを活気づけることができるかどうかは、あなた自身が健全で、冷静で、活力があるかにかかっている。

 自分の健康を維持することに代わるものはなく、自分自身を管理することは、他人を管理するための重要な前提条件である。その意味で、リーダーシップの最悪のミスは、自分自身よりもチームを優先することだ。自分を活性化させ、修復し、再び集中力を高めることができて初めて、部下がそれに続くのを助けられるのだから。



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