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2023年10月24日07:37

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率直な意見を言える組織へと変化する方法


リーダーが実践すべき4つのステップ
by ティモシー R. クラーク
翻訳 藤原 朝子

率直な意見を言える組織へと変化する方法
Henrik Sorensen/Getty Images
サマリー:従業員に対し、リーダーが「率直な意見を言える文化を持とう」と口先で言っても、とても実現できない。なぜなら「率直な意見を言うこと」は、最もリスクの高い行動と関係しており、これにより従業員は自分の地位が危... もっと見る
率直な意見を言える文化は簡単につくれない
 先日、ある大企業の全社会議に出席した時のこと。CEOが舞台に上がり、最新の従業員アンケートの結果について話し始めた。とりわけ重点を置いたのは、「職場で安心して率直な意見を言える」という項目についてだった。これに対し、回答者の半数以上が「そう思わない」または「とてもそう思わない」と答えたという。この組織に、恐怖の文化が蔓延している証拠だ。

 だが、興味深いのはそこではなかった。まるで台本があるように、CEOはこう続けた。「率直な意見を言える文化をつくる必要があるのは明らかだ。それをまさにやろうと思う。いますぐだ。我が社の『率直な意見を言える文化』は今日から始まる。君たちの声が必要だ。君たちの意見が必要だ。君たちの率直なフィードバックが必要だ」

 筆者はいすから転げ落ちそうになった。このようなアプローチを取るリーダーは、現場の文化をわかっていないか、イメージ先行の経営をしているかのどちらかだ。率直な意見を言える文化を持とうと言っても、それを生み出すことはできない。真の心理的安全性がない状態で、口先だけで安心させる態度は、リーダーシップの放棄であり、失敗を認めることに等しい。

率直な発言は大きなリスクを伴う
 まず、「率直な意見を言う」ことについて考えてみよう。普通の従業員にとって、それは最大のリスクを伴う行為だ。筆者らはグローバル調査を行い、現在では世界834組織の5万件近いデータを保有している。その中の「脆弱性の階段」という調査で取り上げている20の行動のうち、「率直な意見を言うこと」は最もリスクの高い上位6つの行動と関係していた。

 この6つの行動を紹介しよう。

1. 間違った返答をする。
2. ミスをする。
3. 感情を表現する。
4. 反対意見を述べる。
5. 間違いを指摘する。
6. 現状に異議を唱える。

 なぜ率直な意見を言うことをためらうのかと質問すると、世界中の従業員が同じような回答をする。社会的な拒絶を受けたり、自分の評判や地位、昇進が危うくなることを恐れているのだ。とりわけ、率直な意見を言うと自分の仕事を危険にさらすことになると答える人は多い。つまり、クビになることを恐れている。

 組織が「率直な意見を言える文化を確立したい」と言う時は、暗黙のうちに、これら最もリスクの高い6つの行動を求めていることになる。当然のことながら、心理的な安全性がなければ、このような呼びかけに応じる従業員はまずいない。なぜなら、組織が従業員にリスクとリターンに見合わない行動を取るよう求めていることになるからだ。むしろ、従業員は恐怖のために口を閉ざし、表面的な人間関係を維持しようとするだろう。

 そこで、すべての従業員に発言の機会を与え、その機会を活用するよう促す4つのステップを紹介しよう。

1. 価値と評価を区別する
 インクルージョン(包摂性)は、チームの認知的ダイバーシティ(多様性)を解き放つカギだが、個人個人の価値を受け入れたうえで築く必要がある。評価に基づくインクルーシブではない。評価に基づくものにしてしまうと、何らかの基準や条件を満たすかどうかをテストすることになってしまう。カスタマーサービスなど、特定の業務分野における能力を調べるのであれば、評価・パフォーマンステストは有効かつ適切だろう。しかしインクルージョンは、パフォーマンステストで調べることはできない。人間は誰しも、受け入れられる資格があるのだ。

 従業員が自信を持って声を上げるためには、自分の本質的な価値に基づき受け入れられていると実感できなければならない。帰属意識が満たされていなければ、あるいは評価テストに基づき自分が受け入れられるか否かが決まっていたら、なぜ率直な意見を言って、社会的に拒絶されるリスクを冒せるだろう。率直な意見を言うことは、自己表現にほかならない。それにリスクがあるのであれば、自己表現を避けようとするだろう。その一方で、自分の価値が貢献の大きさや意見、見解の価値評価と切り離されていれば、もっと積極的に率直な意見を使うようになるだろう。

 この社会的なやり取りにおいて、先に行動を起こす義務があるのはどちらか。それは、もちろん組織のほうだ。組織が個人に対して、彼らの価値は交渉によって変わるものではないことを示さなければならない。

 だが、どのように実行すればよいのか。どの従業員に対しても、業績に関係なく、同等のリスペクトを持って接することが大切である。それも、責任を問われた時の防御策としてではなく、公正で、平等で、思いやりのある説明責任の指針として行わなければならない。誰一人として、説明責任を特別に免除されることはなく、誰もが本質的な価値に基づき、同等の尊厳を認められる権利がある。率直な意見を言うことで報復される恐怖がなく、自分のありのままを受け入れてもらえると本気で思えれば、人は率直な意見を言える。

忠誠と同意を区別する

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2. 忠誠と同意を区別する
 ある経営幹部会議で、CEOがたびたび「みんな認識は一致しているか」と質問すると、出席者が「はい」と頷く場面を何度も見たことがある。こうした文化では、忠誠とは同意を意味する。それも、チームを黙らせて、コミットメント(献身)を求めるのではなく、コンプライアンス(従順)を求める強迫的な同意だ。

 同意することが忠誠の条件になると、操作された従順を生み出す。これは忠誠ではまったくない。真の忠誠とは、組織やそこにいる人たちの最善の利益に対する純粋な配慮と献身を意味し、独立した思考を許容するだけでなく、奨励しなければならない。組織が忠誠と同意を切り離さない限り、同調圧力は危険な集団思考を生み出しかねない。

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 ほとんどの従業員がどこかの時点で、自分の仕事には発言権が伴うのか、内心疑問に思うものだ。そして周囲を見渡して、耳を傾け、観察する。もし同意しないと忠誠がないと見なされるなら、彼らは恐怖に基づく強迫だと考えるだろう。しかし、報復を恐れずに厳しい議論や建設的な反対意見が出されているなら、そこに参加し、組織の規定事項に疑問を呈することが奨励されていると感じられるだろう。究極的には、忠誠と意見の相違が平和的に共存する時、率直な意見を言える文化が花開くのだ。

3. 地位と意見を区別する
 人間のヒエラルキーでは、権力から距離があると、率直な意見を言いにくくなりがちだ。従業員間の権力の非対称は、通常、地位の低い人物が、地位の高い人物に同意するよう圧力をかける。

 残念ながら、多くの組織では、反対意見を言うとネガティブに扱われる(場合によっては罰せられる)という従業員を消耗させる規範が生まれ、各人が殻にこもるようにさせられる。この規範がある限り、恐怖が生まれ、オープンな対話は妨げられる。だが、必ずしもそうなると決まっているわけではない。どれほど賢い人でも、ネットワークをつくり、学際的な学びをすることで集合知を活用できなければ、賢いチームはつくれない。これは、反対意見を奨励し、対処できるかどうかにかかっている。

 私は、意見と地位を切り離すことに成功したCEOたちと仕事をしてきた。彼らは、異論を唱える技術を教えたり、模範を示したりすることによって、それを成し遂げている。たとえば、反対意見の背後にある意図に基づき、アジテーターかイノベーターか見分ける方法を説明する。そのうえで、誠意を持って思慮深い反対意見を求める。リーダーがこのようにし、組織の頂点から最下層まで現状に挑戦することに報いると、率直な意見を言える文化の形成を加速できる。

4. 許可と採用を区別する
 ほとんどの従業員は、率直な意見を言える文化とは、自分の本音を明らかにし、提案や意見、懸念を表明する許可を与えられている文化だと理解している。しかし残念なことに、一部の従業員は、率直な意見を聞いてもらうとは、すなわちその意見を聞き入れてもらうことだと誤解している。常にそうなることはもちろん不可能だ。あらゆる意見にイエスと言うことはできない。

 そこで4つ目のステップだ。率直な意見を言える許可を得ることは、その提案を採用する義務につながるという勘違いを捨てよう。

 リーダーは、この許可と採用の違いを従業員に明確にするだけでなく、たとえその提案を採用しない場合でも、率直な意見を言える人を必ず認め、称えるべきだ。従業員が率直な意見を言えるためには、組織が受け止めてくれるという証拠が必要だ。誰かが耳を傾けてくれているのか。何らかの重要性を持つのか。変化をもたらすのか。採用しない場合でも、声を上げてくれたことを強く評価しよう。私たちは皆、回答がノーであっても、率直な意見を言う行動そのものが評価され、奨励されるという安心感を必要としている。

* * *

 リーダーに求められる最大の責務の一つは、現実をきちんと検証することだ。実際、ある組織が存続できるかどうかは、現実を解釈し、それに反応する能力があることにかかっている。しかし、いかなるリーダーも一人では実行できない。あらゆるレベルの従業員が率直な意見を言えるようにすると、現場の知識を共有し、有用なアイデアの世界を広げ、集団的な「トンネルビジョン」(視野が狭い状態)に陥るのを防ぐことができる。少数派の意見が斬新な解決策になることは珍しくない。従業員が一貫して率直な意見を言い、みずからの意見や懸念を表明する時、あるいは現状に異議を唱える時、仕事により大きな目的を見出し、組織により大きな価値をもたらしてくれるのだ。



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